インタビュー

全身性エリテマトーデス(SLE)とは。全身の臓器に症状を及ぼす自己免疫疾患

全身性エリテマトーデス(SLE)とは。全身の臓器に症状を及ぼす自己免疫疾患
古川 福実 先生

高槻赤十字病院 病院長

古川 福実 先生

全身性エリテマトーデス(SLE)という病気をご存じでしょうか。耳慣れない言葉ですが、自己免疫疾患のひとつであり、適切な治療をしなければ多臓器障害を起こす可能性がある指定難病のひとつです。しかし現在では治療法が確立されてきており、発症した患者さんであっても病気と付き合っていくことが可能な段階になってきています。全身性エリテマトーデス(SLE)はなぜ発症するのでしょうか。全身性エリテマトーデス(SLE)の病態とその概要について、和歌山県立医科大学皮膚科教授の古川福実先生にお話をお聞きしました。

全身性エリテマトーデス(SLE)とは

全身性エリテマトーデス(SLE)はsystemic lupus erythematosusといい、その頭文字を取ってSLEと略されます。その名のとおり、全身のあらゆる臓器や箇所に様々な症状を引き起こす病気です。膠原病(自分の免疫システムが、誤って自分の正常な細胞を攻撃してしまう病気)の一種であり、かつては致死率も高く治療も難航していましたが、現在は効果的な薬が開発されてきたことによって患者さんの予後(治療後の経過)も良くなってきています。

全身性エリテマトーデス(SLE)の原因

全身性エリテマトーデス(SLE)の原因ははっきりと分かっていません。しかし前述のように膠原病の一種であることから、抗体を生産するBリンパ球の異常活性化など、免疫の異常が関与していると考えられています。また、遺伝的素因も予測されてはいますが、遺伝病と断定できるわけではありません。

全身性エリテマトーデス(SLE)の患者はどのくらいいるのか

全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんは、日本全国に約6~10万人ほどだと予測されており、2013年時点で難病申請をしている方が6万人以上います。また、男女比は1:9と考えられており、女性に圧倒的に多い病気で、特に20~40歳の方に多いといわれています。これは女性ホルモンが自己免疫反応の活性化に影響を及ぼしているためではないかと考えられています。

全身性エリテマトーデス(SLE)は様々な症状を全身に生じる

前項でも述べましたが、全身性エリテマトーデス(SLE)はありとあらゆる症状があらわれ、最初は何の病気なのかわからず、診断に時間がかかってしまうケースも少なくありません。

具体的には、全身症状として発熱、全身倦怠感、食欲不振などが見られると同時に、関節症状や特徴的な皮膚症状もあらわれます。その他光線過敏症(強い紫外線を浴びた後で皮膚に発疹や水ぶくれが出てしまう)や口内炎、脱毛も見られ、さらに重症化すると腎障害などの臓器障害を発症する場合もあります(皮膚症状の詳細については『全身性エリテマトーデス(SLE)の代表的な症状「皮疹」について』を参照)。

全身性エリテマトーデス(SLE)は死に至る病ではない。きちんとした治療で治る病気

かつて全身性エリテマトーデス(SLE)は特効薬がなかったため、発症すると非常に予後(治療後の経過)が悪く、長期にわたって苦しまれる患者さんも少なくありませんでした。しかし現在はステロイド(副腎皮質ホルモン剤)などの薬が登場し、適切な投与方法が確立されたことにより、飛躍的に病状のコントロールが良くなっています。

ただし、全身性エリテマトーデス(SLE)の症状が臓器にまで及び、腎障害や中枢神経障害をきたしている場合には、薬の長期大量投与が必要になる場合もあるため、経過の程度を一概に述べることはできません。最近ではヒドロキシクロロキン(詳細は『全身性エリテマトーデス(SLE)の治療。ステロイドを中心に、ヒドロキシクロロキンの活用も』)という薬が認可され、全身性エリテマトーデス(SLE)の代表的な症状である皮疹に対する特効薬として、注目を集めています。

このように全身性エリテマトーデス(SLE)の治療法は進歩を続けています。