子どもはよく転ぶため、体に傷ができることもしばしばあります。親御さんは、子どもにできた傷を跡に残らないようにしてあげたいと思うでしょう。子どもの傷跡について、東京都立小児総合医療センター救命集中治療部救命救急科の萩原佑亮先生にお伺いしました。
形成外科の先生ともよく話をするのですが、傷が残るか残らないかは「本人の皮膚の体質」の影響が大きいと考えられています。また、頻繁に動く場所は傷跡が残りやすいと知られています。例えば心臓手術後の胸の傷は、瘢痕(はんこん:ケロイドともいいます)になりやすいことが知られています。原因は、呼吸によって胸が常に動いており傷口に対して常に引っ張られる力が働くためだと考えられます。
子どもの細胞は基本的に非常に若いため、子どもの傷は大人の傷よりもきれいに治りやすい傾向にあります。ただし、どんな名医が治療をしても、傷跡は完全にはなくなりません。傷がなかった状態を知る親御さんからみれば傷跡があるのがわかってしまいますが、他人にとっては「傷がある」といわれなければわからない程度にまで治癒することが期待できます。
傷跡がなくなるには年月がかかりますが、時間が経てば経つほどに目立たなくなる可能性を秘めています。よほど大きくて目立つ傷であれば別ですが、「子どもに傷跡が残るかもしれないから形成外科に行かなければならない」と焦りすぎる必要はないでしょう。最終的に、子ども自身が判断できる年齢になったとき、美容的に気になるようであれば、本人の判断で受診を決めるのでも遅くはないと思います。
記事2『子どもの怪我で代表的な切り傷・擦り傷の治り方』のとおり、傷跡が目立たないようにするには、紫外線対策が大切になります。
親御さんがどれだけ注意をしていても、子どもは怪我をします。これは子どもが成長発達を遂げるうえで自然なことだと考えています。子どもの傷は、子どもが持つ本来の自然治癒力を妨げなければ、時間はかかるとしてもその多くは治ります。親御さんは不安になりすぎず、正確な情報をもとにして適切な対処をしましょう。
私は、親御さんが一生懸命子どものことを考えているから、子どもの怪我にしても病気にしても、救急を受診されるのだと感じます。また、子どもは大人と異なり、親御さんが病院に連れてこない限り病院を受診できません。
最初はどういうときにどう対処すべきかわからなくても、子どもがけがや病気を経験することに合わせ、親御さん自身も少しずつ成長していくのでしょう。親御さんが自宅でできることも多くあります。ご自身で判断がつかないことがあれば、遠慮なく医療者に尋ねていただきたいと考えています。私たちもきちんと親御さんに対処法を説明する必要があると同じように、親御さんが一緒に成長する必要もあります。このことが、将来的な子どもの幸せに繫がっていきます。
「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。
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