「原発性アルドステロン症」という病名に馴染みのある方は多くはないかもしれません。これは、かつてはあまり知られていなかった「副腎の腫瘍からアルドステロンというホルモンが大量に出てしまう」病気です。近年、この病気が高血圧の原因として非常に重要であることが分かってきました。
原発性アルドステロン症の原因は何なのでしょうか。原発性アルドステロン症に関して臨床・研究ともに世界的な第一人者であり、日本の原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン委員長を務められた横浜労災病院院長・西川哲男先生にお話をうかがいました。
原発性アルドステロン症は、副腎腫瘍からアルドステロンというホルモンが大量に産生されることにより起こります。しかし、まだどのようなことがリスクになっているのか、遺伝・環境・生活習慣などとの詳細な関連は分かっていません。たとえば、親子で発症するケースなどは稀と考えられていましたが、家族性アルドステロン症も診断される頻度が増えてきました。
それでは、ヒトの進化という観点から原因を考えていきましょう。
ヒトは魚から両生類になって、やがて二足歩行になっていきました。そのため、かつては0.9%の塩分の中で暮らしてきたのに、全く塩のない空気中で生活しなければならなくなりました。
二足歩行のまま血流を保つためには、どうしても血圧を維持しなくてはなりません。血圧を維持し、有効循環血液量(血液の量)を確保するためには塩と水が必要です。ヒトは生まれた瞬間から塩を得るための戦いをしなくてはならないのです。塩を得るためには口から入れるか、おしっこに出させないかのどちらかが必要です。簡単に言うと、アルドステロンは塩をおしっこに出させないためのホルモンなのです。
かつて人類は、食塩を巡って争っていました。岩塩を取るか、海から塩を生成するしか食塩を得る手段がなかったからです。塩がないとヒトは暮らしていけないのです。しかし18世紀以降、塩が自由にとれるようになりました。それ以降、ヒトは塩分過多の状態で暮らすようになりました。
塩分が過多の状態では、普通ならヒトの体は、アルドステロンが抑えられるように働きます。しかし、原発性アルドステロン症は勝手にアルドステロンを過剰分泌している状態なので、体の塩分が過多になっても止まることはありません。例えばアフリカなど塩が得にくい地域では、原発性アルドステロン症でも何ら問題がなく生きていくことができます。アルドステロンが血管毒性を発揮する(血管をいためつける)のは、塩があってはじめて起きることなのです。
つまり、原発性アルドステロン症の方でも、塩がなければ何ら問題なく過ごしていけるのです。塩が得にくい地域の方々や、1日3g未満の食塩で暮らしている方々の場合は、原発性アルドステロン症の状態であっても問題ありません。血圧も上がらなければ臓器障害も起きないからです。
このように、原発性アルドステロン症は「塩がなくても生きていける体」の状態なのです。むしろ、塩がない環境下では原発性アルドステロン症のような体でないと生きていけなかったのではないかと考えられます。
アルドステロンには合目的性があります。ヒトが高温でも低温でも体の中の塩分を保ち、有効循環血液量と血圧を維持するための大切なホルモンです。しかし、原発性アルドステロン症では、おそらく副腎の生殖細胞変異あるいは体細胞変異が原因となり、アルドステロン合成酵素が活性化され過剰アルドステロン分泌が起きてしまいます。塩分との戦いの歴史があるなかで、私たちヒトには、合目的的に原発性アルドステロン症という体質が数多く出てきたのではないかと考えられています。
横浜労災病院 名誉院長、西川クリニック 院長
西川 哲男 先生の所属医療機関
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手術後の病理検査にて
手術後の摘出した副腎を病理検査したところ、髄質に肉芽種性炎症があるとのことでした。医師からは帯状疱疹等があったのなら、それが原因の可能性もあり経過観察しましょうとのことでした。肉芽種性炎症とは何なのでしょうか?気にしなくていいのでしょうか?
下垂体機能低下症でもステロイドの副作用で困っています
下垂体機能低下症はステロイド補充や 成長ホルモン補充しか治療法がないのでしょうか?下垂体を鍛える方法はないのでしょうか?原発性アルスステロンで副腎摘出手術をする予定です。
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平成26年1月に近くの大きな病院で選択的副腎静脈サンプリングで動脈カテーテルの挿入、中心静脈カテーテル(IVH)の挿入を受け、高血圧の疑いで原発性アルドステロン症、病名:右副腎腫瘍、手術名:腹腔鏡下副腎摘除術を受けました。 術後、カテーテル挿入した附近に違和感があって、手術を受けたの泌尿科に相談したが、問題ないとのこと。 それから4年経った今、体の右半分、カテーテル附近はもちろんのこと、右目緑内障の疑いで予防の目薬の投与、右膝の少し上の部分の痛みがあります。 血圧は原発性アルドステロン症発症の時は180ありましたが、右副腎腫瘍摘除後は150に、現在は110~120になりましたが、悪玉コレステロールの数値が高めです。 この場合、そのまま様子を見た方がいいでしょうか? いろんな先生からの意見を聞きたいので、アドバイスをお願いします。
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