きゅうせいせいそうじょうたいえん

急性精巣上体炎

最終更新日:
2024年01月26日
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2024/01/26
更新しました
2017/04/25
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概要

急性精巣上体炎とは、精巣(睾丸)の横にある精巣上体(副睾丸)に急性の炎症をきたす病気です。精巣上体は、精巣でつくられた精子が通る管のような器官で、精子を成熟させるための環境などをつくる役割があります。

急性精巣上体炎では、この精巣上体に細菌が入り込み、炎症を起こすことで精巣上体に痛みや腫れが生じます。自覚症状としては、陰嚢(いんのう)が腫れて痛みを感じ、ときに発赤や熱感を伴います。さらに悪化すると陰嚢内にがたまり、皮膚を破って膿が外に出てくることもあります。

主な原因は細菌感染です。中高年の方では前立腺肥大によって尿が出にくくなるなどの要因で尿中の細菌が増殖し、精液の通り道である精管を逆行して精巣上体に感染が生じます。比較的若い方では、性感染症の原因であるクラミジアや淋菌などの病原体が精巣上体まで広がり、発症することがあります。

急性精巣上体炎は、抗菌薬の投与によって改善が期待できますが、適切な治療を受けなければ炎症が慢性化して疼痛が改善せず、精巣上体の摘出が必要になるケースもあるため、早期発見と治療が重要です。

原因

急性精巣上体炎では、主に細菌感染によって精巣上体に急性の炎症が起こります。原因となる細菌は主に尿路感染症の原因菌であるグラム陰性桿菌です。

一方、性感染症に伴うものではクラミジアや淋菌によって発症します。前立腺肥大に伴う尿路感染や性感染症によって、精巣上体にこれらの原因菌が侵入し、増殖することで炎症を引き起こします。

治療や検査の際に膀胱にカテーテルや内視鏡を挿入したことが原因で細菌が侵入し、精巣上体炎を引き起こす場合もあります。また、まれにウイルスや真菌(カビ)によって発症することもあります。

症状

急性精巣上体炎では、精巣そのものではなく精巣の隣に接している精巣上体に痛みが現れます。さらに痛みが陰嚢全体へと広がり、赤く腫れて熱感を伴ったり、発熱が生じたりすることもあります。

適切な治療を受けずに炎症が悪化すると、陰嚢にがたまって腫れ上がり、外から塊のように触れるようになります。悪化すると皮膚を破って膿が出てくることもあります。

検査・診断

急性精巣上体炎を診断するためには、精巣上体の触診によって腫れや痛みの有無を確認することが一般的です。ただし、同様に陰嚢部の痛みや腫れを起こす病気はほかにもあります。精巣腫瘍(せいそうしゅよう)がん)でも痛みを伴う場合があり、精巣捻転(精巣の血管が捻じれて精巣壊死に至る)では緊急手術が必要になるため、専門的な知識を持つ医師の診断が必須です。これらの病気の鑑別のためには超音波検査が有用です。

尿検査では尿中の白血球の有無、尿培養検査などでは尿路感染症の有無を確認しますが、尿に所見がみられないケースもあります。

血液検査では、CRPなどの炎症所見を調べて重症度を判定します。

性感染症の疑いがある場合にはクラミジア検査や淋菌検査を行います。

治療

急性精巣上体炎は主に細菌感染により発症するため、治療では抗菌薬が用いられます。

軽症の場合は抗菌薬の内服によって治療が行われますが、重症の場合は入院し点滴にて投与されることもあります。細菌培養検査を行い、細菌の種類が分かればその菌に効果のある抗菌薬に切り替えます。抗菌薬による治療に加えて消炎鎮痛薬を用いたり、炎症を起こしている陰嚢を冷やしたり安静を保ったりすることも重要です。

精巣上体炎は、一般的にこれら抗菌薬の使用などにより改善しますが、適切な治療を受けずに炎症が慢性化すると陰嚢にがたまることがあります。この場合、膿を排出するために陰嚢を切開したり、精巣上体を摘出したりしなければならないケースもあります。

予防

急性精巣上体炎を予防するためには、尿路感染症や性感染症を起こさないことが重要です。

性感染症を防ぐため、不特定多数との性交渉を避けるほか、性交渉の際は避妊具を使用するようにしましょう。また、高齢の男性は排尿障害を生じると尿路感染症を発症しやすくなります。尿が出にくいなどの症状がある場合には、早めに治療を受けるようにしましょう。

ほかにも、精巣上体炎と似た症状が出る病気に“精巣捻転”があります。精巣捻転は精巣の血管が捻れて精巣壊死に至る病気で、早期の手術が必要です。陰嚢に急に痛みや腫れが生じた場合は速やかに泌尿器科を受診しましょう。

また20~30歳代の人に多く発症する精巣腫瘍は悪性の病気です。精巣が腫れて痛みを伴わないことが多いのですが、ときに痛みを伴い精巣上体炎として治療され、がんの発見が遅れる場合があります。何らかの異常に気付いたら早めに医療機関を受診することが重要です。

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