院長インタビュー

開設当初から変わらない“地域密着型”の姿勢で医療を提供する神戸朝日病院

開設当初から変わらない“地域密着型”の姿勢で医療を提供する神戸朝日病院
金 守良 先生

神戸朝日病院 理事長

金 守良 先生

目次
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医療法人社団 秀英会 神戸朝日病院(以下、神戸朝日病院)は、地域密着型の病院として急性期から在宅医療まで、地域の医療を一貫して担っています。今回は、特色ある診療科と地域連携について、また、研修医の教育体制に関して、神戸朝日病院の理事長である金 守良(きむ すりゃん)先生にお話を伺いました。

神戸朝日病院 外観
神戸朝日病院 外観

当院は、1981年に前身である診療所を開設、その後1988年に150床の病院として開かれました。2016年には地域包括ケア病棟を開設し、現在は全134床の病院として診療にあたっています(2020年3月時点)。

当院のコンセプトは、開設当初から変わらず“地域密着型”です。超急性期病院ではなく、回復期病院でもない。その中間の患者さんを一貫して診療する地域包括期病院としての役割を担っています。

具体的には、“救急を含む一般診療”と“消化器、肝臓疾患の診療”、“地域包括ケア病棟での診療”が当院の医療の3本柱だと考えています。地域包括ケアシステムの一翼を担う病院のひとつとして、それぞれの医療の充実を図っていきたいと思っています。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医が3名在籍しており(2020年3月時点)、上部・下部消化管内視鏡検査をはじめとした各種内視鏡検査と腹腔鏡を使用した胆嚢摘出術などの鏡視下手術を行っています。さらに、胃切除術や結腸切除術などの外科手術も実施。消化管がんの治療では、手術療法だけでなく化学療法も行っており、入院と外来の両方で治療が可能です。

上部・下部消化管の検査に関しては、「痛くもない腹をさぐろう」というコンセプトで、40歳以上の方に検査を受けることをすすめています。当院の医療の柱の一つとなる分野として、今後も消化器疾患の早期発見と早期治療を目指してまいります。

肝臓内科では、肝臓疾患の検査から治療までを一貫して行っています。在籍する日本肝臓学会認定の肝臓専門医と指導医の資格を持つ2名が肝硬変C型肝炎、アルコール性肝疾患、NASHをはじめとする肝臓疾患の治療に取り組んでいます(2020年3月時点)。肝臓がんに対するラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固壊死療法、肝動脈塞栓療法なども行っており、兵庫県の肝疾患専門医療機関の認定を受けています。

腎臓内科では、1996年に人工透析室を開設し、13床の透析病床を有しています。急性期治療を脱したばかりの方や合併症を抱えている方が療養しながら透析を受けられる環境が整っており、非代償期肝硬変の難治性腹水症に対する腹水濾過濃縮再静注法(Cell-free and. Concentrated Ascites Reinfusion Therapy :CART)も実施可能です。

2016年からは、無料送迎サービスも開始しました。自力で来院することが難しい方にも、適切な透析医療を提供できるように、地域密着型の病院として尽力しています。

もの忘れ外来では、神戸市が認める認知症サポート医が問診や認知機能テスト、MRI検査などによって認知症の原因や進行度を評価しています(2020年3月時点)。さらに、認知症の方は、何らかの内科疾患を抱えていることもあるため、同外来では内科疾患も包活した診療を行い、早期発見と対応に努めています。

また当院は、神戸市認知症診断助成制度における認知機能検診(第1段階)、認知機能精密検査(第2段階)両方の実施医療機関です。診断後は、速やかに地域の医療機関をご紹介し、継続的な治療とケアを行っていただけるように連携しています。

2004年4月から、NST(栄養サポートチーム)が発足しました。医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などの多職種がチームとなり、患者さんの栄養状態や嚥下、摂食機能の評価、合わせて合併症の予防を実施しています。また、地域の歯科の先生にも参加いただき、定期的にカンファレンスや病棟回診も行っています。

また、当院は消化器疾患の治療に特に力を入れていることから、口から食べることが難しい患者さんには、胃ろうの造設も検討しながら嚥下機能の評価に取り組んでいます。

患者さんを向かい入れる病院玄関
患者さんを迎え入れる病院玄関

当院の外来を受診されていた患者さんや入院患者さんに対して訪問看護を提供し、在宅療養に移ってからも切れ目のないフォローを行っています。また、地域で訪問診療をされている開業医の先生方との連携も大切にしています。在宅で療養されている方に急変があったときや、介護をされているご家族が病気で入院しなければならないときに当院の地域包括ケア病床で受け入れるなど、積極的な診療支援を行っています。

内視鏡検査の様子
内視鏡検査の様子

当院は、神戸大学医学部附属病院の卒後臨床研修における協力型臨床研修施設、日本内科学会教育関連病院であり、また日本消化器病学会の認定施設でもあります。さらに、日本消化器内視鏡学会の認定施設、日本肝臓学会の認定施設にも認定されているため、サブスペシャリティ領域における消化器、肝臓分野の専門医資格取得を目指せます。

一般内科疾患に加えて肝臓疾患、消化器疾患の症例をまとめて、臨床をもとにした学会発表、論文発表を行うことで、在籍する医師に学術レベルを高めてほしいと思っています。学会発表、論文発表の経験は、各学会の認定医・指導医となることにもつながります。各学会、医師会の研修会などへの出席も推奨していますので、ぜひ積極的に参加してください。

金先生

当院が力を入れる三つの医療の分野では、さまざまな経験をしていただけると思います。まずは、救急、一般医療の分野で患者さんの症状と重症度を見分ける技術を磨き、医師としての土台を作ることができます。それから、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会など、各学会の研修施設に認定されていることから、サブスペシャリティとして消化器、肝臓疾患の治療を集中的に学ぶことができます。さらに、もうひとつの特徴として、地域包括ケア病棟での診療を含めた地域医療連携についても勉強できます。

また、海外の医療系大学、医療機関との医療連携も当院の特徴のひとつです。具体的には、韓国の医療系大学と提携して、医師同士の学術交流や韓国と日本のダブルライセンスを持つ看護師を増やしていく取り組みを行っています。学びの姿勢と意欲のある方に、ぜひ来ていただけたらと思います。

2019年4月に院長が交代しました。現在は、新院長のもとで設備とスタッフの充実を図っています。新たな体制を整え、今後も地域に信頼される、地域の医療を支える病院としての役割を果たしていきたいと思っています。また、消化器、肝臓疾患を専門とする病院として、その分野の診療レベルを上げていくことで、地域医療に貢献してまいります。

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