インタビュー

原発性アルドステロン症とは?ー高血圧の原因として重要な病気

原発性アルドステロン症とは?ー高血圧の原因として重要な病気
西川 哲男 先生

横浜労災病院 名誉院長、西川クリニック 院長

西川 哲男 先生

この記事の最終更新は2015年07月14日です。

原発性アルドステロン症」という病名に馴染みのある方は多くはないかもしれません。これは、かつてはあまり知られていなかった「副腎の腫瘍からアルドステロンというホルモンが大量に出てしまう」病気です。近年、この病気が高血圧の原因として非常に重要であることが分かってきました。

原発性アルドステロン症とはどのような病気なのか、原発性アルドステロン症に関して臨床・研究ともに世界的な第一人者であり、日本の原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン委員長を務められた横浜労災病院院長・西川哲男先生にお聞きしました。

よく、世間では「高血圧の方は塩分を控えめに」といわれます。この塩分、いわゆる「塩」は、正式には塩化ナトリウムといいます。塩化ナトリウムは高血圧の原因として重要な物質です。アルドステロンは、このナトリウムを体の中に貯めこみ、カリウムを外に出す働きをします。

原発性アルドステロン症」は、このアルドステロンが出すぎてしまう病気です。この原因は、副腎に病変(腫瘍・過形成)ができることにあります。

その中でも「ノンディッパー型」が多いとされています。ノンディッパー型の高血圧だと、血圧の日内変動機能が落ちてしまっているため、夜から朝にかけて血圧が高くなりやすいという特徴があります。なお、ノンディッパー型の高血圧は心血管系や脳血管系の病気(心筋梗塞脳卒中など)を起こすリスクが高いとも言われています。

その他によく訴えられる症状は、多飲(水を飲みすぎてしまうこと)と多尿です。また、低カリウム血症に伴うさまざまな症状(筋力の低下、筋肉がつりやすくなる、など)が起こることもあります。

原発性アルドステロン症の方々は、代謝異常が起こりやすいことで知られています。

たとえば糖尿病などのインスリン分泌低下あるいは抵抗性がおこり易く、その為の代謝異常や、脂質異常症(高脂血症)も引き起こしやすくなります。

原発性アルドステロン症は非常に稀な病気と考えられてきました。しかし最近、高血圧症の患者さんのうち、5~20%に原発性アルドステロン症があることが分かって来ました(数字に幅があるのは、報告によって母集団が違うためです。高血圧と言われていた人、健康診断で引っかかった人などさまざまな母集団を対象としています)。

特に治療に抵抗性がある(一般的な治療が効かない)治療抵抗性高血圧症(※)の患者さんに限ると、25%ほどの方が原発性アルドステロン症であると言われています。

また、金沢大学のデータでは、一般的な健康診断で、何のリスクや症状もない一般生活者を対象として検査を行ったところ、原発性アルドステロン症と診断された方が6%の確率で見つかったというデータもあります。

※治療抵抗性高血圧症とは、「利尿剤をふくむ3剤の降圧剤を用いても血圧が140/90mmHg以下にならないもの」とされています。難治性高血圧であれば積極的に原発性アルドステロン症を疑って検査をすべきと言えるでしょう。

ちなみに、原発性アルドステロン症の発症頻度は欧米諸国と日本ではあまり差がありません。

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