うったいせいにゅうせんえん

うっ滞性乳腺炎

乳房

目次

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概要

うっ滞性乳腺炎は、乳汁が乳腺のなかに溜まってしまい、炎症を起こす病気です。乳腺とは、女性の乳房の中にある組織であり、乳汁を分泌する役割があります。妊娠や出産を機に授乳の必要な時期になると、プロラクチンとオキシトシンと呼ばれるホルモンの作用で乳汁を分泌するようになります。

この乳腺が何らかの原因で炎症を起こす病気を乳腺炎といいます。乳腺炎には、うっ滞性乳腺炎と急性化膿性乳腺炎があります。急性化膿性乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎に黄色ブドウ球菌などの細菌感染が生じてさらに悪化したものです。

原因

うっ滞性乳腺炎の原因は、乳汁が乳腺や乳管内に溜まってしまうことです。乳汁が溜まった乳腺や乳管は炎症を起こしやすくなります。また、乳汁には栄養素が豊富に含まれ、乳頭の乳管を通して外界とつながっているため細菌感染が起こりやすいという特性もあります。乳汁が乳腺・乳管内に溜まってしまう原因には、次のようなものがあります。

乳汁の過剰分泌

赤ちゃんが必要とする哺乳量よりも多く乳汁が分泌されると、乳汁が乳腺内に残ったままの状態になる傾向が生じ、うっ滞性乳腺炎の原因となります。乳汁の分泌量自体は適量でも、赤ちゃんの哺乳力が弱い場合には哺乳量も減少してしまい、乳汁のうっ滞につながる可能性があります。

乳管の開不全

乳汁は乳腺で作られ、乳管を通って体外に放出されます。特に初産婦では、この乳管が十分に開いておらず、乳汁の放出が妨げられてしまうことがあります。また授乳中は乳房のサイズが大きくなるため、サイズの合わない下着や洋服によって締め付けられることにより、乳管が物理的に閉塞されて乳汁のうっ滞が起こることもあります。乳汁は母親の血液から生成されるため、脂肪分や塩分の高い食事が乳管を詰まらせる原因になることもあります。授乳中の方は食事にも注意が必要です。
 

症状

乳房が赤く腫れ、熱感がみられます。乳汁が詰まっている乳腺葉(乳腺を構成している構造)に限局して痛みを伴う硬いしこりが触れることもあります。しこりの部分だけでなく乳房全体に強い痛みが出ることが多いです。乳汁は通常、乳白色から透明に近い色をしていますが、うっ滞性乳腺炎では淡黄色になることがあります。

うっ滞性乳腺炎が生じている状態で、細菌感染を起こし、急性化膿性乳腺炎に悪化すると、38.5度以上の発熱や悪寒、関節痛などの症状が現れます。

検査・診断

乳房の状態を視診、触診することで診断できるため、特別な検査は行われません。急性化膿性乳腺炎に進行した場合は、ごくまれに乳房内に膿がたまることがあり、この膿を取り出して原因菌を検査する必要が生じることがあります。
 

治療

治療には、(1)乳腺の炎症に対する薬物治療と、(2)母乳が溜まってしまうのを防ぐ予防的な治療(母乳ケア)があります。

(1) 薬物療法

乳腺の炎症や痛みに対しては消炎鎮痛剤を用います。また、細菌感染が疑われる場合には、抗生剤を使うこともあります。うっ滞性乳腺炎の患者さんに処方される消炎鎮痛剤や抗生剤などの薬は、授乳中でも安全に使用できるものです。

(2) 母乳ケア

うっ滞性乳腺炎の治療で最も大切なことは、溜まってしまった乳汁を放出することです。一般的な方法としては、赤ちゃんへの積極的な授乳や、搾乳機の使用が挙げられます。しかし、詰まってしまった乳管から乳汁を放出させるためには、上記の方法だけでは不十分なこともあります。母乳マッサージを行っている助産院や産科もあるため、利用するのもよいでしょう。
 

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