編集部記事

日焼け対策には何をすればよいの?~日焼け止めの選び方や紫外線を避けるための工夫とは~

日焼け対策には何をすればよいの?~日焼け止めの選び方や紫外線を避けるための工夫とは~
山本 晴代 先生

近畿大学病院皮膚科 非常勤講師

山本 晴代 先生

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日焼けとは、紫外線を浴びることで生じる一種のやけどのことをいいます。日焼けをした場合は肌が赤く腫れたり、痛みを伴ったりすることもあり、次第に黒くなるとされています。

紫外線は体によい影響と悪い影響を両方与えますが、一般的に悪いものとして捉えられており、日焼け対策を行うことは大切です。では、具体的にどんな日焼け対策を行えばよいのでしょうか。

まず、対策方法を解説する前に、なぜ日焼け対策が必要か説明します。

紫外線が体に与えるよい影響としては、カルシウムの吸収を促すビタミンDの生合成が挙げられます。また、皮膚科では紫外線の性質をうまく利用して乾癬アトピー性皮膚炎などの治療が行われることもあります。

しかし、よい影響がある一方で、その大半が悪い影響だと考えられているため、日焼けをしないように心がけることがよいとされています。悪い影響としては、主に以下の2つが挙げられます。

まず、一度に大量の紫外線を浴びると日焼けが起こり、皮膚の赤み、腫れ、痛みなど(サンバーン)とその結果メラニンが増加して黒くなる(サンタン)が引き起こされます。

赤く腫れて痛みを伴う日焼けはやけどの状態であり、熱傷分類でI度(皮膚の表面だけのやけど)に分類されます。特に、水ぶくれや強い痛みなどがある場合は治療が必要になることがあるので注意が必要です。

次に、少量の紫外線でも長年にわたって浴び続けることにより光老化が起こり、しみやシワなどが目立つようになるほか、イボなどの皮膚の良性腫瘍(しゅよう)皮膚がんにつながることもあります。さらに最近では紫外線が皮膚の免疫反応を抑えてしまうことも明らかになってきています。

このように、紫外線が皮膚に与える影響はさまざまですが、よい影響よりも悪い影響のほうが多いため、日焼けをしないための対策を講じる必要があります。

日焼け対策には、日陰を選ぶ、衣服でガードするなど物理的に紫外線を避ける方法や日焼け止めを使うなどの方法があります。詳しくは以下のとおりです。

長袖、長ズボン、つばの広い帽子(7cm以上)、日傘などを用いることで、紫外線が50%程度カットされるといわれています。UVカット効果がある生地で、紫外線遮光率100%に近い表記があるものを選ぶのがよいです。また、海や山などの炎天下でのレジャーやマリンスポーツなどで積極的に日焼けをするなどの過剰な日光浴は避けることが大切です。

スキー場(特に春)は地面からの照り返しによって紫外線にさらされてしまうため、天気にかかわらず紫外線対策を心がけましょう。

強いサンバーンを避けることを目的として、日焼け止めを使用することが重要です。

日焼け止めの効果による使い分け

日常的に浴びる紫外線にはUVAとUVBがあり、日焼けの主な原因はUVBだと考えられています。また、日焼け止めの効果はUVBをカットする指標“SPF”とUVAをカットする指標“PA”で示されます。使用するシーンと使用する日焼け止めのSPFとPAの目安は以下のとおりです。

  • 日常生活(散歩・買い物等):SPF10~20  PA+~++
  • 軽い屋外活動やドライブなど:SPF20~30  PA++~+++
  • 晴れた屋外でのスポーツや海水浴:SPF50+  PA++++

ただし、SPFやPAは一定量をつけたときの効果を示すとされていますが、実際はその必要量の半分程度しか塗ることができていないといわれています。そのため、塗る際は量に注意し、2~3時間に1回程度は塗り直すようにしましょう。たとえば、顔全体に塗る場合はクリームタイプであれば真珠の玉2個分くらい、乳液タイプであれば1円玉硬貨2枚分の量が目安になります。

成分による使い分け

また、日焼け止めの成分には一般的に紫外線吸収剤と散乱剤があります。吸収剤は紫外線を吸収し熱などのエネルギーに変換して排出し、散乱剤は粉体表面で紫外線を反射・散乱することで紫外線から皮膚を守ります。

吸収剤は紫外線を防御する効果は高いですが、かぶれを引き起こすこともあるため、肌に合わないと感じた場合は“ノンケミカル”や“吸収剤不使用”などと表示された散乱剤中心の日焼け止めを選ぶとよいでしょう。

紫外線は決して悪いものとはいえませんが、さまざまな悪い影響を与えるのも事実です。そのため、日常的に十分な日焼け対策を講じる必要があります。長袖長ズボン、帽子などで物理的に紫外線をカットする、日焼け止めを使う、紫外線が強い環境を理解して十分な対策を講じるといった心がけが大切です。

また、日焼けしてしまった場合は、患部を水や濡れタオルで冷やすと痛みや腫れなどの症状が軽減するといわれています。なお、水ぶくれが生じたり痛みが強かったりする場合は治療が必要になる場合があるため、皮膚科の受診も検討するとよいでしょう。

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