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インタビュー

リンパ浮腫の治療―保存的治療

リンパ浮腫の治療―保存的治療
前川 二郎 先生

横浜市立大学 形成外科学 教授

前川 二郎 先生

リンパ浮腫が一度発症した後は、放っておくと徐々に悪化してしまいます。しかし、根気よく治療を続けることで進行を遅らせ、症状を軽減することができます。

外科手術と保存的治療を組み合わせてリンパ浮腫の改善に取り組んでおられる横浜市立大学医学部形成外科学教授の前川二郎(まえがわ・じろう)先生に、今回は手術以外の保存的治療―複合的理学療法を中心にお聞きしました。

浮腫が出ている患部を、心臓より高い位置に挙げておきます。重力の影響で低いところにたまってしまうことを防ぎ、リンパ液の循環を促します。上肢(腕)の場合は自力で腕を挙げることができますが、下肢(脚)の場合は寝ている状態で脚の下にクッションをあてがうなどして姿勢を維持するとよいでしょう。

軽度のむくみであれば、この方法で軽減することができます。

リンパ節郭清によってリンパ液を運ぶ能力が低下している部位に対しては、迂回路からリンパ液を流してやる必要があります。患部の皮膚を手でマッサージして、むくみとしてたまっているリンパ液を正常に機能しているリンパ管の方へ移動させます。手を使って行うことから、用手的(マニュアル)リンパドレナージ(MLD)といいます。ドレナージは排出、排液という意味です。

もみほぐすような強いマッサージではなく、力を入れずに軽くさするように行います。リンパ浮腫外来などでマッサージのやり方や力加減を覚えていただき、家庭でも患者さん自身で行うことができます。これをセルフリンパドレナージ(SLD)といいます。ただし、蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こしている時にはマッサージは禁物です。

手で行うマッサージに替わる補助的な方法として、間欠的空気圧ポンプを使うこともあります。空気で膨らませたりしぼませたりを繰り返して、間欠的に外側から圧力をかけるものですが、圧力の設定には注意が必要です。

弾性ストッキングやスリーブなどの弾性着衣、または弾性包帯を使用します。患部を圧迫することで皮下にたまっているリンパの排液を促します。悪化を防ぎ、むくみを軽減することもできます。むくみがひどいときには、多層包帯法といって、ストッキングなど弾性着衣の上から包帯を何重にも重ねて巻きつけることもあります。

弾性着衣の購入費用は保険適応となっていますので、医師の指示の下で使用して所定の手続きを行えば費用が支給されます。

前項の弾性着衣で患部を固定した上で運動を行うと、筋肉の収縮による筋ポンプ作用でリンパ液を運ぶ機能を高めることが期待できます。運動の種類はどのようなものでも構いませんが、激しい運動は避けたほうが良いでしょう。

メリロートエキス(エスベリベン®)はリンパ液の循環改善に一定の効果があることが分かっていますが、長期的に服用する必要があり、副作用も考慮しなければなりません。

皮膚が固くなり、傷つきやすくなると蜂窩織炎(ほうかしきえん)を起こしやすくなりますので、予防のために尿素製剤や保湿剤でスキンケアを行うことも効果があります。

基本的に利尿剤は使いません。リンパ液がたまっているのは身体の一部ですので、余分な水分を排出することによるむくみ改善効果はあまり期待できません。

リンパ浮腫の治療において外科的治療が進展しなかった理由として、リンパ管の状態を知り、評価する有効な手段がなかったことがあります。また、リンパ浮腫の患者さんの多くが女性であるという理由もあって、行き場のない多くの患者さんたちの相談を受けることの多い看護師が治療の担い手の中心となっていった経緯があります。ここに理学療法士などが加わり、現在の複合的理学療法が行われています。

しかし、複合的理学療法のエビデンス(科学的根拠)はまだ十分に確立されているとはいえません。マッサージの手技をはじめとする治療技術のばらつきや、患者さん自身が継続的に治療を続けていけるかどうかといったコンプライアンスの問題もかかわってきます。

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