原発性アルドステロン症とは、アルドステロンという副腎皮質ホルモンの一つが過剰分泌になるため、高血圧症状をきたす病気です(詳細は『高血圧の原因として重要な「原発性アルドステロン症」とは』)。原発性アルドステロン症の患者さんは現在日本に約300~400万人いると考えられています。褐色細胞腫の患者数に比べると患者数も多く、高血圧患者の約3~10%が原発性アルドステロン症といわれます。また、治療が難しい高血圧(治療抵抗性高血圧)患者の約20%は原発性アルドステロン症が原因とも考えられています。今後の原発性アルドステロン症の治療について、引き続き京都医療センター 臨床研究センターの成瀬光栄先生にお話を伺いました。
現在の日本内分泌学会のガイドライン(治療方針)によると、原発性アルドステロン症と診断された場合は、通常外科手術または薬物療法を行います。手術を希望する場合には、まず事前の検査として腹部CT検査で病変や副腎静脈の走行を調べ、副腎静脈サンプリングを行い、病変が副腎の片方のみなのか両方にあるのかを判定します。
副腎静脈サンプリングとは、カテーテルと呼ばれる細いチューブを太ももの血管から挿入し、アルドステロンが過剰に産生されている部位を特定する検査です。しかし、カテーテルは医師側の技術習得も難しく、医療費もかかります。現在患者さんが約300~400万人もいる疾患において、最終的な診断のためにカテーテル検査を実施するのは現実的ではありません。実際に、現在原発性アルドステロン症の最終的な診断のために施行されているカテーテル検査は、年間わずか1000~2000例程度と考えられます。
原発性アルドステロン症の9割のケースにおいて、薬を飲む薬物治療だけで血圧コントロールが可能となっています。またその後の経過も良好な疾患です。一方、カテーテル検査では患者さんの負担も大きく、合併症が生じる可能性もあります。今後は全例にカテーテル検査を推奨するのではなく、本当に必要性の高い患者さんの基準を新たに設けていくことが必要だといえます。
また他の検査方法として、PETによる診断も検討されています。PETは現在がんの検査方法のひとつとしてすでに広く用いられていますが、非侵襲的(患者さんの体への負担が少ない)な方法のため、原発性アルドステロン症への応用も注目されています。
これだけ多くの患者さんがいるということは、誰でもどこでも同じ検査・治療を受けられるように診療方針を整備していかなければなりません。今後は標準治療の底上げに尽力したいと考えています。
医仁会武田総合病院 内分泌センター長
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手術後の病理検査にて
手術後の摘出した副腎を病理検査したところ、髄質に肉芽種性炎症があるとのことでした。医師からは帯状疱疹等があったのなら、それが原因の可能性もあり経過観察しましょうとのことでした。肉芽種性炎症とは何なのでしょうか?気にしなくていいのでしょうか?
下垂体機能低下症でもステロイドの副作用で困っています
下垂体機能低下症はステロイド補充や 成長ホルモン補充しか治療法がないのでしょうか?下垂体を鍛える方法はないのでしょうか?原発性アルスステロンで副腎摘出手術をする予定です。
薬の影響なんでしょうか?
高血圧から原発性アルドステロン症と言われました。副腎の摘出を薦められましたが薬を選択しました。飲みはじめてから頻尿、頭痛、仕事は自転車通勤してるのですが下半身全体に力が入りにくくなりました。息を吸うと胸が圧迫するような症状だったりします。このまま息ができなくなるんじゃないかって思う時があります。薬の影響なんでしょうか?
病院はそのまま放置していいと言われたが、そのままでいいでしょうか?
平成26年1月に近くの大きな病院で選択的副腎静脈サンプリングで動脈カテーテルの挿入、中心静脈カテーテル(IVH)の挿入を受け、高血圧の疑いで原発性アルドステロン症、病名:右副腎腫瘍、手術名:腹腔鏡下副腎摘除術を受けました。 術後、カテーテル挿入した附近に違和感があって、手術を受けたの泌尿科に相談したが、問題ないとのこと。 それから4年経った今、体の右半分、カテーテル附近はもちろんのこと、右目緑内障の疑いで予防の目薬の投与、右膝の少し上の部分の痛みがあります。 血圧は原発性アルドステロン症発症の時は180ありましたが、右副腎腫瘍摘除後は150に、現在は110~120になりましたが、悪玉コレステロールの数値が高めです。 この場合、そのまま様子を見た方がいいでしょうか? いろんな先生からの意見を聞きたいので、アドバイスをお願いします。
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