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酒さ様皮膚炎のスキンケアではどんなことに注意したらよいの?〜スキンケア方法や成分の注意点〜

酒さ様皮膚炎のスキンケアではどんなことに注意したらよいの?〜スキンケア方法や成分の注意点〜
山本 晴代 先生

近畿大学病院皮膚科 非常勤講師

山本 晴代 先生

目次
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酒さ様皮膚炎とは、長期間にわたりステロイド外用薬を使用することによって、その部位に赤みやほてり感、ニキビなどの症状が現れる皮膚疾患のことです。治療は、原因となるステロイド外用薬の使用を中止するところから始めますが、そもそもステロイド外用薬が必要となる皮膚の状態を予防するスキンケアも重要と考えられます。

本記事は酒さ様皮膚炎の具体的な治療法と、皮膚を健康な状態に整えるためのスキンケアについて詳しく解説します。

まず、酒さ様皮膚炎を治すうえで重要な治療の基本を理解する必要があります。

酒さ様皮膚炎の治療では、使用しているステロイド外用薬を中止することが基本になります。ただし、自己判断によるステロイド外用薬の使用中止は危険なのでやめましょう。

ステロイド外用薬の使用を中止すると、反跳現象(いわゆるリバウンド)が起こることがあり、この現象によって数週間から数か月程度、赤みや腫れの悪化やただれなどが続くことがあります。医療機関では反跳現象を考慮しながらほかの治療薬を使ったり、ステロイド外用薬を徐々に減らしたりするなど、患者さんの状態に合わせて適切な治療を行います。

そのため、酒さ様皮膚炎の疑いがある場合は、まず医療機関への受診し、医師の指導のもとで行うようにしましょう。

酒さ様皮膚炎では、そもそもステロイド外用薬が必要となる皮膚の状態(皮膚疾患)を改善するスキンケアも重要です。皮膚疾患の代表例には、アトピー性皮膚炎接触皮膚炎脂漏性皮膚炎などが挙げられます。また、同時に皮膚を清潔に保ち、症状を悪化させないようなスキンケアを行うことが大切です。

具体的なスキンケアとしては、主に紫外線対策や保湿を行うようにしましょう。また、スキンケア以外にも規則正しい生活やバランスのとれた食事を心がけることも必要です。

紫外線により皮膚症状が悪化することがあるので、日頃から紫外線対策を心がけるとよいでしょう。日焼け止めは刺激があり使用できないという場合は、帽子や日傘などで物理的に紫外線を避けるようにすることが重要です。

たとえば、長袖、長ズボン、つばの広い帽子(7cm以上)、日傘などを用いることで、紫外線が50%程度カットされるといわれています。UVカット効果がある生地で、紫外線遮光率100%に近い表記があるものを選ぶのがよいです。また、日焼け止めを使用する場合は、通勤や買い物などの少しの外出でも紫外線に曝露されるため、普段からSPF10~20 PA+~++程度の日焼け止めを2~3時間おきにこまめに塗るように心がけましょう。

また、皮膚が乾燥すると皮膚のバリア機能が低下して外部からの刺激に敏感になるため、適切な保湿が重要となります。

保湿ケアの方法

まず、化粧水の付け方ですが、手を使用する場合は手のひらに適量とり顔全体に手で押さえてなじませるようにつけるようにしましょう。コットンを使用する場合は、コットンの裏側までしっかりとしみるくらいの量を使うと摩擦を防ぐことができます。ただし、ひりつきがある場合は手を使用することを推奨しています。また、化粧水のみではなく、乳液やクリームなど剤形の違うものを重ねて付けることでより保湿効果が認められます。

成分の注意点

保湿効果がある成分には、白色ワセリン、スクワラン、へパリン類似物質、尿素、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、リン脂質(天然型セラミド、類似セラミド)などがあげられ、これらの成分を含有した保湿剤を組み合わせて使用するのがよいでしょう。

また、酒さ様皮膚炎では皮膚が敏感な状態となり、ひりつきやかゆみを伴うことがあります。したがって、洗顔料や保湿剤、サンスクリーン剤などのスキンケア・メイクアップ料は低刺激性のものを用いるのがよいでしょう。使用中のスキンケア料で刺激がなければ継続しても問題ありません。乾燥を感じる場合は、低刺激性の保湿剤を用います。

皮膚の状態を整えるためには、規則正しい生活やビタミンを十分に含んだバランスのよい食事を心がけることも大切です。

ストレスや睡眠不足はホルモンバランスの乱れなどを引き起こし皮膚の状態を悪化させるきっかけになることがあるため、十分な睡眠とストレスを溜めない生活習慣を心がける必要があります。また、アルコールや香辛料などの刺激物もかゆみなどを引き起こす場合があるため注意するとよいでしょう。

酒さ様皮膚炎はステロイド外用薬を長期間にわたって使用することが原因といわれています。しかし、自己判断によるステロイド外用薬の中止は逆に悪影響を与える可能性があるため、まずは皮膚科を受診しましょう。

また、現在ステロイド外用薬を使用している場合も漫然と同じ治療を続けるのではなく、定期的に受診をして医師のアドバイスを受けることで、酒さ様皮膚炎の発症を防げる可能性もあります。これまでに解説したスキンケアは、酒さ様皮膚炎をはじめとするさまざまな皮膚疾患の予防・悪化防止につながります。そのため日頃から正しいスキンケアを心がけて、スキンケアについて疑問がある場合は医師に質問してみるとよいでしょう。

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