インフルエンザA型とB型の症状や治療法の違い

日本では冬の時季に流行しやすいインフルエンザ。インフルエンザにはいくつか種類がありますが、その中でも流行しやすいといわれているものがインフルエンザA型とインフルエンザB型です。これらのインフルエンザの違いはどのようなものなのでしょうか。型の違いによって、症状や治療法は異なるのでしょうか。

インフルエンザA型とB型の原因と症状について

インフルエンザの原因と型の違い

インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされます。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つの種類があります。この中でも、日本で冬に流行的な広がりを見せるのがインフルエンザA型とインフルエンザB型であり、季節性インフルエンザとも呼ばれます。

インフルエンザA型とB型の症状の違い

インフルエンザA型とインフルエンザB型は、基本的に症状の違いはありません。いずれの場合も、インフルエンザウイルスの感染から1～3日後に38℃以上の高熱、頭痛、全身のだるさ、筋肉痛などの症状が現れます。安静にしていれば1週間程度でよくなることが多いですが、免疫機能が低下している高齢者では、肺や気管支などに二次感染を起こすこともあります。

インフルエンザA型とB型は“亜型”の数が違う

それでは、インフルエンザA型とB型の違いは何なのでしょうか。大きな違いは、インフルエンザウイルスの“亜型”の多さです。インフルエンザウイルスはウイルスの表面に、HAとNAという2つのたんぱく質を持っており、同じ型のインフルエンザウイルスの中でも、保有するたんぱく質の組み合わせが異なるものがあります。このような同じ型の中の違いをインフルエンザウイルスの“亜型”と呼びます。

A型インフルエンザウイルスはB型と比べてHAとNAの種類が多いため、亜型の種類も多くなります。流行する亜型は数年～数十年おきに変化するといわれており、2019年時点で流行しているインフルエンザウイルスはA型の亜型であるH1N1型及びH3N2型と、B型の3種類です。

インフルエンザA型とB型で重症度に違いはない

上記で述べたように、インフルエンザA型とB型で症状に違いはありませんが、インフルエンザA型では新しい亜型が現れるタイミングで爆発的な流行を起こしやすいといわれています。また、大きな流行がみられるほどインフルエンザで死亡する人や肺炎などの二次感染で死亡する人が多くなるため、インフルエンザA型のほうがより重症であるようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、実際はインフルエンザB型であっても重症化することがあります。インフルエンザの症状はかかった人の持病や免疫機能によって異なるため、A型であれば重症、B型であれば軽症と決めつけることはできません。

インフルエンザA型かB型かを調べるには

インフルエンザにかかった場合、症状のみでA型かB型かを判断することはできません。どうしても型を知りたい場合には病院でのインフルエンザ迅速検査が必要ですが、必ずしも型を知る必要はない場合も多くあります。

この検査では、受診者の鼻やのどの粘膜を綿棒でぬぐって検体を採取し、ウイルスの有無とタイプを調べます。簡便で精度が高い検査ですが、ウイルスに感染してからのタイミングが早すぎると、正しい結果が出ないこともあります。

また、適切なタイミングであったとしても検査の感度には限界があるため、インフルエンザにかかっていても陽性にならない場合もあるとされています。症状や状況からインフルエンザであることが確実な場合には、医師の判断で検査が実施されないこともあります。

インフルエンザの治療薬

インフルエンザの治療薬には、抗インフルエンザウイルス薬と呼ばれるものがあります。抗インフルエンザ薬が使用できるかどうかはタイミングや病状によっても異なるため、医師の診断によって判断されます。抗インフルエンザウイルス薬にはアマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビルなどがあります。このうち、ほとんどの抗インフルエンザウイルス薬はA型とB型の両方に使用可能ですが、アマンタジンはA型インフルエンザウイルスのみに有効です。ただし、アマンタジンはほとんどのインフルエンザウイルスが耐性を獲得しており、効果が現れにくくなっているため、使われることは少なくなってきています。

まとめ

流行するインフルエンザにはA型とB型がありますが、どちらも症状に大きな違いはありません。インフルエンザ自体は、高齢者や子ども、なんらかの持病のある人でなければ過度に心配する必要はありませんが、症状がつらい時などは状況に合わせて受診を検討するようにしましょう。