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GISTの主な治療方法-手術から薬物療法まで
GIST(消化管間質腫瘍:GastrointestinalStromalTumor)とは、粘膜下腫瘍の一種です。蛋白(たんぱく)の異常な増殖により発生し、症状が現れづらい点が大きな特徴になってい...
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GISTの主な治療方法-手術から薬物療法まで

公開日 2017 年 07 月 11 日 | 更新日 2018 年 04 月 03 日

GISTの主な治療方法-手術から薬物療法まで
島田 英昭 先生

東邦大学医療センター大森病院 消化器センター外科教授(食道・胃外科担当)

島田 英昭 先生

GIST(消化管間質腫瘍:Gastrointestinal Stromal Tumor)とは、粘膜下腫瘍の一種です。蛋白(たんぱく)の異常な増殖により発生し、症状が現れづらい点が大きな特徴になっています。

このGISTの治療では、手術による腫瘍の切除が治療の第一選択となります。切除に成功することで、再発や転移の可能性は大きく減少することがわかっています。では、手術が適応されないケースでは、どのような治療が適応されるのでしょうか。

今回は、東邦大学医療センター大森病院 消化器センター外科の教授でいらっしゃる島田 英昭先生にGISTの治療や予後についてお話しいただきました。

GISTの治療-手術適応が第一選択となる

リンパ節郭清のない低侵襲の腹腔鏡手術を実現

手術

GISTの治療では、手術による腫瘍の切除が最も有効であり、治療の第一選択となります。特に、完全切除をした場合には、ほかの消化器がんと比較しても再発率が低く治癒率が高いことがわかっています。

一般的に、GISTの手術は侵襲性が低く比較的安全にできる手術の一つとされています。それは、胃がんなどと異なりリンパ節転移することがほとんどないためにリンパ節郭清(がんの周辺にあるリンパ節を切除すること)をする必要がなく、胃の局所療法のみで完了するからです。そのため、ほとんどの手術では腹腔鏡を用いて侵襲が少ない手術を実現しています。

特に腫瘍径が2センチまでであれば、腹腔鏡が最もよい選択なのですが、5センチ以上になると腹腔鏡を用いた場合に腫瘍周囲の被膜(ひまく)が破れるというリスクもあるため、注意が必要です。

GISTの治療-薬物療法

お話ししたように、GISTの根治的治療は手術による腫瘍の切除になるのですが、腫瘍が大きくなりすぎた場合や、肝臓への転移や腹腔内にがん細胞が広がる腹膜播種(はしゅ)などの理由により完全な切除ができないケースもあります。

このような場合には薬物療法が適応されます。この薬物療法では、遺伝子異常が発生した場所によって薬の効果が変わることがわかっています。

そのため、診断時の検査によって遺伝子異常がある場所を確認することで、薬の効果をある程度予測することができます。

薬

イマチニブとは

再発した場合や手術の適応がない場合の薬物療法では、イマチニブと呼ばれる薬が第一選択となります。

このイマチニブは、分子標的薬の一つです。分子標的薬とは、がん細胞の増殖を促す指令系統を分子レベルで阻害する薬を指します。

記事1『GIST(消化管間質腫瘍)とは? GISTの原因や症状、診断方法』でお話ししたように、GISTは蛋白の異常な増殖によって発生しますが、イマチニブはこの異常な活性化を阻害することで、疾患の進行を抑えることに成功しています。

スニチニブとは

薬剤治療を適応する場合、お話ししたようにイマチニブが第一選択となりますが、再発時の第二選択として、スニチニブやレゴラフェニブと呼ばれる抗がん剤があります。これらの薬剤は、イマチニブの効果が認められない場合や大きな副作用がある場合に適応されることが多いでしょう。

薬の副作用はあるの?

適応される薬にはそれぞれ副作用もあります。たとえば、イマチニブでは、浮腫(ふしゅ:むくみ)や吐き気、下痢など、何らかの副作用が現れることがわかっています。

しかし、重篤な副作用が認められる場合であっても、薬物治療を完全に諦めてゼロにするのではなく、減量をしたとしても粘り強く服薬することが重要になります。

薬の量を調節したり飲み方を工夫したりすることにより、薬物療法を継続することが有効であるでしょう。

重粒子線治療の適応も

また、近年では他のがんと同様、GISTにおいても重粒子線治療を適応するケースがあり、多少の延命効果がすでに認められています。

たとえば、GISTの症例に対し重粒子線治療が適応されたいくつかの症例があります。重粒子線とは放射線治療の一種であり、炭素イオンを用い、がん病巣に狙いを定め照射する最先端の放射線治療を指します。

近年、いくつかの切除不能の再発GISTの症例において、この重粒子線治療が適応されました。これは、数度の手術を実施しても再発を繰り返し、手術や薬剤治療が適応できないほど重篤な状態の患者さんに対し実施されました。

2017年現在、重粒子線治療後の経過観察の状態であり長期的な生存率は未だ明らかになっていませんが、治療効果が現れていることまではわかっています。

このように、何らかの理由によって手術や薬による治療が難しい症例に対しては、今後は重粒子線治療も期待できる可能性があります。

GISTの術後の予後と生存率

GISTの治療後の予後は、比較的良好であるといわれています。生存率でお話しすると、腫瘍径が5センチ未満であると7割、5〜10センチであれば5割、10センチ以上であると2〜3割ほどの5年生存率であることがわかっています。

病室で横になる患者さん

肝臓への転移や腹膜播種は重症化しやすい

GISTの手術時に既に腫瘍が10センチ以上あり、核分裂も活発にしているような状態であれば、薬物療法を適応しても最終的に肝臓に転移することもあります。しかし、このような状態であっても進行が緩やかなために、再発した状態で長期にわたり生存するケースも少なくありません。

また、GISTでは腫瘍が大きくなりすぎた結果、腹腔内にがん細胞が溢れてしまう腹膜播種になってしまう場合があります。腹膜播種の状態で見つかると生存が難しいケースがあり、進行も速い点が特徴です。

治療後の再発や生存率は、単純に腫瘍の大きさのみで決まるものではありません。遺伝子変異が生じた場所によっても変わってくるといわれており、診断による遺伝子変異の場所などの詳細を知ることも有効であるでしょう。

油断することなく検査を受けてほしい

島田先生

GISTは症例が少ない疾患の1つです。お話ししたように、症状が現れにくく進行が緩やかであるため、重篤な状態になるまで発見されないことも少なくありません。

しかし、重症化してしまうと治療に時間を要するだけでなく、死にいたってしまうこともあります。

粘膜下腫瘍には良性のものもありますが、GISTのように悪性のものが含まれていることもあります。腫瘍が発見され良性の場合であっても、油断することなく定期的にCT検査やPET検査などの精密検査を受けることが、早期発見・早期治療につながるでしょう。

GIST消化管間質腫瘍 (島田 英昭先生)の連載記事

東邦大学医療センター大森病院 消化器センター外科教授として、上部消化管と呼ばれる胃・食道のがん治療を専門としている。大学院消化器外科学講座責任者ならびに大森病院がんセンター長として、がん治療の研究を続けながら患者さんの診療に尽力するとともに、大学教授として後進の指導にも熱心にあたっている。

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