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約40年前から地域包括ケアシステムの原型を計画! 社会医療法人生長会・社会福祉法人悠人会の施策

約40年前から地域包括ケアシステムの原型を計画! 社会医療法人生長会・社会福祉法人悠人会の施策
田中 肇 先生

社会医療法人生長会 理事長、社会福祉法人悠人会 理事長

田中 肇 先生

この記事の最終更新は2017年10月14日です。

大阪南部地域で病院や福祉施設など44施設を展開する社会医療法人生長会・社会福祉法人悠人会。両法人は60年以上前から地域住民の健康を支えてきました。法人の創始者である岸口繁先生、岸口一勇先生兄弟は、約40年前にいまの高齢化社会の到来を予見し、それに対応しうる体系作りを設計しました。その設計図は、まさにいま国が進めている地域包括ケアシステムであり、その設計図に基づいて施設作りを展開していきました。先見の明を持ち、早期から日本の医療・介護の未来を見据えたサービスを提供してきた法人の取り組みについて、社会医療法人生長会・社会福祉法人悠人会理事長の田中 肇先生にお話をうかがいました。

AIFという理念 図

社会医療法人生長会・社会福祉法人悠人会(以下、生長会・悠人会)は、1955年に和泉市に府中病院を開院させたことからその歴史が始まりました。創始者である岸口繁先生、岸口一勇先生兄弟が生まれた村が無医村(医師がいない村)であった経験から、この南大阪の地に質の高い安心・安全な医療・福祉を実現したいという思いが今日に至っています。

1979年には「愛の医療と福祉の実現」「地域と職員とともに栄えるチーム」を掲げ、法人理念を明文化しました。愛(Ai)医療(Iryou)福祉(Fukushi)の頭文字を取り、AIFの理念と名付けています。

当時、医療界において理念を大切にする法人はほとんどいない状況でした。しかし創設者の岸口先生は理念を大切にし、この理念をもとに地域や患者さんを愛し、地域と患者さんから愛される、ゆきとどいた医療の提供に尽力しました。2002年には本理念を体系化し、病院の価値基準・行動基準を定め「AIFフィロソフィー」としてまとめ全職員に配布し、周知徹底を図っています。

ベルランド総合病院の外観

現在の医療介護は2025年問題など、様々な課題に直面しています。人口減少、少子高齢化、それに伴う医療介護の人材不足や、認知症や多疾病罹患などの高齢者特有の疾患の増加、財政逼迫と社会保障費の削減、病院の経営悪化などがその一例です。そして病院が中心となって担っていた医療を中学校区単位で地域に広げ、患者さんの体や心の状態に合わせて適切な医療・介護が受けられるシステムを構築する提言がなされました。それが地域包括ケアシステムです。

岸口先生は、1970年代に現在の高齢化社会の到来を予見し、高齢者が病気などで障害をもっても、安心して暮らし、療養できる総合福祉施設が必要だと考えていました。そして老人医療福祉システムとして、以下の体系図を提唱したのです。そしてこの体系はベルランド総合病院の基本構想にもなりました。

地域包括ケアシステム 図

図をご覧になるとわかるように、この体系はまさにいま国が進めようとしている地域包括ケアシステムそのものです。この構想を基本として、急性期、回復期・療養型、予防・健診、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、保育所などの施設作りを数十年前から進め、トータルヘルスケアを担う現在の法人の姿になっています。

トータルヘルスケア 図

2015年に、2025年に向けての10か年ビジョンとして、「AIF Vision2025」を掲げました。2025年には高齢者人口が約3,500万人に達し、高齢化率の高さがあらゆる問題を引き起こすと懸念される2025年問題に向け、私たちは地域のみなさまへ安心と信頼感を与える存在(BIG Tree)になるため、現在実施している地域包括ケアシステムをさらに発展させていきたいと考えています。

その内容は、大阪南部を中心として医療と福祉の施設、それに関連する施設を通して、国内最高水準の総合的・複合的なサービスを提供することにあります。そのためにまず個々の施設の役割を明確にし、強みを発揮することで地域に支持される施設を目指します。さらに施設間の連携を強化し、同じ考えを持つ他法人とも協調し、質の高い地域包括ケアシステムを実現したいと思います。

まだ明確な具体例はないですが、社会医療費が益々削減されるなかで、より効率的な医療・介護システムを作るためにも、同じ思いを持つ他法人や他企業と連携を図っていきたいと思います。

田中理事長

よい医療・福祉を提供するためには、法人の運営にも経営的な目線を持つ必要があります。「私たちは地域にとってどんな存在なのか」「何をすべきなのか」を常に自覚し、実践していくためにも、よい経営が必要です。

私たちの現在の状況やビジョン・ミッションを法人全体で共有するため、「FOCUS」という情報共有シートを発行しています。これは毎朝、朝礼で職員全員に配布されます。

「FOCUS」をみれば法人全体の状況や、各施設の現況が毎日リアルタイムにわかります。次は具体的に何をすべきか、というアクションを立てやすくなります。

2001年からは、サービスクリエーション21活動として、法人全体でサービス創造活動を行っています。医療・福祉は「サービス」です。洗練し、よりクライアント(患者さん)に満足いただけるようなサービスの開発・向上を目指しています。全職員が参加し能力を向上できるよう、組織文化の向上や学術貢献、教育、業務のPDCA(仕事を効率よく行うための理論。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返し、業務を改善する)の循環などを行っています。

ほかにも、病院経営を学ぶ講座の開講や、よい行動をした職員に対し「ベストサービスカード」を他の職員から送るという、相互承認の文化を醸成しています。

厚生労働省が地域包括ケアシステムを提唱してから、各地域で同システムの構築が推進されています。私たちはシステムの提唱に先駆けて地域包括ケアシステムに準じた活動を行ってきましたが、その実績から、大阪南部で必ず地域包括ケアシステムを完成させたいと考えています。

そして最終的に子どもから高齢者、健康な方から病気で苦しむ方まで、すべての地域住民を支えることのできる医療と福祉の街を、この大阪南部の地において作っていきたいと考えています。

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  • 社会医療法人生長会 理事長、社会福祉法人悠人会 理事長

    田中 肇 先生

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  • 社会医療法人生長会 理事長、社会福祉法人悠人会 理事長

    日本外科学会 外科認定登録医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科認定登録医・消化器外科指導医日本消化器病学会 消化器病専門医・消化器病指導医

    田中 肇 先生

    社会医療法人生長会理事長、社会福祉法人悠人会理事長として大阪南部の医療・福祉を支えている。今までの病院経営では珍しい、画期的な取り組みを続々と実施し、地域住民からの信頼も厚い。

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