前の記事「双子を妊娠したら―絶対に知っておくべき基礎知識」では、双子を妊娠された方すべてが覚えておくべき基本的なことがらについてご説明しました。さまざまな必須知識と並び、ご自身のケースがどの「膜性」にあたる双胎妊娠なのかを知っておくことは非常に重要です。この記事では、この「膜性」が何を示すのか、そしてよく知られている「卵性」との違いは何なのかといった知識について詳しくご説明します。引き続き、成育医療研究センター・周産期母性診療センター医長の和田誠司先生に伺いました。
双子の一般的な表現として一卵性、二卵性というような表現(「卵性」)のしかたがありますが、これはここで説明する「膜性」とは異なります。
「卵性」はリスク評価の際には用いられません。双胎妊娠をされた方は「膜性」について知っておかなければなりません。この「膜性」についてご説明する前に、まずは「卵性」について解説します。
1つの卵細胞が1つの精子と受精した後に2個以上の胎芽に分割し、それぞれが1つの胎児として発育するものが一般的に言う「一卵性」双胎です。
同時に2つ以上の卵細胞が排卵され、別々に受精・着床し発育したものを「多卵性」双胎といいます。2つの場合は、下図の「二卵性」双胎となります。
膜性診断という方法は、羊膜(赤ちゃんを包む膜)と胎盤によって分類する方法です。この膜性診断によって、双子の赤ちゃんに起こりうる様々なリスクを評価することができます。双胎妊娠の場合、早期からの膜性診断を行うことで胎児のリスクを評価し、以後の管理を行うことが重要になってきます。
膜性診断には、以下に挙げる3つの種類があります。
ふたりの赤ちゃんが別々の膜に包まれた空間にいて、それぞれの赤ちゃんに専用に胎盤がひとつずつあります。
ふたりの赤ちゃんは別々の膜に包まれた空間にいますが、胎盤はひとつの胎盤をふたりで分け合って使っている状態です。
ふたりの赤ちゃんが同じ空間にいて、胎盤もひとつしかない状態です。ふたりのへその緒が絡み合ってしまうことも多く、双胎妊娠の中では最もリスクが高い状態です。
双子を妊娠された方は、ご自身のケースが上記のどれに当てはまるのか、しっかりと認識しておくようにしてください。
国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 胎児診療科 医長
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