インタビュー

色素性乾皮症の治療と遺伝子検査について

色素性乾皮症の治療と遺伝子検査について
森脇 真一 先生

大阪医科大学 皮膚科学教授

森脇 真一 先生

この記事の最終更新は2016年02月09日です。

遺伝子の病気である色素性乾皮症は日光に当たる部分に症状が出るため、紫外線防御がとても大切です。ここでは、色素性乾皮症の治療方法をはじめ、生活の中での注意点と遺伝子検査について、大阪医科大学感覚器機能形態医学講座皮膚科学教授の森脇真一先生にうかがいました。

コケイン症候群(詳細は記事1『コケイン症候群とは? 特徴的な症状が現れる遺伝性の病気』)と同様、完全に治す方法はまだ見つかっておりません。細胞実験や動物実験では研究が進められているものの、まだヒトに適応できる段階まで来ていないのが実情です。

対症療法として、特に主症状である皮膚症状については、遮光を確実に行うことで皮膚がんの発症を高確率で防ぐことが可能になってきています。また、できてしまった皮膚がんは早期発見と早期切除が望ましく、ときには植皮(日光によって刺激されていない部位から取ってきた皮膚を移植する)を行います。植皮については、お尻やお腹などの皮膚を使うので、植皮に使う健全な皮膚が無くなるというような心配はありません。

しかしがん一つ一つを取り除いて植皮を行うため、がん細胞の予備軍なども含めると植皮する必要のある個所が何百という数になってしまいます。このような状況で切除が難しい場合には、イミキモド(ベセルナ®)という外用剤やインターフェロン(ウイルスに対抗できるように体内で作り出される物質の一つ)を使った局注療法を用いることもあります。このように、症状や状態によって最適な方法が選ばれています。

一方、神経症状については、なぜ神経症状が起こるのかもまだわかっておらず、良い治療法が見つかっていません。歩行困難などの症状が出た際は、歩行装具を付けて矯正を行う場合もあります。症状によってそれに応じた対症療法を行うことになりますので、定期的な診察が欠かせません。

神経障害を伴うA群では、特に重症例の場合、以前は20歳前後の若年のうちに死亡することが多いとされてきました。主な死因は皮膚がんや神経障害に起因するものです。しかし、現在は皮膚がんの予防の徹底と神経症状に対する対症療法の進歩により、平均寿命は30歳までと延びてきています。

一方、V型の症状は主にがんであり、早期発見することができれば長く生きることも不可能ではありません。

まずは、紫外線を防ぐことがもっとも重要となります。日焼け止めはもちろん、日傘、すだれ、カーテン、また、長袖や長ズボン、ハイソックスといった道具を用いた紫外線の防ぎ方も有効です。

100%遮光しても、脳は紫外線に関係なく変異するため、神経症状は防ぎようがありません。しかし、紫外線を浴びたほうが進行は早いことに変わりないため、やはり紫外線対策を行うことが重要です。

また、ヒトの体を構成する分子を次々と障害し、神経の変性を呼び起こす物質である活性酸素が増えるのを防ぐため、ビタミンCやビタミンEを摂取したり、添加物を避けたり、栄養をたっぷり摂り入れた食生活が望ましいでしょう。

その他にも、牛乳などでビタミンDを補給することも大切です。なぜなら色素性乾皮症の患者さんは紫外線を浴びないよう過ごすため、ビタミンDがうまく合成されず、骨が弱くなりやすい傾向があるからです。

色素性乾皮症は、遺伝子検査で確定診断を行うことが出来ます。遺伝子検査を行わない方法でも判断は可能ですが、最も確実なのが遺伝子検査です。

診断の方法としては以下の4点が挙げられます。

A:症状

B:検査所見

C:患部別疾患

D:遺伝子検査

遺伝子検査を行うことで基本的に100%診断ができますが、できない場合は色素性乾皮症である可能性の高さに応じて、definite、prbablr、possibleと分けています。

また、出生前診断については、A群に対してのみ行っています。

検査を受ける場合には、まず十分な遺伝カウンセリングを受けていただきます。そして色素性乾皮症の可能性があると診断されたら、家族で今後の方針について主治医や遺伝カウンセラーを交えながら決めていきます。

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