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新専門医制度における新しい内科専門医制度とは

新専門医制度における新しい内科専門医制度とは
横山 彰仁 先生

高知大学 医学部血液・呼吸器内科学 教授、高知大学医学部附属病院 前病院長

横山 彰仁 先生

専門医の資格は、医師がスペシャリストとして研鑽を積み、自分のキャリアを形成していくために非常に重要です。ここ数年、医師の質をさらに高め、より良質な医療を提供するため、新専門医制度への移行が計画されてきました。現在、具体的にどのような変更になるのか各学会と日本専門医機構が議論を重ねています。もっとも多くの会員が所属している日本内科学会においては、認定医を廃止するなど最も大きな変革が行われることとなり、長期にわたって慎重に議論を重ねてきました。

今後、内科医はどのように経験を積んでいくべきなのか、そのために専門医制度をどのように改善していくべきなのか。内科専門医養成の構想について高知大学医学部附属病院病院長の横山彰仁先生にお話を伺いました。

専門医とは、その分野で高度な知識・技術・経験を持つとして各学会から認定された医師のことです。たとえば、循環器の専門医を目指す場合、専門研修を受け、循環器学会が実施する試験に合格することで専門医になることができます。

しかし、各学会が独自で運用しているため、専門医の質の担保や資格管理などに対してさまざまな課題が指摘されてきました。そこで、2011年から厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」において2年にわたって検討され、専門医資格を「一般社団法人 日本専門医機構」という第三者機構が管理しようということになりました。現在、日本専門医機構と各学会が連携し、2018年度からの開始に向けて新たな専門医制度が策定されています。

ここからは日本内科学会が取り組んでいる新しい内科専門医制度についてお話します。

通常、医師の専門はさまざまな診療領域に分かれています。たとえば、内科、外科、小児科などです。これらのことを基本領域といいます。この基本領域に加えて、現在の医療は高度化が進んでいるため、内科や外科などの診療領域の上にさらに専門分野が細分化されています。たとえば内科領域であれば循環器内科、消化器内科、呼吸器内科…などです。これをサブスペシャルティといいます。あるサブスペシャルティ領域の専門医を取得するには、まず先に、その基本領域の専門医(内科であれば内科専門医)を取得しておく必要があります。

先に述べたように、現在、大学病院などの大きな病院の内科においては専門分野の高度化とともに、診療科の細分化も進んでいます。消化器内科などでも消化管、肝臓・胆嚢、膵臓…などに分かれていることもあります。そのような中で、サブスペシャルティ(細分化された専門領域)の医師の存在はもちろん重要ですが、高齢になるほどひとりの患者さんに多種の慢性疾患が生じているため、高齢化が進んでいる地域においては、一人の医師がさまざまな内科疾患を幅広く診療できることも重要になってきます。

地域医療に求められるのは、サブスペシャルティの医師ほど専門的な治療ができなかったとしても、幅広い内科疾患において初期対応や慢性期における管理などにきちんと対応することのできる医師です。

つまり、医師の供給と需要の間に齟齬が生じているわけです。この齟齬を解消できるような制度であることが、内科領域の制度構築において重要なことといえます。

このようなニーズが高まる中で、内科を幅広く診療することのできる「ジェネラリティ」の素養をもった内科医を養成していくために若い医師が内科領域を幅広く学び、充実した内科研修を受けられるための新たな内科専門医制度のプログラムを議論してきました。

現在、サブスペシャルティの基盤となる資格は「内科認定医」であり、この受験資格は初期研修を2年間と内科研修を1年間行うことで得られます。これまでの内科研修は大病院の臓器別専門病棟で行うことが多く(いわゆるサブスペシャルティ領域)、専門分野に偏った研修になりがちでした。そのため、非常に狭い専門分野しか診ることのできない内科医が育ちやすいという環境がありました。それでは地域が求める内科全般を診療するマインドを持つ内科医を十分に供給することができず、ミスマッチが生じていたわけです。 

新しい内科の専攻医研修においては、これまで許容していた、副病名・副担当ではなく、主病名で幅広い領域の疾患を主担当医として経験することを求めることとしています。

地域の事情や特性にも配慮し、さまざまなプログラム設計を許容する必要もあります。後述するサブスペシャルティ領域の専門医を最短で取れるプログラムや、余裕をもって内科全般を学べるプログラム設計を望む声もあり、以下のようなタイプを想定しています。

内科専門研修のプログラム

より早くサブスペシャルティ専門医になれる道を用意するため、内科とサブスペシャルティの専門研修を連動して行うというプログラムを用意しています。また、従来、3年間同一病院で研修するシステムを持つ場合に有効な混合型というタイプも用意し、これは4年間で内科研修もサブスペシャルティ研修も混合して行うプログラムです。

この混合型や2年連動研修型では、それぞれ所定の研修を最短で修了できた場合、内科専門医の受験資格はそれぞれ4年、3年研修後と異なりますが、これまでと同様の年数(卒後7年目)でサブスペシャルティ専門医の受験が可能となるわけです。

サブスペシャルティ専門医

新内科専門医の活躍の場は次の4つに大別されます、

  • 地域医療における内科領域の総合診療医(かかりつけ医)
  • 内科系初期救急医療の専門医
  • 病院での総合内科(generality:ジェネラリティ)の専門医
  • 総合内科的視点を持ったサブスペシャリスト

これまで、大病院では4のサブスペシャリストの養成が重視されてきましたが、内科専門医にはさまざまな活動の場と役割が求められます。人によってはいくつかのフィールドをまたいで、またライフサイクルに応じて変化しつつ活躍することもあります。

これから専門医を取得する医師が、ジェネラリティを重視しつつ、多様な選択肢をもてるようにさまざまなタイプの研修を構想しています。サブスペシャルティ専門医として早くから専門分野をきわめる医師も当然必要であり、バランスよく養成していくことが重要です。

研修にはプログラム制とカリキュラム制があります。現在、専門医機構では基本領域はプログラム制、サブスペシャルティ領域はプログラム制あるいはカリキュラム制どちらも可能としています。プログラム制・カリキュラム制がそれぞれ何を意味するのかは明確ではない面がありますが、以下のような違いがあると考えられます。

・プログラム制

プログラム制では、年次ごとに定められた一定のプログラムに沿ってカリキュラムの内容を履修します。これはタイムラインに沿って学ぶ必要があるので、意欲があり早く学んでいきたい方がスピードアップしていくことはできません。

・カリキュラム制

カリキュラム制では、カリキュラム基準(到達目標)を満たした時点で、専門医試験の受験が可能となります。これにより質が担保できると同時に、早く修了したいという意欲のある方がより早く学ぶことができます。

多くのサブスペシャルティ領域では両方に対応できるように工夫されるのではないかと思います。

内科専門研修の目標と修了要件は次の通りです。

1.目標(専門研修期間3年)

主担当医として200症例以上、カリキュラムに定めた内科領域全70疾患群を主病名で受け持つことを目標とします。

2.修了要件

修了要件は目標よりは若干、目線が低く、主担当医として160症例以上、内科領域56疾患群以上を主病名で担当することが求められます。そして、専門研修3年目(混合型では4年目)に29の病歴要約の提出と受理が必要とされます。

(3年目以降の症例で不足する場合、初期臨床研修中に経験した症例のうち、主担当医として專攻医のレベルと同等以上の適切な考察を行なっていると指導医が確認できる場合は登録可能)

3.その他の修了要件

その他、下記の条件を満たすことで修了することが可能です。

  • 所定の2編の学会発表または論文発表
  • JMECCの受講
  • 各研修プログラムで定める講習会の受講
  • 指導医とメディカルスタッフによる360度評価に基づき医師としての適性に疑問がないこと

新制度では、ウェブ上の研修手帳(J-Oslerと呼びます)において、すべての研修内容や指導の記録がなされ、普遍性・透明性の高い研修が行われることとなっています。新しい専門医制度によって、ジェネラリティとサブスペシャルティが調和した、国民のニーズにあった内科医の養成により、患者さんに対する医療の質がより向上することを期待しています。

また、議論を重ねる中で、現在の総合内科専門医に相当する、ジェネラリティをさらに高めた新たな資格の創設も視野に入れています。今後詳細が決まってくると思います。

いずれにしても、新制度は始まってからの調整が極めて重要になってくると思われ、さらにさまざまな立場の方の意見を聞きながら、国民の目線に沿って整えていきたいと考えています。

 

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  • 高知大学医学部附属病院 前病院長、高知大学 医学部血液・呼吸器内科学 教授

    横山 彰仁 先生

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