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インタビュー

絨毛性疾患の治療-リスクにより選択薬は変わる

絨毛性疾患の治療-リスクにより選択薬は変わる
兼城 英輔 先生

九州大学 大学院医学研究院 生殖病態生理学、九州大学病院 産科婦人科助教

兼城 英輔 先生

絨毛性疾患の治療は、低リスクに対する単剤療法、ハイリスクへの多剤併用療法などリスクに応じた治療が行われます。九州大学病院産婦人科の兼城英輔先生に、絨毛性疾患の治療についてお話をうかがいました。

胞状奇胎の続発症として生じる侵入奇胎や絨毛がんは抗がん剤が非常によく効くため、治療としては抗がん剤による化学療法が中心となります。そのため、進行度を示すステージ分類もされてはいますが、ステージによって治療法が変わるということは基本的にはありません。

胞状奇胎の後hCGの値が再上昇して続発症を起こし、侵入奇胎や臨床的侵入奇胎あるいは奇胎後hCG存続症と診断された場合には、まず抗がん剤治療を行います。侵入奇胎(臨床的侵入奇胎、奇胎後hCG存続症)は予後のいい低リスクの疾患になりますので、この場合には、1種類の抗がん剤を用いる単剤療法を行います。

使用する薬剤は、メトトレキサートあるいはアクチノマイシンを使うのが一般的です。初回治療で治る割合は、メトトレキサートが7割程度、アクチノマイシンが8割程度です。アクチノマイシンのほうが、若干治療効果が高いのですが、メトトレキサートは脱毛が起きないことや、筋肉注射で済むのに対して、アクチノマイシンは脱毛が起きるのと、5日間連続の点滴治療となるので通院時間、日数が多くなります。このようなことから、九州大学病院ではメトトレキサートが第一選択薬として使用されています。

また、侵入奇胎や臨床的侵入奇胎などの場合は、初回治療がうまくいかない場合でも、セカンドライン(二次治療)でほぼ100%完治することが可能です。つまり、初回治療でメトトレキサートを用いて効果がない場合、次にアクチノマイシンを用いることでほとんど完治できるということです。低リスクの絨毛性疾患は、初回治療は副作用の少ないマイルドな治療から始めるのがいいでしょう。

低リスクの絨毛性疾患に対するキードラッグとしては、上記の2剤のほか、エトポシドがあります。エトポシド自体は、アクチノマイシンと同程度の効果がありますが、副作用として卵巣毒性といって卵巣にダメージを与えるため、治療後に生理が再開しなかったり、卵巣の機能が低下して妊娠できない場合などがあるため、若年の方で妊娠を希望する方には使いません。

絨毛がんあるいは臨床的絨毛がんといった悪性度の高いハイリスクな絨毛性疾患は、しっかりと治療を行う必要があるため、抗がん剤による多剤併用療法を行います。治療の中心は抗がん剤による化学療法となり、レジメン(薬の種類)としては、メトトレキサート、アクチノマイシン、エトポシドの3剤併用によるMEA療法や、上記の3剤に加えて、ビンクリスチンとシクロホスファミドを加えた5剤併用によるEMA/CO療法が治療の第一選択薬となります。複数の薬剤を使用するため、低リスク治療で行う単剤療法と比べると、強い治療になりますが、寛解率はどちらもおよそ8割程度です。

また、絨毛がんは転移が必発のがんで、特に肺への転移が多くみられます。子宮の病変や、肺などへの転移に対して、手術で摘出が可能であれば切除することもありますが、転移巣を摘出できたとしても、追加の抗がん剤治療が必要となります。

絨毛がんの場合、初回治療から複数の抗がん剤を使用するため、効果がないときにセカンドライン治療が抗がん剤だけでは難しい場合が出てきます。そのときには、手術療法を行ったり、脳などへの転移がみられる場合には、放射線療法を行ったりと、いくつかの治療法を組み合わせて行います。最終的な寛解率はおよそ9割で、残念ながら1割程度の方が亡くなります。

胞状奇胎は誰もが起こす可能性がある病気で、その発生を防ぐことはできません。もし胞状奇胎と診断された場合は、経過観察として妊娠性ホルモンであるhCG値の測定を行い、続発症を起こしたとしても早い段階で対応すれば治る病気で、その後の妊娠も十分可能なので、いずれにしても、早期発見と早期治療が重要です。

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  • 九州大学 大学院医学研究院 生殖病態生理学、九州大学病院 産科婦人科助教

    兼城 英輔 先生

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