院長インタビュー

若手医師の成長と患者さんの困りごとに真摯に向き合う高木病院

若手医師の成長と患者さんの困りごとに真摯に向き合う高木病院
林 真一郎 先生

医療法人社団高邦会高木病院 病院長・呼吸器センター長

林 真一郎 先生

目次
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高木病院は1910年に福岡県大川市で開院した、プライマリ・ケア、高度先進医療、救急医療、在宅医療、予防医療を行う病院です。

2014年9月から運用を開始した新棟では、救急外来専用スペースの拡張やダヴィンチ専用の手術室の確保、外科系病棟集約を図るなど、医療機器と医療提供体制の再整備を進めました。

開院以来100年以上にわたって、病院理念「生命の尊厳、生命の平等」にもとづいて地域に密着した医療を提供し続けてきたことで、同院には大川市や隣接する柳川市だけでなく、久留米市、佐賀市などからも患者さんが受診されています。

同院の診療体制の特徴や今後の目標について、院長の林真一郎先生にお話を伺いました。

病院外観
病院外観

当院は、救急医療、不妊治療、がん診療の充実に力を入れています。今後進行する高齢化に対応するため、地域の皆さんの健康寿命を伸ばすことも重要な課題と認識しています。

患者さんを総合的に診るべく各科横断的な診療を目指し、内科、外科、産婦人科、眼科などの診療科毎の診療に加え、がんセンター、放射線治療センターなどのセンター方式による診療を行っています。センター方式を導入したことにより、患者さんそれぞれが抱える問題に対して、より適切かつ迅速な対応が可能となりました。

当院は二次救急医療を行う救急指定病院です。夜間・休日診療窓口があり、急ぎの対応が必要な重症の患者さんを中心に24時間365日体制で受け入れて治療しており、脳神経外科、整形外科、外科などの緊急手術に対応しています。また、発症後早期の脳血管障害や心血管障害に対してカテーテル治療を積極的に行っており、内科領域の重症疾患への取り組みも充実しています。

当院は1991年に不妊に関連する診療を開始しました。以来、国内の不妊医療をリードすべく取り組んでいます。

当院の産婦人科には、不妊センター、婦人科、産科があります。

婦人科では、妊娠の妨げとなっている可能性のある病気の診療を行っています。不妊センターでは、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の実施。産科では、何かしらの合併症がある妊婦さんを対象に院内の他診療科との協働診療、といったように、それぞれ役割分担をしながら患者さんの不妊治療を支えています。

不妊センターの待合室は産科と婦人科で独立しており、それぞれプライバシーを守れるよう個室で構成しています。

また、受診前に参加できる勉強会「こうのとりの会」を定期開催していて、患者さんの不安に寄り添う体制をとっています。

がんセンターを開設し、集学的ながん治療に取り組んでいます。がんセンター建物の1階には放射線治療センター、2階にはPET-CTセンター、3階には外来化学療法室が入っていて、検査・診断のみならず治療までがん診療のあらゆる段階に一貫して対応可能です。

放射線治療センターは、がん治療の1つである放射線治療を行います。当院は高精度放射線治療装置(リニアック)や強度変調放射線治療(IMRT)を導入してします。ともに、外科治療(手術)や抗がん剤治療と比べて体にかかる負担の少ない治療として注目を集めています。

PET-CTセンターでは画像診断装置を用いて、がん病巣の有無、拡がりについての評価を行っています。PET-CTによって得られた画像は個々の患者さんの治療を選択する際に極めて有力な情報となります。

外来化学療法室では専門的なトレーニングを積んだ薬剤師、看護師が診療に従事しており、安全な化学療法の実施を第1に通院抗がん剤治療を行っています。化学療法の内容や患者さんの状態によっては入院による化学療法を行う場合もあります。

2018年度には女性腫瘍センターを開設しました。今後は女性特有のがんの診療体制をより充実させる予定です。

近隣の医師向けに、当院の臨床体制や特色をお話しする連携会議を毎年開催しています。

また、開業医の先生方と勉強会を開催したり、地元の医師会に積極的に関わったりと、連携を深めています。今はまだ実現できていませんが、いずれは患者さんのデータを共有して診療に役立てられたらよいと思っています。

がん高血圧、そのほか地域の皆さんの関心が高い分野をテーマに取り上げた健康講座を、年に4~5回行っています。

また、幅広く自治体の方などとも相談しながら、健康知識の地域への普及に努めています。

高齢化が進行するにつれて、健康に生活できる期間、いわゆる健康寿命をいかに延ばすかが重要だ、といわれるようになりました。健康寿命を延ばすためには、生活習慣の改善などの一次予防に加え、早期発見・早期治療を促す二次予防や、病気治療後に再発を防ぐ三次予防が重要となります。

一例として、当院では、「大川市・柳川市の人は背中が曲がっていない」と言われるようにしたいと考えています。ご高齢女性でよく見かける円背ですが、ご本人の健康に対する影響はかなり大きいことが分かってきました。放置していると肺活量の低下などがおこり、深刻な身体機能の問題につながります。そのようなことがおこる前に、骨粗鬆症の治療が始められるように、二次、三次予防に力を注ぎたいと考えています。

ご高齢になると、何かしらの身体の故障を抱えている方が増えるのは当然です。しかし、それらの故障が生活の質を落とすような深刻な状態に至らないように、全人的な医療・介護的管理をそれぞれの方にあった形で立案し、おすすめしたいと考えています。それが、高齢者が安心して地域で生活できる社会に繋がると思います。私達は、この取り組みを「大川・柳川いきいき健康大作戦」と称して、地域の医療機関とも連携して実施して行きます。

当院は、病院としての役割を担いつつ、基幹型臨床研修指定病院として実地教育の場としての機能も果たしています。

医師や看護師などのスタッフは、基本的な知識や技術は学校で学んできています。そのうえで当院では、より臨床現場に即したノウハウ、多職種との連携の重要性、地域に根付いた医療、そして患者さんとの接し方を、実務を通じて身につけてもらいます。医療を実践する中で、ときには医療とは直接関係ない問題にも直面することがあります。地域に根付くというのは、そのような問題も含め、患者さん個々の立場に立ち、病院として何ができるかを考える事ができる職員を多く育てることであると思います。

医師を対象にしたシミュレーションセンターを開設しました。センターでは、心肺蘇生や救命救急を想定したシミュレーターのほか、内視鏡やカテーテル治療などの手技トレーニングを行うことができます。

呼吸器チームによる連携カンファレンス風景
呼吸器チームによる連携カンファレンス風景

現在当院を牽引してくれている医師達の後を引き継ぐ、若い医師がもっと増えてほしいと思っています。

医師は、自身の技術を磨くため、この病院はどのような医療をしているのか、何が学べるのか、という観点で転職先を探すことが多いです。そのため、たとえばアブレーション治療を勉強したい若い医師に対して、当院の循環器内科ではカテーテルアブレーションによる治療を行っていること、シミュレーションセンターで手技のトレーニングを積めることを知ってもらい、「面白そう。この病院で働きたい」と思ってもらえるような情報発信をしていきたいと考えています。

林先生

病気や健康面で困ったことがあれば、当院にお越しください。

なかには、当院だけでは解決できないこともあるかもしれません。しかし、ご相談いただいたことで、不安や疑問が解消して心が軽くなったり、解決に向けた何かしらのヒントが見つかったりするかもしれません。皆さんの抱える、さまざまな「困った」に対応するのが、当院の役割だと考えています。

病気を診るのではなく、目の前の患者さんを見ましょう。全体的、全人的に、患者さんの日常の困りごとを解決していくのが大切です。

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  • 医療法人社団高邦会高木病院 病院長・呼吸器センター長

    林 真一郎 先生

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