「コケイン症候群」は2015年7月1日より指定難病に認定された遺伝性の病気です。希少疾患であり認知度も低いこの病気が、どんな病態であるかは、記事1『コケイン症候群とは? 特徴的な症状が現れる遺伝性の病気』でお伝えしました。ここからは具体的な症状や遺伝子検査、治療方法、日常での注意点について、大阪医科大学感覚器機能形態医学講座皮膚科学教授の森脇真一先生にお話していただきました。
現在は、主徴候と副徴候に分類がされており、診断の基準にも用いられています。主な症状として95%以上の高い確率で現れるのが、身長が低かったり、体重が軽かったりする成長障害です。また、3才を過ぎる頃には目がくぼみ、顔の皮下脂肪が少なくなり、子どもでありながら老人に似た特有の顔貌(早老様顔貌)が見られます。
コケイン症候群の徴候一覧
主徴候著明な成長障害(低身長など、低体重、小頭などがあげらる)
精神運動発達遅延(言葉や歩行の発達が極めて遅いなどで気づかれる)
早老様の特徴的な顔貌(くぼんだ眼と頬、鳥の嘴様の鼻など一見老人の様にみえる)
日光過敏症状(紫外線に弱く、日焼けしやすい)
副徴候 ※乳児期には稀で幼児期以降に始まることが多い大脳基底核灰化(大脳の深い部分にカルシウム沈着(石灰化)が認められる)
感音性難聴(内耳(耳の深い部分)でおこる難聴)
網膜色素変性症(光を神経の信号に変える働きをする網膜に異常をきたす)
その他の徴候 ※年齢とともに出現、進行する白内障
足関節拘縮(関節の動きが制限される)
視神経萎縮(視力低下や視野搾取)
脊椎後弯(背骨の変形が生じる)
齲歯(虫歯)
手足の冷感
性腺機能低下(ホルモンの低下)
肝機能障害
耐糖能異常(糖の代謝が正常ではないが糖尿病まではいかない状態)
これに基づき、以下のふたつの診断方法で確定を行います。後者のように、遺伝子検査を行わない場合でも診断を行うことができます。
●主症状二つ以上で検討、遺伝子検査で確定
●主症状+副症状が二つ以上で確定
コケイン症候群の確定診断方法として、遺伝子診断があります。精密検査となるために時間はかかりますが、遺伝子検査で変異が見つかることにより確実な診断が行えます。
外国では出生前診断も行っていますが、日本では出生前診断に関しては倫理的な問題もあり、まだ手付かずの状態です。
コケイン症候群は遺伝病であるため、完全に治す方法はありません。症状についても、なぜ発症するのかの理由はまだ不明です。
ただし、現在は遺伝子治療の可能性が検討されており、研究は少しずつ前に進んでいます。
紫外線に対して高感受性があるため、過度の紫外線に曝されるのを避けることが必要になります。日焼け止めクリームや帽子、長袖の衣類も有用です。
また、年齢を経るにつれて、視力が落ちる、耳が聞こえにくくなる、関節が固くなる、足が変形する、歩けなくなるなどの症状が進行します。そこで、メガネの着用、補聴器の携帯、関節に対する理学療法の特別な装具の使用、車いすの使用などが必須になります。
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