編集部記事

日焼けしたらどんなケアをしたらよいの? 〜症状別に日焼けケアを解説〜

日焼けしたらどんなケアをしたらよいの? 〜症状別に日焼けケアを解説〜
古川 福実 先生

高槻赤十字病院 名誉院長、同顧問/皮膚・形成外科センター長

古川 福実 先生

目次
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日焼けとは炎症反応の1つです。一般的に紫外線を浴びることによって皮膚が赤くなる“サンバーン”と呼ばれる状態と、メラニンが増加して黒くなる“サンタン”と呼ばれる状態を含めて日焼けと呼びます。その程度は肌のタイプによって異なりますが、重度の場合は腫れや水ぶくれが見られるほか、炎症が強くなるとやけどの初期と同じような状態となるため、症状に対して適切なケアが必要です。

本記事では日焼けするメカニズムと、日焼けによる症状へのケア方法などについて詳しく解説します。

サンバーンの症状は主に、紫外線を十分浴びた皮膚に生じる発熱や、腫れ、痛み、発赤のほか、ひどい場合には水疱ができて熱傷(やけど)のようになるとされています。一方、サンタンはメラニン色素を作るメラノサイトと呼ばれる色素細胞が刺激されることにより、メラニンが多く作られ肌が黒くなります。

日焼け後は、1~2週間すると皮膚の表面がむけてきて(サンバーン)、その後に黒い肌が残る(サンタン)というように進行するのが一般的です。まれに、数日以内に起こることもあります。ただし、肉眼的変化に関わらず、日焼けした後はサンバーンとサンタンの2つの現象が進行しており、放置していると肌荒れやしみなど肌トラブルの原因となることもあるため、それぞれに対して適切なケアを行うようにしましょう。

日焼けをした部分を冷水タオルなどで冷やすことで炎症や痛みが多少軽減するとされています。

なお、肌が赤くなっている場合は特に治療をしなくても傷あとが残ることはないといわれていますが、炎症を抑える軟膏などでケアすることも可能です。医療機関で薬を処方してほしい場合や、水ぶくれや強い痛みなどがある場合は皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。

皮膚の色が薄い人は特に日焼けした部分の皮膚の皮がむけることがあり、皮がむけた部分は感染が起きる可能性もあるため注意が必要です。さらにかゆみを生じる場合もありますが、皮膚の感染症は引っかき傷などによる炎症や損傷がある場合に起こりやすくなるため、かゆくてもかきむしらないようにしましょう。

感染症予防のためには皮膚を傷のない清潔な状態に保つことが大切とされています。

日焼けをすると、次に紫外線に(さら)されたときのための防御反応としてメラニンが増加し、結果として肌が黒くなります。メラニンは紫外線をはじめ可視光線や赤外線を吸収してDNAへのダメージを軽減するため、日焼けによって肌が黒くなること自体は悪いことではありません。しかし、メラニンが増加することにより将来のしみ(主に日光性色素斑)につながることもあるので注意が必要です。

メラニン増加やしみに対するケアとしては、美白剤の使用、皮膚科で行われるケミカルピーリングやレーザー治療などが挙げられます。皮膚科ではメラニンの生成を抑える作用があるビタミンCやトラネキサム酸の飲み薬、美白成分を配合した塗り薬などを処方してもらえることがあります。また、さまざまな美白化粧品も市販されていますが、美白剤の効果はそれほど強いものではないといわれています。

注意点

レーザー治療やケミカルピーリングは日焼けによる一般的なしみ(日光性色素斑)に対しては有効とされていますが、肝斑(かんぱん)はレーザー治療によって悪化することがあったり、肝斑やそばかすに対するケミカルピーリングは困難であったりするため、しみの種類によっても治療方法は異なります。そのため、まずは皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。ただし、しみの診断は経験のある皮膚科医でも簡単ではないので、できれば皮膚科専門医で美容皮膚科を標榜あるいは得意としている医師を受診しましょう。

日焼けはやけどに似た状態であるため適切なケアを行うようにしましょう。日焼け後の肌は、極度の乾燥状態になっているので、体の水分補給と皮膚の保湿はとても重要です。水ぶくれや強い痛みなどがある、自身のケアでは症状が改善されない場合は、皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。

また、もっとも大切なことは日焼けをする前に予防することです。衣服や帽子、日傘などを用いることで紫外線は50%カットされるといわれています。さらに、急に強い紫外線を浴びるよりも徐々に皮膚を紫外線に慣らしていくことによって、メラニンが作られ紫外線から守ってくれるとされています。そのほか、日焼け止めクリームなども使い、紫外線予防に努めるとよいでしょう。

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