「記事1:びまん性汎細気管支炎とは」では、びまん性汎細気管支炎の症状・検査・診断についてお伺いしました。ここでは、びまん性汎細気管支炎の治療が確立されるまでの経緯について公益財団法人結核予防会 理事長の工藤翔二先生にお話をお伺いしました。
発病してから5年間の生存率は50%前後とされていました。しかし、感染菌の推移から観察しますと、初期にはインフルエンザ菌が気管支に繁殖し、最終的には緑膿菌が大量に繁殖、緑膿菌に感染すると5年間の生存率はわずか8パーセントという劣悪な状況でした(1980年代前半当時)。
生存率が非常に低いのは、肺の機能が侵されて呼吸ができなくなってしまうからなのです。いわば、肺に痰が異常に溜まってしまい自力では排出することができず、自分の痰でおぼれてしまい呼吸困難になる状態といえばわかりやすいでしょうか。
通常は、気管支から出る分泌液は線毛にのって喉の奥へ運ばれます。しかし分泌液の量が多い、あるいは線毛の輸送機能が悪くなると分泌液を運びきれなくなります。分泌液の量も適量で、線毛の輸送機能が正常に働いていれば問題はないのですが、そうでない場合は体外に排出するために、咳で痰を出さなければならなくなります。
肺の機能が正常ですと大きな咳をして痰を出すことができますが、肺の機能が侵された患者さんは小さい咳しかできず、痰を排出できません。ですから、当時はのどに穴を開けて気管切開を行い、1~2時間おきに痰を吸引する必要がありました。
そのような状態で長期間安静にしていなければならないのは患者さんにとって絶望的な状況です。当時はとにかくインフルエンザ菌を根絶やしにする治療を第一優先で行っていたので、ペニシリン系・セフェム系などの抗生物質を徹底的に使っていました。しかし、インフルエンザ菌がまもなく緑膿菌になり、患者さんは次第に呼吸困難を起こして最終的には呼吸不全で亡くなられるという悲惨な結末だったのを覚えています。
1970年代の終わり頃、当時虎の門病院に勤務していた谷本普一先生が、びまん性汎細気管支炎に関する16症例をまとめて報告されました。その症例中「3人が自殺・自殺未遂した」と書かれておられます。今でこそ治療法も確立し、死には至らない病気にはなりましたが、当時は患者さんにとって、この病気はとても苦しく辛い病気だったのです。
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びまん性汎細気管支炎治療中の喉の痛みについて
びまん性汎細気管支炎で、3.4年前から治療中だが、2週間ぐらい前に、仕事でほこりやカビに接することがあり、のどが痛くなり声枯れが出た。(はっきりとした原因は不明だが) 主治医に聞いたが薬をしっかりやるようにと言われた。息苦しさやだるさなど症状があるので、何か感染したのか・・・よく分かりません。どんな原因が考えられますか?このまま放って様子を見ていても大丈夫なのでしょうか?
咳と緑の痰
2週間位前から痰が絡むような咳が出ます。実際緑の痰が1日1回位でます。最初は頭痛もしましたが頭痛は2日くらいでおさまりました。あと声もおかしかったですがこれも4、5日でおさまりました。だんだん咳もおさまってきていますが突然むせるように出ます。風邪かと思い受診してませんでしたがちょっと長いのかなと心配になり受診すべきか悩みます。でも少しずつよくなってきてるし大したことないと言えばそうなので今更な気もするのでもう少し様子みるべきかと思ったりします
1週間ちょっと続く咳
胸が痛くなり始め痰が緑色になり固まった感じの緑色のたんです。 昨日わ息を吸うだけで咳が出ました今わ少し良くなりましたけど咳わ出て痰もでます
レントゲンに映った『粒状陰影』は何でしょうか
5月に会社の健康診断でレントゲンを撮りました。1ヶ月後に結果が配布され、右肺に粒状陰影がうつっていたとの事で、医療機関を受診するよう指導を受けました。 健康診断から結果を受けとった1ヶ月の間に風邪の様な症状で体調をくずし、そのレントゲン画像も持参して内科を受診したところ、肺炎を発症していました。ですので、健康診断で映った粒状陰影よりも肺炎が取り上げられ、粒状陰影が何だったかをしっかり聞けていません。 肺炎は、ジスロマックで治りました。1週間後のレントゲンには肺炎はなくなっており、粒状陰影もなくなっていました。 気管支炎だった、との説明だったように思うのですが、私の中でハッキリ聞けておらず、教えて頂きたく投稿させていただきました。 肺に映った粒状陰影は、気管支炎である、で間違いないでしょうか。 CTも撮りましたが、癌などでは無いとの事でした。 宜しくおねがいいたします。
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