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肺がんに対するがんゲノム医療とは

肺がんに対するがんゲノム医療とは
酒井 洋 先生

埼玉県立がんセンター 呼吸器内科 科長兼部長

酒井 洋 先生

目次
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ゲノム医療とは、患者さんの遺伝子を検査して一人ひとりの患者さんにあった治療法を探し、明らかとなった治療法を試みる医療のことを指します。なかでも、埼玉県立がんセンター 呼吸器内科長兼部長の酒井 洋先生は、肺がんとゲノム医療との組み合わせの相性がよいとおっしゃいます。それはなぜでしょうか。

本記事では、がんに対するがんゲノム医療や、肺がんに対するがんゲノム医療のメリットデメリットなどについて、酒井先生にお話を伺いました。

がんゲノム医療とは、患者さんの遺伝子を検査して一人ひとりの患者さんにあった治療法を探し、効果が期待できる治療法を試みる医療のことを指します。

がんゲノム医療とは

ゲノムとは、遺伝子をはじめとした遺伝情報全体のことを指します。ゲノムは体をつくるための設計図のようなものであり、一人ひとりで少しずつ異なります。

がんゲノム医療とは、生検や手術の際に摘出した患者さんのがん細胞から、がんの発症に関連した数百種類の遺伝子の変化を調べることでがん細胞の性質を明らかにし、一人ひとりの体質やがんの性質に合わせて治療を行う医療のことを指します。

がん遺伝子パネル検査とは、大量のゲノム情報を高速で読み取る遺伝子解析装置で、がんの組織を調べることです。がん遺伝子パネル検査によって遺伝子の変化が見つかり、その変化に対して効果が期待できる薬が判明した場合には、臨床試験*などによって薬の使用を検討します。

2019年12月現在、がん遺伝子パネル検査の一部は保険診療や先進医療で行われており、当院では保険診療の対象となる患者さんに実施しています。保険診療の対象となるのは、標準治療がない、もしくは標準治療を終えた(見込みの方も含む)患者さんです。しかし、標準治療が終わった患者さんの中で、実際にゲノム医療を受けることができる患者さんは、多くはありません。なぜなら、ゲノム検査を受けてから結果が出るまで、1ヶ月半程度の期間がかかるためです。標準治療を全て終了した患者さんは全身状態がよくないことが多く、期待できる薬が見つかっても臨床試験に参加できる条件に適合しない可能性があります。

実際にがんゲノム検査を行って適した治療薬(治験薬)が見つかり、使用できる患者さんの割合は約10%です。

*臨床試験:薬や医療用具などの有効性や安全性などを検討するための試験

肺がんは各種のがんの中でもっとも積極的にがん遺伝子検査が行われています。たくさんの遺伝子異常が見つかっており、各々に対して有効な分子標的薬の開発が活発に行われています。

従来は標準治療が終了すると、緩和治療を行うことしかできませんでした。しかし、このがんゲノム医療があることで、標準治療を終えてからも次の治療を探すことができるという点がメリットになります。がんゲノム検査で適した治療薬(治験薬)が見つかった場合は、効果が期待できることがあります。

デメリットは、費用が高額であることです。保険適用となる場合でも、10万円程度を自己負担しなければなりません。患者さんの収入によって差はありますが、1か月あたりの医療費は、高額療養費制度で上限が決まっているため、実際に必要となる費用はもう少し安くなるかもしれません。

また、場合によっては再度がん組織の採取が必要となるため、患者さんの体に負担がかかってしまうこともデメリットです。

記事3『埼玉県立がんセンターのがんゲノム医療センターとは? ゲノム検査の実際』では、埼玉県立がんセンターにおけるゲノム検査の実際の流れなどについて、詳しくお伝えします。

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  • 埼玉県立がんセンター 呼吸器内科 科長兼部長

    酒井 洋 先生

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