世界でも類をみない「超高齢社会」となった日本。高齢の患者さんはさまざまな臓器の機能が低下している傾向にあり、短期間で治療が完了しないケースも多くみられます。このように患者さんが変化するなかで、「慢性期医療」の重要性は高まり続けています。
*詳しくは慢性期.comのページをご覧ください。
残念ながら、これまで「慢性期医療」といえば「急性期医療のほんの付け足し」という認識が存在していました。
しかし、世界でも類をみない超高齢社会となった日本において、患者さんは変化しています。その多くは、急性期医療で完治するような方ではなく、75歳以上の方(後期高齢者)です。高齢の方は加齢に伴いさまざまな臓器の機能が低下しているため、病気にかかった際に随伴症状が起こり、短期間では完全に治らないことも多いのです。
上記の理由から、現在の医療において、患者さんを臓器別でみることには限界があるといえるでしょう。ところが、これまで患者さんを「臓器別」にみていた急性期病院は、このような変化に対し十分な適応ができていない、という現状があります。
このような現状に対して、2006年の診療報酬改定では療養病床の再編成が行われ、「慢性期医療の療養病床では重症患者さんをみる」という国の方針が示されました。
さらに2018年の診療報酬改定では、看護配置基準の変更や、医療区分への条件追加が行われました。この改定には「療養病床は、慢性期の治療病棟として機能するべき。社会的入院*1をなくしていく」という国の意図があると考えます。
1・・・社会的入院とは:医学的な必要性が小さいにもかかわらず、新規に入院をする、あるいは入院を継続すること。たとえば、肺炎で入院した患者さんが、治療後に退院できる状態であるにもかかわらず、家族側の理由などにより入院を継続している状態。
救急搬送される方のうち高齢者(65歳以上)の占める割合は、年々増加しています。今後さらに高齢化が進展すれば、老老家庭や高齢者の独居の増加を背景に、高齢者が救急車を呼ぶケースはさらに増えていくでしょう。
そのとき、いわゆる「県下一の救急医療センター」に軽症から重症まで患者さんが玉石混交で救急搬送が集中すれば、救急のスペシャリストや医療資源が有効に活かされない事態に陥ります。
このような状況を受け、2014年、厚生労働省は地域による救急患者さんの受け入れを目的として「地域包括ケア病棟」を新設しました。地域包括ケア病棟の役割の1つは、「在宅や介護施設で療養している患者さんの急性増悪を受け入れる」ことなのです。
平成医療福祉グループ 代表
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