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院長インタビュー

重症心身障害と共に生きる方々とそのご家族に寄り添いたい――​​緑ヶ丘療育園の特色と取り組み

重症心身障害と共に生きる方々とそのご家族に寄り添いたい――​​緑ヶ丘療育園の特色と取り組み
皆川 公夫 先生

社会福祉法人札幌緑花会 療養介護・医療型障害児入所施設 緑ヶ丘療育園 院長

皆川 公夫 先生

目次
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北海道札幌市にある社会福祉法人 札幌緑花会 緑ヶ丘療育園(以下、緑ヶ丘療育園)は、知的障害と肢体不自由のある重症心身障がい児者の方々に向けた“療養介護・医療型障害児入所施設”であり、医療と福祉の両面を兼ね備えています。緑に囲まれた自然環境のもと、札幌市にかかわらず道内各地の重症心身障がい児者の方々のために適切な医療と療育を提供し、安心して生涯を見守ることのできる“終の住処”としての役割を担うことを目指しています。

今回は、緑ヶ丘療育園の院長である皆川(みながわ) 公夫(きみお)先生にお話を伺いました。

緑ヶ丘療育園 外観
緑ヶ丘療育園 外観

当園の始まりは、故谷口(     たにぐち) 憲郎(けんろう)先生が1951年に知的障害を抱えたお子さんに向けた施設を開設したことでした。知的障害のお子さんに対して差別や偏見がある時代に、「安心して普通の生活を送れるような場所を作りたい」という思いから知的障害児施設として開設されました。そして、「来る者は拒まず、一生面倒を見る」という思いは、今の社会福祉法人 札幌緑花会に継承されています。

その後、1965年に北海道初の重症心身障害児施設“花園学院”(後に大倉山学院に名称変更し、小樽市に移転)を開設し、知的障害を抱えたお子さんだけでなく肢体不自由を併せ持つ重症心身障がい児者の方々を受け入れる体制を整えました。その後、1973年には重症心身障害児施設“緑ヶ丘療育園”を現在地に開設し、医療を担当する部署と療養介護など福祉面を担当する部署が互いに連携し合う体制を整備しました。現在は、療養介護・医療型障害児入所施設として運営しています。また、在宅支援を行う“短期入所部門”と生活介護、児童発達支援、放課後等デイサービス事業所である “デイ緑ヶ丘”も併設しています。

当園は、医療法に基づく病院であるとともに、児童福祉法に規定される医療型障害児入所施設であり、かつ障害者総合支援法に基づいた療養介護を提供する福祉施設でもあります。小児から、年齢を重ねた高齢の方まで幅広い年齢の方が入所しているだけでなく、強度行動障害を抱える方も入所しています。入所利用者の定員である160床に加え、医療保護入院および任意入院などに対応する精神科病床6床の計166床を有し、利用者さんの“生活の場”、そして“終の住処”としての役割も担っています。

最近は入所利用者さんの高齢化や重度化が顕著となっているため、適切な医療の提供を心掛けるとともに近隣の医療機関との連携の強化に努めています。また、すでにご家族がおられない方もいるため、人生の最終段階における医療や医療同意の問題など医療倫理的な難しい問題に直面するようになってきています。

当園は、以下の三つの理念のもと、日々利用者さんに寄り添った支援を目指しています。

1.個を尊重した暮らしを大切にします
集団の中で一人ひとりの願いが、消えてしまわないように、「どうしたら叶えられるか」を考えます。

2.生活場面を”ふれあいの場”として大切にします
毎日の暮らしの援助を「やさしく」「急がず」進めることで、お互いが仲良くなれます。

3.療育と支援のあり方を常に省みる姿勢を持ちます
医療も、生活も「今やっていることが一番良い方法」と決め付けることは出来ません。色々な取り組みをして、利用者の姿を見つめる事を大切にします。

当園では、これからもこれらの理念を胸に、“どうしたらより利用者さんが快適に過ごせるのか”“安心した生活を送ることができるのか”を考えながら、利用者さんに寄り添った環境を構築していきたいと思います。

人間にとって、食事は生きるうえでの楽しみのひとつといえるでしょう。当園では、利用者さんにその楽しみを可能な限り感じてほしいという思いから、ご本人やご家族とお話をしたうえで嚥下(えんげ)機能に低下がある利用者さんにも食事の提供を行っています。

ソフト食のチョコバナナ・りんご飴・フランクフルト
ソフト食のチョコバナナ・りんご飴・フランクフルト

嚥下機能の低下した利用者さんの場合には、NST栄養サポートチームによる摂食嚥下の評価に基づいて食事形態を細かくしたり柔らかくしたりした食事を提供することになります。そのような場合でも食事を楽しんでいただけるように、当園に在籍する調理師や栄養士が中心となって、見た目や味に配慮して、食事を楽しんでいただけるように努めています。

当園では、在宅で介護にあたっているご家族の身体的・精神的負担の軽減にもサポートしたいと考えています。たとえば、ご家族の病気や冠婚葬祭や仕事などで一時的に介護ができないこともあるでしょう。そのようなときでも、ご家族が安心してお過ごしいただけるように、ご家族に代わって日常生活の介護を行うサービスとして短期入所(8床に加えて空床利用)を設けています。感染症防止対策の観点から当面の間は条件付きになりますが、2020年4月からは人工呼吸器を装着している超重症児者の方々も受け入れを行っていく方針といたしました。

短期入所中に緊急事態が生じたときには、提携病院への受け入れも可能なようにバックアップも万全にしていますので、お気軽にご相談いただければと思います。

節分の様子節分の様子
節分の様子

利用者さんがより充実した生活を送ることができるように行っているのが、積極的な日中活動と季節に合わせたイベントの開催です。毎日14時ごろから時間を設けており、リハビリテーションや理美容、外気浴、院内外の散歩などの活動を行っています。そのほか、ハロウィンやクリスマスの時期にはそれらに合わせたイベントを開催したり、外部からホスピタルクラウンやバイオリンの演奏者をお招きして音楽に触れる時間を設けたりしています。また、いろいろな方にご協力いただき、エステやネイルを行ったり、移動動物園やアニマルセラピーを実施したりして、利用者さんの体と心のリラクゼーションにも取り組んでいます。さらに外部事業所を利用して入所利用者さんの外出支援も行っています。

このように、利用者さんの生活が少しでも充実したものになるよう、さまざまな活動に取り組んでいます。

当園では、1人でも多くのスタッフが長期的に働いていただけるよう、職場環境の整備に努めています。また、スタッフ間の風通しがよい環境やお互いに話しやすい環境、上司にも相談しやすい環境を構築することで、より働きやすい環境を目指しています。

当園は、重症心身障がい児者の方々を受け入れる役割を担う施設であることから、看護師やスタッフに対して求めることも通常の病院やクリニックとは少々異なります。そのため、外部研修で知識を積めることはもちろん、業務の中で仕事をしながらさまざまなアセスメント能力を養うことができることも特徴です。

摂食研修の様子
摂食研修の様子

また、子育て支援の一環として、近くにある企業対応の保育園と契約を行いました。これにより、保育園の利用を希望されるスタッフが、安心して子育てしながら働けるように配慮しています。

そのほか、腰痛防止に対するプロジェクトを立ち上げ、スタッフの腰痛予防に努めています。当園では利用者さんの介護業務が不可欠ですので、スタッフの中にも腰痛を訴える者が多いのです。そのため、腰痛予防対策として福祉用具のリフトや低床ベッドなども積極的に導入し、少しでもスタッフが安全に働きやすい環境となるよう努めています。

てんかん外来 診察室
てんかん外来 診察室

当園のてんかん外来の特色は、小児から成人まで幅広い年齢層のてんかん患者さんに加えて、知的障害自閉症、重症心身障害などを合併しているてんかん患者さんにも対応できることです。また、このようなてんかん患者さんが小児から成人に移行された際も、継続して診療を行っています。さらに、日本てんかん学会の研修施設に認定されている当園には、日本てんかん学会認定のてんかん専門医3名、日本小児神経学会認定の小児神経専門医2名が在籍しています(2020年4月時点)。そのため、専門的な医療を提供できることも当園の特色といえます。

一般的な病院やクリニックでは、てんかんに加えて、知的障害、自閉症、重症心身障害などを併せ持っている患者さんは診療を断られてしまうこともあるでしょう。そのような方々の受け皿になりたいという思いで、“てんかん外来”を設けています。

前述したように、小児から成人の患者さんまで受け入れを行っているため、安心して受診してください。なお、“てんかん外来”は予約制となりますので、事前にお電話で予約をお願いいたします。

先生

当園のスタッフは、強い志、ワンチーム意識、そして情熱的な気持ちを胸に利用者さんと向き合うとともに、利用者さんがより生活しやすい環境の構築に励んでいます。今後の課題としては、利用者さんに対する生涯学習の環境整備などを検討していくとともに、“重症心身障害学”という学問を確立させて、今後の医療現場に貢献していきたいと切に願っています。そのように、常に向上心を持って励んでいる施設でもありますので、安心してご利用ください。

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    皆川 公夫 先生

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