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酒さ様皮膚炎の治療法とは?~基本はステロイド外用薬の中止、ただし自己判断には注意を~

酒さ様皮膚炎の治療法とは?~基本はステロイド外用薬の中止、ただし自己判断には注意を~
内田 敬久 先生

うちだ皮膚科クリニック 院長

内田 敬久 先生

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酒さ様皮膚炎とは、ステロイド外用薬を長期にわたり漠然と使用することで、塗布部分に赤みやニキビが現れる皮膚疾患です。何らかの皮膚疾患の治療のためにステロイドを使用している場合には生じることはないといいます。

本記事は、酒さ様皮膚炎の主な治療方針から自宅での対策まで詳しく解説します。

酒さ様皮膚炎の治療の基本は、ステロイド外用薬の中止です。ただし、人によってはステロイド外用薬を中止すると反跳(はんちょう)現象(俗にいうリバウンド)が起き、赤みの悪化やただれなどが数週間から数か月続くこともあります。

この症状が現れた場合は症状緩和のため、通常はニキビと同様の治療を行います。しかし、反跳現象による症状が強い場合にはステロイド外用薬を徐々に減らしていくといった方針を取ることもあります。

酒さ様皮膚炎の治療方針に関しては医師の判断の下、患者に合わせた治療が行われるため、自己判断でステロイド外用薬の使用を中止せずに、まずは皮膚科の受診を検討するのがよいでしょう。また、酒さ様皮膚炎ではステロイド外用薬の中止以外にも、医師の判断の下必要に応じて内服薬(のみ薬)や外用薬(塗り薬)が処方されることもあります。以下では処方される治療薬について解説します。

代表的な内服薬としては、テトラサイクリン系抗菌薬(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)が挙げられます。これは酒さ丘疹(きゅうしん)といった症状に対する第一選択肢となる薬で、酒さ様皮膚炎にも処方されることがあります。

テトラサイクリン系抗菌薬には炎症を抑える効果もあり、抗炎症作用によって酒さ様皮膚炎の症状改善ができるとされています。ただし、このような抗菌薬は長期間にわたって使用すると耐性菌が現れ、効果がなくなってしまう場合があります。そのため、内服は1~3か月程度で終了することが一般的です。

ステロイド外用薬を中止すると乾燥やひりつきなどの症状が現れることがあるため、緩和を目的に保湿剤が処方されることがあります。

そのほか、酒さ様皮膚炎を発症した皮膚は刺激などに過敏な状態であるため、刺激の強い化粧品を使用することは避ける、または場合によっては化粧も中止したほうがよいとされています。また、毛細血管が広がった状態が長期間続く場合は、レーザー治療が検討されることもあります。

前述のとおり酒さ様皮膚炎を生じている場合、皮膚は過敏な状態になっているため日常生活でもスキンケアなどに気を配る必要があります。

皮膚への刺激となる紫外線は極力避けるように心がけましょう。紫外線は、日傘やつばの広い帽子を利用するほか、長袖長ズボンを着用するなど物理的な対策をとることで、50%程度を遮断できるといわれています。また、通勤や買い物などの短時間の外出でも紫外線のダメージを受ける可能性があるため、日頃から日焼け止めを使用することが大切です。

日焼け止めは、UVAを防ぐ効果の目安として用いられるSPFが30以上のものを使うようにするとよいでしょう。ただし、日焼け止めの成分の1つである紫外線吸収剤はかぶれを引き起こすこともあるため、肌に合わない場合は“ノンケミカル”や“吸収剤不使用”などの表示がある日焼け止めを選ぶとよいとされています。

バランスのよい食事を心がけることも大切です。特に健康な肌のためには緑黄色野菜などに含まれるビタミンを十分に取ることが重要と考えられています。さらに、アルコールや香辛料といった刺激物はかゆみにつながるなど皮膚に悪影響を与えることもあるため、刺激が強い食事には注意しましょう。

ただし、これらの対策に関しては医師のアドバイスを仰ぎ、医師の指示の下、適切かつ効果的な対策を行うようにしましょう。

酒さ様皮膚炎の治療の基本は、原因となるステロイド外用薬を中止することです。ただし、自己判断によるステロイド外用薬の中止は逆に症状を悪化させる可能性もあるため、勝手に判断するのはやめましょう。また、酒さ様皮膚炎は酒さアトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎(いわゆるかぶれなど)との区別がつきにくいため、気になる症状がある場合は皮膚科への受診を検討しましょう。

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