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インタビュー

絨毛性疾患-アジア人に多い胞状奇胎の診断

絨毛性疾患-アジア人に多い胞状奇胎の診断
兼城 英輔 先生

九州大学 大学院医学研究院 生殖病態生理学、九州大学病院 産科婦人科助教

兼城 英輔 先生

絨毛性疾患の大多数を占めているのが胞状奇胎です。昔に比べると早い段階で診断することが可能となりましたが、これはなぜでしょうか。九州大学病院産婦人科の兼城英輔先生に、胞状奇胎についてお話をうかがいました。

妊娠にともない、胎盤のもととなる絨毛という組織から発症する病気の総称を絨毛性疾患といいます。絨毛性疾患には胞状奇胎、侵入奇胎、絨毛がんなどいくつかの種類がありますが、絨毛性疾患の中でも最も多くを占めているのが、絨毛が嚢胞状に変化、増殖する胞状奇胎です。

胞状奇胎はアジアに多く発症する傾向があり、日本においては妊娠1000例に対して2~1例程度発症すると推測されています。胞状奇胎は減少傾向にありますが、出産自体が減少していることと、医学の進歩によって、胞状奇胎と診断される前の非常に早い段階で流産として手術を受けるケースが増えてきていることが背景にはあるのではないかと考えます。絨毛が水腫状になってくるのが肉眼でわかるのは、妊娠8週から10週程度からなので、それ以前に関しては患者さんご本人だけでなく医療者側も胞状奇胎と気づかないことも少なくないと考えられます。

医療器機の中でも特に超音波の進歩によって、非常に早い段階で胞状奇胎など妊娠における異常を発見することができるようになりました。胞状奇胎の中でも全胞状奇胎は赤ちゃんを形成することがないため、昔はぶどうのような水腫を形成することから「ぶどう子」とも呼ばれていました。

超音波がなかった何十年も前には、妊娠初期に異常を発見することができず、妊娠中に出血したり、妊娠が進むと胎盤のもとになる絨毛が水ぶくれのように膨らんで増殖したりするため、正常の妊娠の場合と比べて子宮が大きくなるスピードが速いなどの症状がみられました。そのため、妊娠6か月あるいは7か月あたりの段階で分娩となってしまい、そのとき初めて胎児ではなく、ぶどうの房のようなものが出てくることで、胞状奇胎と判明していたのです。

しかし現在は、病院を受診すれば日本では必ず超音波検査を行いますので、妊娠に異常があればその段階でわかります。胞状奇胎に特徴的な子宮内の嚢胞状構造は妊娠8~10週以降は超音波検査でしっかり捉える事が出来ます。また、妊娠9週とか10週あたりになると、異常妊娠であれば妊娠性のホルモンであるhCGの値が通常の妊娠よりも高くなってきます。そのほかにも、つわりが通常よりもひどかったり、出血を起こす割合も高くなるので、それらの症状などから判断していくことも多くみられます。

超音波の精度が大変向上しているため、いまは妊娠6週あたりの早い段階で、妊娠性のホルモンであるhCGの値が上昇しているにも関わらず、赤ちゃんの袋が見えないというようなことで異常を発見することができるようになりました。このように、子宮内に赤ちゃんの袋が見えない場合には多くが流産として処置をされていますが、胞状奇胎は、妊娠のごく初期では正常妊娠との区別をつけるのが難しく、一部に初期の胞状奇胎が含まれている可能性があり注意が必要です。

胞状奇胎と診断された場合は、その後に続発症を起こす可能性があるため、必ず患者さん本人には胞状奇胎であることをお伝えして、続発症を発症しないか経過観察をしなければなりません。妊娠時に「流産」と診断され手術を行った後も出血が続くということで、病院で検査をして胞状奇胎の後の続発症だったと分かることも少なくありません。

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  • 九州大学 大学院医学研究院 生殖病態生理学、九州大学病院 産科婦人科助教

    兼城 英輔 先生

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