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インタビュー

胞状奇胎の妊娠と出産ー治療後の妊娠はいつから可能?

胞状奇胎の妊娠と出産ー治療後の妊娠はいつから可能?
兼城 英輔 先生

九州大学 大学院医学研究院 生殖病態生理学、九州大学病院 産科婦人科助教

兼城 英輔 先生

胞状奇胎の後に続発症を起こす割合は10~20%あるといいます。続発症の早期発見には妊娠性のホルモンの継続的な計測が必要となります。九州大学病院産婦人科の兼城英輔先生に胞状奇胎の現状についてお話をうかがいました。

胞状奇胎は、受精が成立したときの卵子と精子の異常によって発生することがわかっています。母親由来のDNAが欠損し父親由来のDNAが2本あるものを「全胞状奇胎」といい、正常なDNAを持つ卵子に2個の精子が受精してできるものを「部分胞状奇胎」といいます。

全胞状奇胎の場合は胎児を形成することはなく、胎盤のもととなる絨毛が水腫となって増殖していきます。増殖のスピードが速いため、通常の妊娠よりも子宮が大きくなるのが早いのが特徴です。しかし、現在では超音波検査の精度向上などによって、早い段階で診断がつくようになったため、妊娠初期の時点で子宮内除去手術が可能となりました。よって、その後に続く続発症の発生も減少傾向にあるのが現状です。

超音波検査に加え、胞状奇胎の診断に有効とされているのが妊娠性のホルモンであるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)値です。妊娠にともなってhCG値は上昇しますが、上昇しているにもかかわらず超音波で胎児の袋がみられない場合などは、異常妊娠である可能性が高まります。

全胞状奇胎の場合は、その1~2割程度が続発症を起こしてくるため、続発症の発生リスクを抑えることが大切となります。日本では多くの施設で子宮内除去手術を行い、その1週間後に再掻破が行われてます。早い段階で子宮内除去手術を行うことは続発症のリスクを下げる可能性があり、私が行った研究によると、水腫の大きさが2ミリを超えないものに関しては、続発症の発生リスクも減少するというデータが得られています。

胞状奇胎の後は、治療後も続発症を起こしていなか定期的な経過観察が必要となります。続発症が起きているかどうかを判断するのに一番有効なマーカーとされているのが妊娠性ホルモンであるhCGです。妊娠性ホルモンが完全にゼロになる、あるいはカットオフ値以下まで下がり、その後半年くらい様子をみてhCG値が上昇してこなければ、その時点で妊娠を許可します。

しかし、hCG値が低値になってくると、止まっていた生理も再開してきますので、そこで妊娠してしまう方もおられます。妊娠すると当然hCG値が上がってくるので、そうなると妊娠によるものなのか、続発症によるものなのか分からなくなってしまいますので、患者さんにはこのことをしっかりと説明しなければなりません。

部分胞状奇胎は、水腫状の絨毛ととともに胎児が育つことがあります。胎児がいる場合の部分胞状奇胎は妊娠の初期には正常妊娠との区別が難しいため、囊胞部が出てきてから診断がつくことが多々あります。また、部分胞状奇胎では胎児がいたとしても流産してしまうことがほとんどなので、その段階で子宮内除去手術を行い、顕微鏡検査によって最終的に診断します。

部分胞状奇胎との区別が難しいものとしては、正常妊娠と全胞状奇胎の双子の妊娠があります。この場合は妊娠の継続が可能で、通常の妊娠よりリスクはかなり高いですが、元気な赤ちゃんを得ることは可能です。一方、部分胞状奇胎から正常児が生まれたという報告も小数例ありますが、個人的な見解としては、このような症例の多くは実際は全胞状奇胎と正常妊娠の双子だったのではないかと推測しています。

 

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