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膀胱炎の薬の種類と治療方針〜市販薬、漢方は効果があるのか〜

膀胱炎の薬の種類と治療方針〜市販薬、漢方は効果があるのか〜
小林 一樹 先生

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 診療部長/泌尿器科部長

小林 一樹 先生

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膀胱炎は女性に多く、女性の2人に1人は生涯で一度はかかるともいわれるほど身近な病気です。発病すると、排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿混濁(こんだく)(尿が濁る)などの症状が現れます。

主に細菌感染が原因で起こることから、膀胱炎の治療には細菌を壊したり増殖を抑えたりする薬が用いられます。では、病院はどのような種類の薬を処方するのでしょうか。また、ドラックストアや薬局で売られている膀胱炎に対しての市販薬や漢方は効果があるのでしょうか。

膀胱炎の原因となるものの大半は細菌感染です。原因となる菌の約3/4が大腸菌であることから、通常はまず大腸菌に対する薬が処方され、日本の感染症治療ガイドラインでは、ニューキノロン系薬(細菌のDNA複製に必要な酵素のはたらきを阻害する薬)が第1選択、セフェム系薬(細菌細胞壁の合成を阻害する薬)が第2選択となっています。しかし、妊婦や妊娠の可能性がある女性に対してはニューキノロン系薬が禁忌であるため、主にセフェム系薬が用いられています。

膀胱炎は多くの場合、このような抗菌薬を3~7日ほど服用すれば治癒します。しかし、原因菌によっては最初に処方された薬が効かないことがあります。このような場合には薬を変更する、もしくは原因となっている細菌を詳しく特定する細菌検査などを行うなどの対応が行われます。また、病状によっては内服薬ではなく点滴治療が考慮されることもあります。

なお、膀胱炎は尿路結石、腫瘍、尿路奇形、神経疾患、免疫不全など様々な病気を原因として起こることもあります。この場合は、原因となる病気に対しての治療も同時に必要となります。

膀胱炎の治療薬は、薬局やドラックストアでも販売されていますが、市販薬や漢方は症状を軽くする作用が中心で原則的に細菌の増殖を抑えたり殺菌したりする効果はありません。早期治癒のためには膀胱炎の症状が現れたら、まず病院を受診することがすすめられます。

膀胱炎を放置すると、腎盂腎炎へ進行する可能性があります。膀胱炎の主な原因は尿道口からの細菌感染で、細菌が尿道を通って膀胱に達し、膀胱内の粘膜に炎症が起こることで発症します。そして、細菌が膀胱から腎盂と呼ばれる臓器に到達すると腎盂腎炎となります。

腎盂腎炎を発病すると、膀胱炎の症状に加えて、高熱、腰や背中に痛みが急激に現れる、体のだるさ、寒気、吐き気などの全身症状が出る場合もあります。また、細菌が血液と一緒になって流れると全身に広がり、命に関わることもあります。したがって、膀胱炎の段階で適切な治療を行うことが非常に重要となるのです。

膀胱炎の典型的な症状は、排尿痛、頻尿、残尿感、尿意切迫感(突然に耐えがたい強い尿意を感じること)、尿混濁などです。このような症状が強く現れたり続いたりする場合は、一度病院を受診した方がよいでしょう。

受診先としては泌尿器科が最も適していますが、泌尿器科が近くにない場合や、男性医師や男性患者がいて恥ずかしいという場合は、内科や婦人科へ相談してみてもよいでしょう。

膀胱炎の治療は、主に抗菌薬の内服で通常3~7日間ほど服用すれば治癒します。処方された量を飲み切るまでに症状が治まることがありますが、症状が治まったとしても細菌が残っている可能性があります。途中で服用をやめたりすると、完治しないばかりか治りにくくなってしまう場合もあるため、医師の指示にしたがって治療や通院を行うようにしましょう。

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