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インタビュー

日本脳炎とはー予防接種が重要

日本脳炎とはー予防接種が重要

国立成育医療研究センター 小児医療系総合診療部レジデント

永井 康貴 先生

石黒 精 先生

国立成育医療研究センター 教育センター センター長  臨床研究センター 副センター長・臨床研究...

石黒 精 先生

日本脳炎は日本脳炎ウイルスによる感染症で、意識不明や痙攣など、脳がダメージを受けると生じる症状があらわれます。「日本脳炎」という名前ですが、日本だけの病気ではなく、広くアジアで見られる病気です。

日本脳炎ウイルスはウイルスを持った蚊に刺されることで感染します。同じく蚊に刺されると感染する病気にデング熱がありますが、感染の経路が少し違います。デング熱の場合、蚊がヒトからヒトにウイルスを感染させますが、日本脳炎の場合はブタからヒトへ蚊が媒介します。ヒトの体内では日本脳炎ウイルスの増殖が緩やかなので、蚊がヒトからヒトにウイルスを運ぶことはありません。蚊とブタが周囲にいることが感染の条件になるため、農村地帯の夏に生じやすい傾向があります。

1960年代までは年間に数千人もの感染者が発生していましたが、その後激減し、1970年代以降は数十人、さらに1990年以降は数人にまで減少しています。予防接種が普及したこと、蚊が減少したこと、豚舎が住宅から離れた場所に集中化したこと、エアコンの普及などがその理由として考えられています。

感染してもほとんどの場合症状がなく、感染したことにすら気が付きません。しかし、5~15日の潜伏期間の後に発熱・頭痛・嘔吐の症状があらわれて発症した場合は、その数日後に意識が悪くなり、麻痺が生じます。発症すれば30~50%の方に神経や精神面での重い後遺症が残り、20~30%の方は命を落としてしまいます。

血液や脳を覆っている髄液という液体を調べ、日本脳炎ウイルスに対する免疫物質(抗体)やウイルスそのもの、またはウイルスの遺伝子を検出して診断します。頭のCTやMRIなどの画像検査も有用です。

日本脳炎には特効薬はありません。感染しても発症する確率は低いですが、発症すると死亡または重い後遺症が残る可能性が高いため、感染を予防することが重要です。予防のためには「蚊に刺されないようにする」ということも1つの方法ですが、最も確実な方法は予防接種を受けることです。

蚊を避ける方法としては、肌を露出しない衣類を着て虫よけスプレーやオイルを使用する(効果が落ちてきたら再び使う) ことが挙げられます。蚊は特に夕暮れと夜明けに活動するため、この時間帯には必ず行うことが重要です。

予防接種は全部で4回行うことになりますが、はじめの2回の接種で96%の人に感染予防に十分な抗体が作られます。
日本脳炎のワクチンは、2005年に定期接種の勧奨の差し控えの勧告が行われました。つまり、自治体や医療機関などから一般の方に定期的な接種をお勧めすることを控えなさい、という国からの呼びかけです。これは、ワクチンを接種した後に重症な神経疾患が発生してしまった事例が報告されたためです。その後、より安全な方法で製造されたワクチンが発売されたため、2010年からは再びワクチンの接種をお勧めできるようになりました。

発熱と、接種した部位が赤くなったり腫れたりすることが一般的な副作用です。発熱は初めて接種した際に多く、接種翌日に3%の人に見られます。また、接種した部位の腫れは4回目の接種時(後述)に多く、接種翌日に2.5%の人に見られます。いずれも積極的な治療は必要なく、自然に改善します。

まず、3~4歳で1回目を接種し、6~28日経ったところで2回目、約1年後に3回目を接種します。その後はしばらく間隔をあけて9~10歳で1回接種し、計4回の接種を終えるのが標準的なスケジュールです。接種回数が多いワクチンですが、もし接種が遅れてしまっても、ほかの接種開始時期や再開方法がありますので、医療機関へお問い合わせください。

<参考文献>
国民衛生の動向2009 厚生統計協会 2009
国民衛生の動向2010/2011 厚生統計協会 2010
国民衛生の動向2014/2015 厚生労働統計協会 2014
小児科臨床ピクシス4 (全訂新版)予防接種 五十嵐 隆 総編集 中山書店 2014
小児内科2014年46巻増大号 小児疾患診療のための病態生理1 改訂5版
『小児内科』『小児外科』編集委員会 共編 東京医学社 2014
戸田新細菌学 改訂33版 吉田眞一/柳雄介/吉開泰信 編集 南山堂 2007
CDC Health Information for International Travel 2014
Gary W. Brunette editor in chief Oxford University Press 2014

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