院長インタビュー

彦根市周辺の医療の中核的な役割を担い続ける、彦根市立病院

彦根市周辺の医療の中核的な役割を担い続ける、彦根市立病院
金子 隆昭 先生

彦根市立病院 彦根市病院事業管理者

金子 隆昭 先生

目次
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彦根市立病院は、滋賀県彦根市にある総合病院です。27の診療科を持ち、湖東医療圏唯一の公的医療機関として地域の医療の中核的な役割を担う同院について、病院事業管理者の金子 隆昭(かねこ たかあき)先生にお話を伺いました。

先方提供
病院外観(彦根市立病院ご提供)

当院は1891年 (明治24年)に彦根市で開院した“公立彦根病院”を前身としています。当時は彦根城のお掘りのそばにありました。その後、1937年(昭和12年)には現在の彦根市立病院へと改称。2002年(平成14年)には現在地の彦根市八坂町へ新築移転して現在に至ります。

当院はすでに開院から130余年の歴史があり、また自治体病院としては全国的に見ても10番目の古さです。その間、当院は彦根市とその周辺にお住いの方へ、基幹的な病院として医療を提供してきました。現在は27の診療科と438床の病床数を持ち、湖東医療圏唯一の公的病院として急性期医療、救急医療を担っています。2022年度の救急搬送数は4,718件と、滋賀県内でも非常に多い数となっています。

当院では全ての科で質の高い医療の提供を心がけていますが、なかでも力を入れている医療として脳卒中への対応があります。

当院は日本脳卒中学会から、非常に高い基準をクリアすることを求められる “一次脳卒中センター(PSC)コア”施設に湖東医療圏で唯一認定されており、脳神経外科で一刻を争う脳卒中の患者さんを24時間365日体制で受け入れ、t-PA療法(血管を詰まらせている血栓を薬で溶かす治療法)や、血栓回収療法(カテーテルを使って血栓を取り除く治療法)を行っています。

さらに当院では消防隊との緊密な連携のもとホットラインを開設しており、地域全体で脳卒中の患者さんを急ぎ当院へ搬送いただける体制を整えました。結果として、発症から血栓回収までに要する時間は滋賀県のPSCコア施設の中でも極めて短くなっています。

なお、当院ではコア施設の要件として求められる脳卒中相談窓口の設置も行っており、湖東地域のみならず、近隣の医療圏までも含む脳卒中治療のセンター的な役割を担っています。脳卒中の患者さんやご家族でお困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。

地域の高齢化に伴い、当院では整形外科の診療内容にも注力しており、救急での骨折等の外傷への対応はもちろんのこと、脊椎や関節、リウマチなど、幅広い病気に対応しています。

特に症例数が多いのは脊椎の手術と人工関節置換術です。脊椎については脊椎センターを設置し、脊椎内視鏡手術を開始しています。この手術は従来の手術に比べて低侵襲(ていしんしゅう)(体に負担が少ない)なため、患者さんの痛みの軽減や在院日数短縮につながっています。

先方提供
CORIを使った手術のシミュレーション(彦根市立病院ご提供)

変形してしまった膝関節や股関節(こかんせつ)を人工関節に入れ替える人工関節置換術については、当院ではより安全でより正確な手術が期待できる手術支援ロボット“CORI(コリ)”を導入しました。滋賀県では初の導入となります。

これにより骨切除の誤差が非常に少なくなっただけでなく、繊細な靱帯(じんたい)のバランスを確認しながら手術できるので、術後の関節の動きの違和感を従来よりも少なくできると感じています。今後も地域の医療ニーズに合わせ、新たな機器や治療法を取り入れていきたいと考えています。

先方提供
装着型ロボットスーツを使ったリハビリテーション(彦根市立病院ご提供)

当院では脳卒中などの急性期の患者さんで運動麻痺がある方に向けて、装着型ロボットスーツを使ったリハビリテーションを開始しました。このロボットスーツは主に軽症の方を対象としていますが、当院では独自のノウハウにより完全麻痺に近い患者さんにもお使いいただいています。2023年3月からプレ運用を開始後、1年ほどで50名の患者さんに対して期待以上の効果をあげており、今後もこのスーツを患者さんの機能回復のために利用していきたいと思います。

滋賀県の公立病院ではもっとも古い歴史を持ち、地域に根づいた医療を提供してきました。しかし、近年は医師の働き方改革による医療リソース不足や救急搬送数の増加により、当院を含む地域の医療機関が連携し、地域全体で役割分担をしながら患者さんを診る体制づくりが求められています。

当院では2018年に地域医療支援病院の認定を受け、湖東医療圏の他の病院や、かかりつけの先生方との連携を強めて来ました。その結果、当院で急性期の治療を終えた患者さんが回復期、慢性期の治療を受け持つ医療機関へと移る際にはスムーズに連絡を取り、患者さんへのストレスをなるべく抑え、地域ぐるみで一貫した医療を提供できるようになってきています。

また、地域の皆さんに少しでも当院を知っていただきたい、健康に関心を持っていただきたいという思いから、FM彦根で『こころと体の放送室』という番組を放送しています。当院のスタッフが代わるがわる出演して情報発信をしているので、ぜひお聞きください。

これからも当院は地域の医療の中心として、皆さんに信頼していただける病院でいられるように努めていきたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。

*診療科、病床数、提供している医療の内容等についての情報は全て、2024年6月時点のものです。

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