インタビュー

女性に多い? 膀胱炎とは―原因、症状、治療方法について

女性に多い? 膀胱炎とは―原因、症状、治療方法について
田部井 正 先生

横須賀共済病院 泌尿器科

田部井 正 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年07月02日です。

トイレが近かったり、おしっこするときに痛い方、おしっこが赤くなる方は、膀胱炎かもしれません。「女性は一生に一度は経験する」とも言われる膀胱炎とは、どんな病気なのでしょうか。原因、症状、治療法をまとめました。

膀胱炎(ぼうこうえん)とは、膀胱におきた炎症のことをいいます。膀胱炎の原因は細菌やウイルス、薬剤性(一部の抗アレルギー薬や抗がん剤)、放射線治療など多岐にわたります。「膀胱炎」という単語そのものには、原因までの意味が込められてはいませんが、一般的には細菌によって引き起こされた膀胱の炎症を指すことが多いと言えます。

素材提供:PIXTA 加工:メディカルノート 膀胱付近の断面図(男性・女性)

尿路(おしっこの通る道)の感染症は「経過が急であるかどうか」といった発症経過から”急性”と”慢性”に分けられます。また膀胱炎は、尿路に構造的・機能的な問題がないのにも関わらず発症する”単純性尿路感染”と、構造的または機能的な問題が発症の背景に隠れている”複雑性尿路感染”に分類されます。それまで健康だった若い女性などが経験する膀胱炎は、ほとんどが急性単純性膀胱炎だと考えられます。ここでは細菌によって引き起こされる急性単純性膀胱炎について解説します。

急性単純性膀胱炎は放っておいても自然に治ってしまうケースが多い病気ですが、中には腎臓まで感染が進んで急性腎盂腎炎になるケースもあります。

膀胱炎は通常、尿道から細菌が侵入して生じます。

膀胱炎の原因としては、疲労やストレス、性的活動などが考えらえています。

女性は、尿道と肛門が近いため、雑菌が尿道から入りやすく、男性よりも膀胱炎になりやすい構造をしています。そのため女性の場合、原因となる菌は大腸菌がもっとも多いです。

膀胱炎の症状としては、以下のようなものがあります。

  • 頻尿
  • 尿意切迫感(突然耐え難い強い尿意を感じる)
  • 排尿痛
  • 尿の混濁
  • 血尿
  • 残尿感
  • 下腹部の不快感や痛み

膀胱炎単独で発熱を伴うことはありません。
また膀胱炎の症状は、近年よく耳にする「過活動膀胱(OAB)」とよく似ています。ただし、尿路感染や膀胱に器質的異常のある人(膀胱がんや膀胱結石など)は、基本的にOABと診断されることはありません。

  • 尿沈査(にょうちんさ)

通常、尿沈渣と呼ばれる検査を行うことによって、尿中の白血球や細菌を確認します。

  • 尿培養検査

尿培養検査によって、膀胱炎の原因となっている菌を特定し、各種抗菌薬への感受性を知ることができます。結果が出るまで時間を要するため、出たときには既に治っていることも多いですが、近年薬に耐性を持つ菌が増加傾向にあるため、最初に選択された抗菌薬が無効であった際などに有益な検査です。

膀胱炎の治療方法としては、抗菌薬(ニューキノロン系、セフェム系)を内服します。

膀胱炎は通常、抗菌薬内服を開始して数日で症状の改善が見られます。
ただし、ニューキノロン系の薬は膀胱炎に対して頻繁に使用される抗菌薬ですが、その多くは妊婦への投与が禁忌とされています。膀胱炎は妊娠可能な年齢の女性が発症することが多いため、必ず妊娠の可能性の有無を医師に伝えましょう。

膀胱炎が一旦は治ったのに、しばらくすると再び同様の症状が出て尿検査でも膀胱炎と診断された場合、そのほとんどは急性単純性膀胱炎の再発と言われています。

しかしそのようなケースの中には、膀胱炎を引き起こす別の病気を患っている複雑性尿路感染の場合があります。繰り返し膀胱炎になっている場合は、必ずあらためて泌尿器科を受診しましょう。

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