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味覚障害の原因-亜鉛不足だけではなくさまざまな原因が考えられる
味覚障害では、味がわからなくなることで味の濃いものを食べ過ぎてしまい、その結果生活習慣病を誘発するおそれがあります。また何より食べる楽しみが失われてしまいます。亜鉛不足が原因とされるほか、近年は...
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味覚障害の原因-亜鉛不足だけではなくさまざまな原因が考えられる

公開日 2016 年 02 月 12 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

味覚障害の原因-亜鉛不足だけではなくさまざまな原因が考えられる
任 智美 先生

兵庫医科大学耳鼻咽喉科 講師

任 智美 先生

味覚障害では、味がわからなくなることで味の濃いものを食べ過ぎてしまい、その結果生活習慣病を誘発するおそれがあります。また何より食べる楽しみが失われてしまいます。亜鉛不足が原因とされるほか、近年は心因性が原因と診断されることも増えています。兵庫医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室講師の任智美先生に、味覚障害の原因についてお話を伺いました。

味覚障害とは

味覚障害になると、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味といった味覚に異常が現れます。味覚障害には、味覚そのものを感じる力が弱くなり、ひどくなるとまったく味を感じなくなる「量的障害」と、ある味覚だけ感じなくなり、何を食べてもいやな味がするといった「質的障害」の2つがあります。

味覚障害の最大のリスクは、味覚が低下していることに気づかないうちに塩分や糖分をとりすぎて、生活習慣病を誘発するおそれがあることです。また何よりも、味がわからず食べる喜びがなくなってしまいます。味覚障害から貧血や消化器疾患などの全身性疾患がわかることもあります。多くの場合、ご本人が味覚の低下や変化に気づいて「食べてもおいしく感じない」と訴えます。なかには、自身では気づかず、おかずをしょうゆに浸すようにつけているのを家族が見て来院されることもあります。

味覚のメカニズム

口の中には、食べ物の味を感じる「味細胞(みさいぼう)」があります。味細胞は、舌の表面にある茸状乳頭(じょうじょうにゅうとう)、舌の奥にある有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)にとくに集まって存在している味蕾(みらい)の中にあります。食べ物を噛むと味物質は唾液中に広がり、味細胞にある受容体で感じます。味細胞の受容体から神経を通じて大脳の味覚野に伝わり、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味という5つの味を認識します。

舌の場所によって味覚の感じ方が異なるともいわれ、それが「味覚地図」として表現されたことがありますが、これは現在では誤りだということがわかっています。味覚は舌全体によって複雑な経路ですべての味覚を感じているようです。

味細胞と味蕾

味覚障害の原因

味覚障害はさまざまな原因によって生じます。「味物質を味蕾で受け止めるまで」・「味蕾で受け止めて神経に届くまで」・「それが脳に伝わるまで」のそれぞれの段階で味覚を阻害する要因が働いて引き起こされます。主に以下の要因が考えられます。

血液中の亜鉛不足

味蕾の味細胞には味を感じるためには亜鉛が必要とされています。亜鉛が不足すると味細胞の生まれ変わりが遅くなり、味細胞のはたらきに影響を与えることがわかってきています。

薬の副作用

薬の中に含まれる物質と亜鉛とが結びつき、亜鉛の吸収が妨げられたり、亜鉛が体の外に出されることがあります。抗アレルギー薬・抗がん薬・解熱鎮痛薬・抗うつ薬など多くの薬が味覚障害の原因となります。

心因性

うつ病やストレスなどを感じたときに味覚障害が起こることがあります。

感冒(かぜ)

熱を出した後に味が分からなくなってしまうことがあります。嗅覚が低下する「風味障害」と同時に起こることがあります。感冒中の味覚障害は自然に治ることが多いのですが、感冒後の味覚障害は治りにくいケースがあります。

舌の表面の異常

舌の表面に白いものが見えることがありますが、これが舌苔(ぜったい)です。細菌や食べかすなどが舌の表面に付着したもので、消化機能が衰えたり、喫煙や口内環境が清潔でないときに厚くなります。また、抗生剤の服用によって黒毛になることもあります。舌苔が厚くなると味細胞を受け取る味蕾の外側を覆ってしまうため味覚障害が起こります。疾患としては舌炎や口内乾燥症(ドライマウス)などがあります。

味覚障害を招く全身性疾患

亜鉛不足や亜鉛の機能が働かなくなる全身性疾患として、貧血や消化器疾患、甲状腺疾患、腎疾患(特に透析)などがあります。味覚を伝達する神経経路が異常をきたすことで味覚障害を起こす疾患としては、顔面神経麻痺や脳梗塞・脳出血などがあります。 

味覚障害で来院される患者さんの年齢を見ると、高齢になってかかる全身性疾患や、疾患に伴う薬剤の使用になって味覚障害が引き起こされるため、年齢が高くなるほど増える傾向にあります。

 

日本ではまだ数少ない「味覚外来」の担当医師。年間約200人の味覚障害患者を診ている。味覚障害に関する論文も多数発表している。育児と両立しながらの勤務で、後進の女性医師にとってのロールモデルともなっている。

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