
「原発性アルドステロン症」という病名に馴染みのある方は多くはないかもしれません。これは、かつてはあまり知られていなかった「副腎の腫瘍からアルドステロンというホルモンが大量に出てしまう」病気です。近年、この病気が高血圧の原因として非常に重要であることが分かってきました。
それにもかかわらず、現在の一般的な健康診断では原発性アルドステロン症の検査は行われていません。健康診断で原発性アルドステロン症を調べる意味はあるのか、原発性アルドステロン症に関して臨床・研究ともに世界的な第一人者であり、日本の原発性アルドステロン症の診断治療ガイドライン委員長を務められた横浜労災病院院長・西川哲男先生にお話をうかがいました。
「高血圧の原因として重要な『原発性アルドステロン症』とは」で紹介したように、金沢大学のデータでは、一般的な健康診断で何の症状やリスクもない一般生活者を対象として検査を行ったところ、原発性アルドステロン症と診断された方が6%の確率で見つかったというデータがあります。
ここでよく聞かれることとしては、「健康診断で原発性アルドステロン症を探す意味はあるのか?」「高血圧の症状もなく、いたって健康なのにわざわざ見つける意味があるのか?」ということです。私は、原発性アルドステロン症を健康診断で見つける意味はしっかりとあるのではないかと考えています。
まず、頭に入れておきたいことは、見かけ上の血圧をよくすることが大切なわけではないということです。仮に高血圧であったとしても、普通の降圧薬で血圧が良くなるケースもあります。逆に、見かけ上の血圧が正常でも、原発性アルドステロン症であるケースもあるということです。
実は、高血圧の症状が出ていなくても、原発性アルドステロン症になると脳卒中や心不全・腎不全が起きやすくなることが知られています。なぜ高血圧でないのにこれらの症状が起きるかというと、過剰なアルドステロンが悪影響を及ぼしているためです。血圧に問題なかったとしても、アルドステロンは血管傷害(血管を傷めつけてしまうことを言います)を発揮しています。特に、これは塩(ナトリウム)とアルドステロンが一緒になったときに強くなります。
もちろん、高血圧や脂質異常症(コレステロールの異常)や糖尿病は動脈硬化症を引き起こします。しかし、それとは別のメカニズムでアルドステロン自体が血管炎を起こすのです。血管を脆弱にして、内皮機能を破綻させ、血管壁の筋肉の壊死を引き起こします。簡単に言うと、「血管が裂ける状態」を引き起こすのがアルドステロンです。繰り返しますが、原発性アルドステロン症でも血圧が正常な場合はあります。それでも、高血圧による動脈硬化とメカニズムが異なるため、血管壁はやられてしまうのです。
高血圧の患者さんで、原発性アルドステロン症を持っている方と持っていない方とを比較した研究があります。その結果、原発性アルドステロン症を持っている方は、普通の高血圧の方の4倍脳卒中を起こしやすくなることが分かりました。原発性アルドステロン症が非常に高い脳卒中のリスクとなっていることがお分かり頂けるかと思います。
原発性アルドステロン症では、高血圧があるかないかに関係なく、元から心筋梗塞や脳卒中のリスクが高いのです。ただし、特に高血圧である患者さんに原発性アルドステロン症が多いことは分かっています。
健康診断を受ける対象者全員に原発性アルドステロン症の検査をするまではないにしても、ハイリスク群である高血圧の患者さんには原発性アルドステロン症の検査をするべきであり、ガイドラインにも記載されつつあります。(ガイドラインについては「原発性アルドステロン症の検査と診断―ガイドラインの確認を!」を参照)
横浜労災病院 名誉院長、西川クリニック 院長
西川 哲男 先生の所属医療機関
周辺で原発性アルドステロン症の実績がある医師
武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器科、呼吸器外科、消化器科、腎臓内科、循環器科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、内分泌科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、代謝内科、膠原病内科、頭頸部外科、総合診療科、病理診断科
東京都武蔵野市境南町1丁目26-1
JR中央線(快速)「武蔵境」南口 小田急バス、ムーバス(境南東循環):武蔵野赤十字病院下車 徒歩10分
国立国際医療センター 糖尿病内分泌代謝科診療科長、第二内分泌代謝科医長、内分泌・副腎腫瘍センター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 助教
内科、アレルギー・リウマチ内科 、血液内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都文京区本郷7丁目3-1
東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」2番出口 都営地下鉄大江戸線も利用可(5番出口) 徒歩10分、東京メトロ千代田線「湯島」1番出口 徒歩15分
医療法人社団めぐみ会 自由が丘メディカルプラザ、杉並堀ノ内クリニック 医師
内科、小児科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科
東京都杉並区堀ノ内2丁目29-14 ライオンズマンション新高円寺1F
JR中央線(快速)「阿佐ケ谷」都営・京王バス渋66系 堀ノ内二丁目下車 徒歩3分 バス
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手術後の摘出した副腎を病理検査したところ、髄質に肉芽種性炎症があるとのことでした。医師からは帯状疱疹等があったのなら、それが原因の可能性もあり経過観察しましょうとのことでした。肉芽種性炎症とは何なのでしょうか?気にしなくていいのでしょうか?
下垂体機能低下症でもステロイドの副作用で困っています
下垂体機能低下症はステロイド補充や 成長ホルモン補充しか治療法がないのでしょうか?下垂体を鍛える方法はないのでしょうか?原発性アルスステロンで副腎摘出手術をする予定です。
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高血圧から原発性アルドステロン症と言われました。副腎の摘出を薦められましたが薬を選択しました。飲みはじめてから頻尿、頭痛、仕事は自転車通勤してるのですが下半身全体に力が入りにくくなりました。息を吸うと胸が圧迫するような症状だったりします。このまま息ができなくなるんじゃないかって思う時があります。薬の影響なんでしょうか?
病院はそのまま放置していいと言われたが、そのままでいいでしょうか?
平成26年1月に近くの大きな病院で選択的副腎静脈サンプリングで動脈カテーテルの挿入、中心静脈カテーテル(IVH)の挿入を受け、高血圧の疑いで原発性アルドステロン症、病名:右副腎腫瘍、手術名:腹腔鏡下副腎摘除術を受けました。 術後、カテーテル挿入した附近に違和感があって、手術を受けたの泌尿科に相談したが、問題ないとのこと。 それから4年経った今、体の右半分、カテーテル附近はもちろんのこと、右目緑内障の疑いで予防の目薬の投与、右膝の少し上の部分の痛みがあります。 血圧は原発性アルドステロン症発症の時は180ありましたが、右副腎腫瘍摘除後は150に、現在は110~120になりましたが、悪玉コレステロールの数値が高めです。 この場合、そのまま様子を見た方がいいでしょうか? いろんな先生からの意見を聞きたいので、アドバイスをお願いします。
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