院長インタビュー

地域住民と進める、安心して住み続けられるまちづくり——甲府共立病院の取り組み

地域住民と進める、安心して住み続けられるまちづくり——甲府共立病院の取り組み
小西 利幸 先生

公益社団法人 山梨勤労者医療協会 甲府共立病院 院長

小西 利幸 先生

目次
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山梨県甲府市にある公益社団法人 山梨勤労者医療協会 甲府共立病院(以下、甲府共立病院)は、1955年に開設された甲府診療所を前身としています。開院当時から、患者さんが貧富の差にかかわらず平等な医療を受けられるよう、地域の各機関と連携し活動してきました。現在もその考えを引き継いで、地域住民の健康を支えています。

今回は甲府共立病院で行われている取り組みについて、院長である小西 利幸(こにし としゆき)先生にお話を伺いました。

甲府共立病院は、公益社団法人 山梨勤労者医療協会を運営母体とする病院です。当院が位置する山梨県では、少子高齢化が進んでいます。そのような地域のニーズに対応するために、総合診療病棟から各分野の診療科、救急外来を構えて診療を行っています。

甲府共立病院 外観
甲府共立病院 外観

以下では、甲府共立病院の4つの柱として、特に注力している取り組みについて詳しくお話しします。

当院では、主に重症心不全や消化管出血などに対する救急医療を提供しています。また緊急手術や緊急内視鏡、透析治療などに、時間外でも対応できるよう医師をはじめとした多職種のスタッフを当直に配置しています。

高齢化が進み、救急患者さんも高齢の方の割合が増えています。変化していく医療ニーズに応えるためにも、病床を効率的に稼働させるためのベッドコントロールも含め、患者さんを可能な限り断らずに受け入れられる体制をしっかり整えていきたいと考えています。

腹腔鏡下手術
腹腔鏡下手術の様子

開設以来、当院は“貧富の差によって生命の尊さが差別されてはならない”という考えに基づいて医療を提供してきました。そうした方針から、当院は積極的に無料低額診療に取り組んでいます。

もし経済的な理由で医療を受けることが難しいと考えている方は、ぜひ一度、当院にご相談ください(お問い合わせは代表:055-226-3131まで)。

当院の小児科では、小児リハビリテーションに力を入れていることが特徴です。

当院と同じく山梨勤労医療協会の運営する甲府共立診療所にも、同様に小児リハビリを行える環境を整えています。県内に住んでいるハンディキャップを持つ子どもが通院し訓練を行っています。

当院は、地域で医師や看護師を養成する役割を担っています。山梨県の臨床研修病院として、初期研修医や後期研修医の受け入れを行い、看護師もクリニカルラダーを取り入れた教育をしっかりと行っています。

スタッフ
研修医と研修を受け入れる病棟スタッフ

また多職種協働で医療を進めていく体制を整えていることが、当院の特徴です。医師だけでなく、看護師やリハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーなども含めてカンファレンスを行っています。そういった点も、若手の医師にとっては大きな学びの機会となるでしょう。

研修医
地域の医療懇談会で講演する研修医

当院には、甲府健康友の会という地域住民のための組織があります。会員の方と協力して、“安心して住み続けられるまちづくり”のための活動をしています。

会員向けに情報を発信する“友の会だよりこうふ”を発行しているほか、地域住民の集まりに当院の職員が出向いて、病気に関する話や腰痛体操を一緒にしたり、視覚障害者向けのヨガを教えたりしています。

この健康友の会は、山梨県全体の取り組みでもあり、“山梨健康友の会”や“峡東健康友の会”など、県内の各地域で活動が行われています。健康友の会同士の連携にも努め、一緒にまちづくりについて考えていければと思っています。

健康まつり
甲府共立病院と友の会が開催する健康まつりの様子

理想は、短期的な利益にこだわるのではなく、今後50年、100年と長く地域に存在していられるような病院であることです。そして、その存在意義を分かってもらえるような病院づくりが必要だと考えています。

当院は、来院された患者さんだけでなく、地域住民や職員の健康を守るためにヘルスプロモーション活動を推進しています。職員同士で話し合いながら働きやすい環境を整え、健康的な組織を目指し続けるほか、地域全体で健康でいられるような取り組みを始めています。

地域全体の健康を支える意識を職員全員が持って、日々取り組んでいくことが大事ではないかと思っています。

当院は、子育てをしながら働き続けられる病院を目指して、取り組みを行っています。子育て中の医師も、当院には多数在籍しています。業務を全員で協力して進めていく文化がありますので、休みの希望も伝えやすい環境です。

当院の目指している医療は、病気だけを診るのではなく、病気の原因となった背景まで含めて診る医療です。なぜ病気になってしまったのかを考えたうえで、患者さんと一緒に、次のステップをどうするか考えてくれる医師を求めています。

当院は、平等な医療と福祉の実現を目指しています。開院以来、差額ベッド料はいただかない方針をとっており、2010年からは無料低額診療も行っています。健康に不安を抱えていたり、病院にかかりたくても経済的な問題があったりする場合は、ぜひ当院にご相談いただきたいです。

そして、安心して住み続けられるまちづくりのために、地域の健康問題について皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。そのためにも、地域の皆さんにはぜひ甲府健康友の会にご入会いただけると幸いです。

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  • 公益社団法人 山梨勤労者医療協会 甲府共立病院 院長

    小西 利幸 先生

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