インタビュー

味覚障害の検査-受診すべき診療科とは

味覚障害の検査-受診すべき診療科とは
任 智美 先生

兵庫医科大学 耳鼻咽喉科 講師

任 智美 先生

この記事の最終更新は2016年02月14日です。

味覚障害を診断するための検査にはいくつかの方法があります。障害があるかどうかを確かめる「電気味覚検査」「濾紙ディスク検査」のほか、障害をもたらす唾液分泌機能を測る検査なども行ったうえで原因を調べていきます。兵庫医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室講師の任智美先生に、どのような検査でどのようなことを調べるのかについてお話を伺いました。

問診では、乱れた食生活をしていないか、全身疾患がないか、舌にできものや炎症がないか、構造や血流に異常がないかなどを確認します。客観的に味覚障害を検査する方法として「電気味覚検査」と「濾紙ディスク検査」があります。電気味覚検査は舌の上に電極を当てて、はじめは非常に軽度な電流を流して強さを徐々に高めていきます。電気は受容体を解さず神経に直接通すので、これによって神経経路に異常を来たしているかどうかを調べます。味覚が正常なら釘をなめたような味がします。ペースメーカーを装着している方は行えません。

濾紙ディスク検査では、甘味・塩味・酸味・苦味の4種類それぞれの味の強さを5段階にわけた溶液を作ります。その溶液を、直径5㎜ほどの小さな濾紙に浸して舌の上に置き、5段階のうちどの段階で感じるかをチェックします。この検査でどの味覚がどの程度鈍っているのかがわかります。このほか溶液を味わってもらい、何の味かを答えてもらう「全口腔法」という検査もあります。

唾液検査では、「安静時唾液量測定」と「ガムテスト」の両方を行います。安静の状態での唾液量とガムをかんだときの唾液量、またそれぞれの唾液のpH(酸性度またはアルカリ性度を計る尺度)を測定し、比較することによって診断の参考にします。たとえば、両方の結果がともに悪い方は、唾液分泌機能そのものが低下していると考えられます。また、安静時では唾液量が少ないもののガムテストでは多い場合は唾液分泌調整機能の障害を疑います。

「血液検査」では、欠乏すると味覚障害を起こすといわれている亜鉛と鉄の値を測定します。また全身疾患など他疾患がないかを調べます。ストレスなど心因性の可能性が疑われる場合には「心理テスト」などを行います。このほか症状に応じて、唾液腺機能を評価する「唾液腺シンチグラム」、正常に臭うことができるかを見るための「嗅覚検査」を行うことがあります。

味覚障害は専門的な検査や治療は主に耳鼻咽喉科が行っており、味覚専門外来を設けている病院もあります。歯科などで対応できる場合もありますが、味覚障害は全身性疾患が原因となっていることも多いので、耳鼻科を窓口に歯科・内科・神経科・心療内科などにつないでもらうのがよいでしょう。

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