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胞状奇胎

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概要

胞状奇胎は「絨毛性疾患」のひとつです。絨毛とは、妊娠に伴って発生する胎盤の一部で、胎児と母親との間で栄養素や老廃物の交換を可能にしている組織であり、この絨毛に発生する病気の総称が絨毛性疾患です。

胞状奇胎では、絨毛細胞の増殖や間質の浮腫によって絨毛が水腫状に大きくなります。その結果、妊娠初期同様に不正性器出血や妊娠悪阻(おそ:つわりのこと)といった症状をきたします。

胞状奇胎はすべての絨毛が肉眼で確認できるほどに大きくなった「全胞状奇胎」と、胎児成分が存在し、絨毛の一部のみ大きくなっている「部分胞状奇胎」に分類できます。両者は原因が少し異なります。

原因

一言に「胞状奇胎」といっても、「全胞状奇胎」と「部分胞状奇胎」では、発生機構が全く異なります。

全胞状奇胎

核のない卵子(ゲノム欠損卵)に1つの精子、もしくは2つの精子が受精して発生します。精子由来の遺伝子しか持たないため、雄核発生と呼ばれます。

部分胞状奇胎

正常な卵子に2つの精子が受精して発生します(3倍体)。

症状

胞状奇胎の症状には、主に以下があります。

  • 妊娠初期より不正性器出血
  • 妊娠悪阻症状

妊娠中の出血は他の病態でもでも見られ、胞状奇胎に特異的ということはできません。部分奇胎の自覚症状は、全奇胎と比べて軽微です。

検査・診断

主に以下の2つの検査によって胞状奇胎が疑われます。

  • hCGの値(妊娠したときのみ分泌される特殊なホルモンの値)の明らかな上昇(血液検査、尿検査)
  • 超音波検査

超音波の精度が向上しているため、妊娠6週あたりの早い段階で、妊娠性のホルモンであるhCGの値が上昇しているにもかかわらず、赤ちゃんの袋がみえないというようなことで異常を発見することができるようになりました。

ただし、胞状奇胎は、妊娠のごく初期では正常妊娠との区別をつけるのが難しく、一部に初期の胞状奇胎が含まれている可能性があり注意が必要です。確定的な診断は、組織学的な診断によって行われるのが一般的です。それでも診断が困難な例では、遺伝学的な検査が行われます。

治療

胞状奇胎と診断されたときにまず行われるのが子宮内除去手術です。日本では2回行うケースがほとんどですが、1回だけの場合もあります。症例ごとに、エコーでの組織の残存の状況、hCGの値など異なるため、医師にしっかり確認することも大切です。

また、術後の管理も重要となります。一次管理として妊娠性ホルモンであるhCG値を1~2週間毎に測定します。その後、二次管理として3~4年程度にわたりhCG値を継続して測定し、陰性化しているか確認しながら経過観察を行います。

全胞状奇胎のおよそ10~20%は、続発症を起こしているとされています。続発症の中で多いのは侵入奇胎ですが、その一部は絨毛がんになっていきます。妊娠性ホルモンが一旦は陰性化したあとに再び上昇して、続発症として侵入奇胎もしくは臨床的侵入奇胎と診断された場合には、抗がん剤治療が必要となります。

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