院長インタビュー

“患者さんに寄り添う”をモットーに、安全で高度な医療を迅速に提供できる病院を目指して―順天堂大学医学部附属順天堂医院の取り組み

“患者さんに寄り添う”をモットーに、安全で高度な医療を迅速に提供できる病院を目指して―順天堂大学医学部附属順天堂医院の取り組み
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東京都・文京区に位置する順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下、順天堂医院)は、他を思いやり慈しむ“仁”の精神を大切にし、発展を遂げた病院です。その根底には、安心・安全を心がけながら、すべての人に公平に心の通った医療サービスを提供したいという思いがあります。大学病院として高度な先進医療を提供するとともに、地域の患者さんの診療を大切にしています。

同医院の院長でいらっしゃる桑鶴(くわつる) 良平(りょうへい)先生は、“患者さんに寄り添う”をモットーに掲げ、患者さんが安心して利用することができる病院を目指し、新たな取り組みに積極的に取り組んでいらっしゃいます。今回は桑鶴良平先生に、順天堂医院が大切にしている考えや、尽力している取り組みについてお話しいただきました。

外観
病院外観

順天堂医院は、1838年、佐藤泰然(たいぜん)が開いた医学塾である和田塾がルーツになっています。この和田塾は、日本で初めて西洋医学を扱う医学塾として開設されました。

その後、1843年に、佐藤泰然は佐倉本町(現在の千葉県佐倉市)に順天堂を開設しました。現在の名称は、これを引き継いだものになります。

当院の前進であるこれらの医学塾は、医学に情熱を注ぐ者が修練を積む場所であるとともに、たくさんの方を救う場所でもありました。たとえば、洪水によって疫病が流行したり、治水事業によってけが人が発生したりするなか、医学塾に所属していた者は患者さんの治療に奔走して多くの人を救ったといわれています。

創始者である佐藤泰然は義理と人情を重んじ、患者さんへの深い思いやりに溢れた人物であったと思っています。当院は、このような創始者の思いを引き継ぎ、他を思いやり慈しむ“仁”の精神を大切にしながら発展を遂げてきました。

理念は“不断前進”であり、どのようなときでも向上心を忘れず、より良い医療を提供すべく努力を続けています。

ICUの様子
ICUの様子

当院は、すべての方に公平に、安心・安全を心がけながら医療サービスを提供したいと考えています。たとえば、近隣の皆さんも、また、全国から来られる先進的医療を必要とする難治性疾患の患者さんも、全ての患者さんを平等に診療したいのです。

私たちは大学病院として、高度な先進医療を担う使命を持っています。実際に、高度な医療の提供と医療技術開発および研修を実施する能力を有する特定機能病院として厚生労働省より承認されており、医薬品、医療機器の開発とともに先進的な高度急性期、急性期医療を常に積極的に行っています(2024年4月時点)。

当院を選んでくださる全ての患者さんを大切にし、それぞれの患者さんに適した診療を提供したいと思っています。そのため当院では、どのような状態の患者さんであっても、可能な限り受け入れ診療するよう努めています。

当院は、高度な先進医療に取り組む使命を持つ大学病院として、先進医療に積極的に取り組んでいます。その取り組みのひとつがロボット手術の導入です。近年、より安全で負担の少ない手術を実現するために、ロボット手術が注目を集めています。

たとえば、当院は、手術支援ロボットであるダヴィンチを用いた手術に積極的に取り組んでいます。現在は9つの診療科で、24種類のロボット手術を受けることができます。特に、当院では数多くの前立腺がんや肺の病気の手術でダヴィンチを使用していますが、他にも大腸や婦人科など幅広い手術にも使用しています(2024年4月時点)。

また、ダヴィンチを正確に操作する医師の育成についても、病院が後押しして積極的に取り組んでいます。

当院は救急指定病院として救急医療にも注力しており、救急車による搬送をできる限り断らず受け入れています。実際、救急車の受け入れも99%とほとんど断りません。また救急車による搬送は、年間7,000台を超えており(2023年度)、今後はさらに多くの救急患者さんを受け入れたいと思っています。

さらに、救急車以外で来院される救急患者さんも、積極的に受け入れています。救急車以外で当院を受診される救急患者さんもできるだけお待たせせず、受診時情報(トリアージ)を正確に把握したうえで、各人に対して適切な医療を提供に努めています。

当院は、診療科どうしの連携を実現しながら、独自の取り組みを積極的に進めてきました。ここでは、当院が尽力している取り組みをいくつかご紹介します。

検査室の様子
検査室の様子

当院は、病院を訪れる患者さんがスムーズに診察・治療を受けていただけるようメディカル・コンシェルジュを設けております。複数科での診療や検査が効率よく受けられるように日程調整をし、説明を行うほか、『セカンドオピニオン外来』、『病診連携外来』、『SOGI 相談窓口』、『難病・高度医療特殊専門外来』がそれぞれの機能を担い、順天堂医院に通院中の難病ならびにその類縁疾患患者さん、一般患者さんを対象に、安心して診療が受けられ療養生活が送れるよう支援しております。

メディカル・コンシェルジュのスタッフの皆さん
メディカル・コンシェルジュのスタッフの皆さん

当院には、専門的な治療のためのセンターが複数あります。2021年には、患者さんがアクセスしやすいように消化器内科や消化器外科の外来と同じフロア(1号館2階2D)に近接して『超音波センター』を開設いたしました。当院ではこれまで、超音波検査は診療科毎で分散して行っていましたが、各診療科の超音波検査をセンター化することで、検査に関わるスタッフと超音波装置の効率的な運用が可能となりました。検査内容も、腹部、骨盤部を中心に、小児、乳腺、甲状腺などの体表臓器、頸部血管、胸腺、腸管など多岐の領域にわたり施行しています。超音波検査は低侵襲であると共に疾患によっては最終診断が可能である有効な検査で、検査数の増加を図るとともに、病気の早期発見、早期治療に貢献します。

超音波センターの様子
超音波センターの様子
手術風景
手術風景

私は、院長として“医療安全のさらなる強化”を目標のひとつにしています。それは、医療安全を強化することで患者さんがより安心して医療サービスを受けることができるようになることはもちろん、医療事故を防ぐような仕組みがあれば若手医師が安心してスキルアップをはかることができると考えているためです。

今後も、医療事故が起こらないような仕組みづくりを強化していくつもりです。

また、当院は、若手医師がさまざまな経験を積むことができる場所にしたいと考えています。たとえば、救急医療から集中治療まで一連の経験を積むことで、重症患者さんの診療技術を磨いてほしいのです。

また、大学病院である当院は、研究にも力を入れています。そのため当院に所属する医師には、診療技術の向上をはかるだけでなく、リサーチマインドをもち研究にも取り組んでもらいたいです。そして自分で行った研究の成果として、やがて新薬や新たな治療法の開発につなげていってほしいと思っています。

診察風景
診察風景

順天堂医院では地域の病院と連携しながら、毎日途切れなく診療を行っています。常に患者さんに寄り添いながら、高度で先進的な医療を進めていくことを心がけています。多くの患者さんが当院で安全に治療し、社会に復帰したり病気と共に日常生活を送って戴けることを念頭に診療を行っています。また、時代の流れに合わせてIT,AIを活用してDx(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。あと払いクレジットサービスを導入し現在1日約40%の患者さんが外来診療の支払いに利用しています。更に保険証の事前確認ブースを設置し会計待ち時間を現在平均約6分に短縮しました。今後もDxを推進し診療や患者サービスに活かしていく所存です。