院長インタビュー

“断らない”をモットーに循環器疾患の救急医療体制を強化する綾瀬循環器病院

“断らない”をモットーに循環器疾患の救急医療体制を強化する綾瀬循環器病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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東京都足立区谷中にある綾瀬循環器病院は、東京23区北東部地域に密着した医療を提供する病院です。同院の地域における役割や今後について、院長・理事長である丁 毅文(てい いむん)先生に伺いました。

当院は今から40年近く前の1986年に開設し、2年後の1988年には丁 栄市(てい えいいち)(現在は法人の相談役・顧問)により医療法人社団栄悠会が設立されました。その後、増改築工事などを経て2015年に当院は現在の地に移転し、同時にあやせ循環器リハビリ医院(現・あやせ循環器リハビリ病院)も開設されました。現在では2病院で各76床を有し、合計152床を運営しています。また、栄悠会グループはこの2病院以外にも、あやせ循環器クリニック、ハートディサービスセンターを開設しており、グループ全体で心臓血管外科、循環器内科などを中心に、リハビリテーションにも注力して取り組んでいます。

“医人とその心”を理念に掲げ設立された当院は、循環器救急医療を中心に地域医療へ貢献することを使命とし、足立区周辺の地域医療の一端を担っています。

当院は、開設当初より救急医療に力を入れています。心臓や血管の病気など循環器救急医療に対しては、24時間365日体制で1人でも多くの患者さんを受け入れることを社会的使命とし、特に当院で手術や治療を受けた方や通院されている方は確実に受け入れられるよう努めています。

また、新型コロナウイルス感染症の流行時には、駐車場にコンテナを借りて急遽ER(救急室)を開設しました。現在は本院の1階にERを新設しており、感染症などが疑われる場合は個室で処置を行っています。循環器内科医や心臓外科医、麻酔科医*などが協力し新型コロナの重症患者さんにも対応してきました。“断らずに最大限できることをやろう”というのが、開設以来の当院の理念であり、地域の医療機関との連携もしっかり行いながら、より充実した救急医療を提供できるよう邁進しています。

*麻酔科標榜医……田川 学先生他2名在籍(2024年11月時点)

当院には、2室のバイオクリーン手術室とハイブリット手術室が設置されており、緊急開心術(心臓血管手術)にも24時間体制で対応が可能です。2023年度の実績でいえば、急性大動脈解離91件、急性心筋梗塞は194件、心不全は332件を受けいれており、東京都内でみても非常に多い実績となっています。

当院では、2020年よりMICSと言われる低侵襲(ていしんしゅう)心臓手術を導入しており、患者さんの体への負担が少ない手術を積極的に行っています。また、TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)やMitra Clip(経皮的僧帽弁クリップ術)、Watchman(左心耳閉鎖術経カテーテル的手術)といった新しい治療法も取り入れており、患者さん一人ひとりに合わせた治療の提供を可能としています。

心臓リハビリテーションによる再発予防への取り組み

当院では、治療だけでなくその後の再発予防のためにも心臓リハビリテーションに力を入れています。当院のリハビリテーション科には心臓リハビリテーション指導士*の資格を持った理学療法士が常勤しており、安全面に考慮しながらチームで患者さんをサポートしています。

充実したリハビリ環境が整っていますので、せっかく治療を受けたのなら、その後の再発予防にもぜひ取り組んでいただきたいと思います。現状では、退院した方の4人に1人程度が外来心臓リハビリを利用していますが、今後はもっと多くの患者さんに、心臓リハビリセンターに来ていただくことが私の目標の1つです。

*心臓リハビリテーション指導士……日本心臓リハビリテーション学会認定

当院はNP(診療看護師)*の育成にも力を入れています。NPとは、特定行為などの診療行為を行うことができる看護師を指します。私は、医師は医師にしかできないことをやり、NPがバックアップしていく形が理想的だと考えており、実際にNPが介入した手術について、手術成績に差がないという内容の論文も出しています。
NPとなることで看護師自身のスキルアップにつながることはもちろん、患者さんにとっても、医師より少し身近な存在としてNPがいることは安心につながり、メリットが多いのではないかと思います。今後も医療体制の充実のため、NPを目指すスタッフの支援に注力してまいります。

*NP(診療看護師)……NP協議会が実施するNP資格認定試験に合格した者を指す。

当院では地域医療連携室を設置しており、他医療機関との連携を通して患者さんに安心いただける医療を提供できるよう、さまざまな取り組みを行っています。

地域医療連携室では、他医療機関からの問い合わせ窓口としての機能をはじめ、紹介医への来院報告、経過報告、連携実績の把握などを実施しています。また、地域医療連携委員会、カルテ委員会、医療情報委員会などにも参加し、地域との交流や情報交換に努めています。

私たちは、先代が掲げた“救急を断らない”という理念を守り続けたいと考えています。その思いから、当院では“東京都CCUネットワーク”“急性大動脈スーパーネットワーク”に加盟しています。これらは迅速な対応が必要となる急性心血管疾患や急性大動脈疾患に対し、設備が整い治療実績もある医療機関へと速やかに救急搬送を行うためのシステムです。これにより、循環器疾患の疑いがあれば、当院での精密検査、専門治療、入院治療が迅速に行える仕組みになっています。

当院には先端の医療機器や治療法が導入されており、検査から手術・入院・リハビリまで充実した体制を整えています。しかしそれだけでは“いい病院”とはいえません。医療に命を吹き込むのは医師をはじめとするスタッフの心です。快方に向かう人々の喜びの顔が見たいと願う真撃な思いがあってこそ“いい病院”といえるのだと私たちは考えます。

当院ではこれからも、掲げた理念を守りながらスタッフ全員でチーム医療を続けていく所存です。どうか小さなことでもお気軽に、なんでもご相談いただければと思います。いつでも気兼ねなくご来院ください。

*病床数や医師、スタッフ、提供している医療の内容等についての情報は全て2024年11月時点のものです。

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