1938年に開設されたJA静岡厚生連 遠州病院は、2018年に開院80周年を迎える歴史ある病院です。1959年に遠州総合病院へ名称変更し、2007年の新病院開設と同時にJA静岡厚生連 遠州病院となりました。
現在は、急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟を持つケアミックス病院として、地域の医療機関と連携しながら、多くの患者さんへ医療を提供しています。
そんな同院では、現在どのような取り組みが行われているのでしょうか。病院長である水上泰延先生にお話を伺いました。
当院は、JA静岡厚生連を母体とする4つの病院のうちのひとつです。当院が位置する浜松市は全国と同様に高齢化が進んでいます。そうした時代の流れに伴って変化する地域のニーズに対応するため、2018年7月現在は回復期リハビリテーション病棟60床を含む400床の病床と22の診療科を備えて、診療にあたっています。
当院は、急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟を持つケアミックス型の病院です。訪問リハビリステーションも開設し、急性期から回復期、在宅医療まで一貫した医療を展開しています。
リハビリテーションに関しては、日本リハビリテーション医学会認定のリハビリテーション科専門医や理学療法士、作業療法士が在籍し、充実した支援体制を整えています。リハビリ機器も各種取りそろえているため、運動器リハビリテーションや呼吸器リハビリテーションなど、幅広いリハビリを行えることも特徴的です。
当院は、2018年7月に新たに救急科を立ち上げました。ICU4床、初期治療病棟16床を備え、重症患者さんを24時間受け入れ可能な体制を整えています。
浜松市の二次救急は、6つの病院による輪番体制をとっています。しかし、住民の方にとっては、遠くの病院へ行くよりも「住まい」である地域の病院でみてもらう方が安心できるのではないかと考えています。そのため、今後も地域の開業医の先生やケアマネジャーなどと連携を深めながら、救急患者さんの受け入れ態勢をより強化し、地域に根ざした医療の提供に努めてまいります。
当院では、2015年から下部内視鏡検査が困難な方を対象に、CTを使って検査をする「CTコロノグラフィー」を実施しています。
大腸がんの罹患率は、男女とも全国的に高いのが現状です。一方で、便潜血検査で陽性になっても、内視鏡検査が大変だからとなかなか検査を受けない方もいます。そうした方でも、CTを使った検査なら気楽に受けることができると思います。
ポリープやがんを見逃せば、進行して命にかかわることもあります。開業医の先生方にもこの検査のことを知ってもらい、積極的に利用していただくことでがんの早期発見が増えればと思っています。
スタッフのモチベーションを向上させ、離職率を下げる取り組みとして、働き方改革を進めています。18時までの帰宅を推奨するほか、新人職員が安心して働けるよう、eラーニングシステムを使った教育を行っています。また、勤務中に四つ葉のバッジを付けるなど、ほかのスタッフからサポートしてもらいやすいように工夫しています。
各部署間の交流を促すために、新人歓迎会や納涼会、忘年会や運動会なども全職種で行っています。運動会は特に、子どもを連れて参加する職員も多いです。そういった姿を見ると、働いている職員に対して感謝の気持ちでいっぱいになります。
地域の皆さんから信頼され、働いている職員たちが誇りに思える病院であることを目指しています。
地域にお住まいの方や開業医の先生から信頼してもらうためには、救急医療に尽力することが大切だと思っています。そのためには、二次救急病院として対応できる症例は、すべて受け入れる体制を整えなければなりません。将来的には、NICU(新生児集中治療室)を立ち上げて周産期医療を充実させ、救急医療を担う医師を増やして救急体制をより強化していければと考えています。
地域の皆さまや開業医の先生方に「遠州病院ならいつでもみてくれる」と思ってもらえるように努めていきたいと思います。
若いうちに頑張ったことは、そのあとの医師人生の糧になります。患者さんと積極的に接して、スキルや知識を磨いていってほしいです。
最終的にどの診療科に行くとしても、救急医療の知識は必要不可欠だと考えています。全身を診て診断できる医師になれるよう、当院でもしっかりと指導していきたいと思います。
冷えた鉄は、いくら叩いても意味がありません。当院の指導医はとても熱心に教えていますので、若手医師の皆さんもぜひ熱意を持って学んでください。
当院は、行動指針のひとつとして「地域の皆様が安心して暮らせる医療環境をめざします」と掲げています。その指針に基づき、救急医療を含めた急性期、回復期から在宅医療まで一貫した医療を提供し、地域住民の皆さんの安心と安全を支えてまいります。
また、今後は災害時なども頼れる病院を目指して、訓練や準備も進めながら地域を守って行けるように職員一同努めてまいります。
JA静岡厚生連遠州病院 名誉院長
JA静岡厚生連遠州病院 名誉院長
日本外科学会 指導医日本消化器外科学会 消化器外科指導医・消化器がん外科治療認定医日本救急医学会 救急科専門医日本医師会 認定産業医
1997年より名古屋大学第一外科関連病院の稲沢市民病院で勤務。1985年からは名古屋大学第一外科腫瘍グループに所属し、肝胆膵外科・食道外科の研鑽を積む。1987年より遠州病院で消化器外科の医師として18年間臨床に携わった。2005年、同院の病院長に就任した後は臨床を離れ、病院の将来あるべき姿を求めて尽力している。
(故)水上 泰延 先生の所属医療機関
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現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。