我が国において「終末期には自宅療養し、必要なときには医療機関を利用したい」と考える国民は6割以上といわれ、在宅医療の需要は増加し続けています。茨城県内で在宅医療や訪問診療を中心に複数の施設を展開する照沼秀也先生は「これからは、在宅と救急の連携が必要となる」と語ります。
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在宅医療でスムーズにお看取りを行うためには、患者さんが不安なく暮らせる環境が必要です。それはつまり、住み慣れた自宅で過ごし、何かあれば地域の病院でみてもらえる、という環境を指します。
通常、在宅医療で対応できることに関しては私たちが行いますが、病院で治療するべきものに関しては、2次救急病院(中等症患者への救急医療に対応する病院)や、いわゆる地域多機能型病院(地域包括ケア、回復期リハビリテーション、慢性期、障害者の各病床・病棟を有する病院)と連携をとって救急対応をお任せし、回復後に在宅へ患者さんを返していただきます。
このように、在宅の患者さんが不安なく暮らせる環境をつくるためには、「在宅と救急の連携」が必要不可欠といえます。しかし実際には、さまざまな事由から在宅と救急の連携がうまく取れずに、結果的に患者さんによい医療を提供できていない現状があります。
そこで、私は2017年に「在宅救急研究会」を発足させました。
従来、在宅と救急の医師はそれぞれ異なる考えを持っており、ある意味で水と油のような関係でした。そこで日本在宅救急研究会では、在宅と救急の連携を推進するべく、2017年に「日本在宅救急研究会」の活動をスタートしました。
当会では「患者さんのためのよい医療とは何か?(当研究会 世話人を務める野中博先生の言葉)」という最大の目的に向かって両者がコンセンサスをとり、連携するための活動を行っています。たとえば2018年11月17日には、第2回日本在宅救急研究会学術集会を開催し、「高齢者の『本当の良き医療』を求めて」をテーマにした講演やシンポジウムが多数行われました。
このような活動が実を結び、理事を務める医師の数は設立当初より倍に増え、積極的な活動を行っています。さらに、2019年には当研究会は、一般社団法人 日本在宅救急医学会に移行することが決まりました。
2019年9月7日(土)には、第3回日本在宅救急医学会 学術集会が開催されます。本学術集会では、「在宅救急診療ガイドラインの作成」に向けた取り組みを進めます。
在宅と救急がスムーズに連携し、地域のなかで機能分化することで、医療を必要とする方々に適切に医療を提供できる環境を整え、さらに、患者さんに信頼される、よい在宅医療・よい救急医療を実現したいと考えています。
また、在宅と救急でスムーズに連携をとることができれば、地域の病院と在宅医療を担う診療所、双方にとって大きなメリットになると考えています。