症状
エプスタイン病の症状は非常に多様で、発症する時期などによっても重症度や予後は異なります。
胎児期、新生児期の発症
新生児早期にみられるエプスタイン病では重い症状がみられることが多く、重度の右心不全や呼吸不全により長く生きられないこともあります。お腹の中にいる胎児期に、胎児エコー検査で診断がつく場合もあります。
新生児期には、激しく泣いたときなどにチアノーゼと呼ばれる症状が出現することがあります。チアノーゼとは、低酸素血症により唇などの皮膚や粘膜が青紫色になる現象です。
乳児期の発症
乳児期になってから症状が明らかになる場合もあります。この時期の具体的な症状としては、哺乳力(母乳やミルクを吸う力)が弱い、体重が増えない、呼吸をスムーズに行えないといった心不全に関連するものが挙げられます。
また、目に見える症状は現れず、心音の検査を受けたときの心雑音によって発見されるケースもあります。
乳児期以降の発症
乳児期以降に診断されるケースでは無症状のこともあります。また、軽いチアノーゼや運動能力の低下がみられる場合もあります。
学童期(6歳~12歳頃)の発症
心雑音や、WPW症候群*の合併による不整脈がみられることがあります。
*WPW症候群とは、心臓に余分な刺激の通り道(副伝導路)があることで不整脈が起こる生まれつきの病気です。
成長とともに現れる症状
小児期に無症状で観察されていても、成人になるにしたがって次のような症状が増えていくことがあります。
- 不整脈
- 動悸
- むくみ
- 運動したときの息切れ
- 疲れやすさ
- 運動したときのチアノーゼ
非常にまれですが、不整脈や血管内での血栓(血の塊)形成による突然死も症状のひとつとして数えられています。不整脈や血栓の形成は、患者さんの妊娠中*に生じることがあり、気をつけるべき症状といえます。
*エプスタイン病であっても、チアノーゼや不整脈などを認めない場合、比較的安全に妊娠・出産が可能です。
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