がらくとーすけっしょう

ガラクトース血症

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概要

ガラクトース血症とは、乳糖を構成するガラクトースの代謝が正常に行われず、体内にガラクトースが蓄積する病気です。

口から摂取された乳糖は消化管内でガラクトースとグルコースに分解された後に吸収されます。消化管から吸収されたガラクトースは肝臓へと運ばれ代謝を受けますが、代謝に関わる酵素異常や肝臓への血流異常があると適切な代謝が行われずガラクトースが体内に蓄積します。

ガラクトース血症の中でも「ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症」では、出生哺乳開始後から早期に症状が出現し、下痢、嘔吐、肝障害、敗血症髄膜炎(ずいまくえん)などを生じます。日本での発生頻度は90万人に1人と報告されています。

早期に治療を行わなければ致死的であるガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症を早期に診断するため、ガラクトース血症は新生児マススクリーニングの対象疾患になっています。

原因

ガラクトース血症は、ガラクトース代謝に関わる酵素の異常により発症します。ガラクトース血症は、大きくⅠ型からⅢ型に分類されており、それぞれ「ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ」、「ガラクトキナーゼ」、「ウリジル二リン酸ガラクトース-4-エピメラーゼ」と呼ばれる各種酵素異常で発症します。

ミルクや乳製品に含まれる乳糖は、経口摂取後に消化管の中でガラクトースとグルコースに分解されます。その後、両者は消化管から血液中に吸収され、門脈を介して肝臓へ運搬されます。肝臓へと運ばれたガラクトースは、上記のような各種酵素のはたらきを段階的に受けて、最終的にエネルギー源として利用されるようになります。

ガラクトース血症では、異常を生じている各種酵素に応じた中間代謝産物が体内に大量に蓄積され、さまざまな症状を呈するようになります。

ガラクトース血症は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとります。この遺伝形式では両親は病気の保因者であり、異常な遺伝子が両親から子どもに引き継がれることで病気を発症することになります。お子さんが発症する確率は25%であり、50%の確率で病気の保因者になります。

症状

ガラクトース血症はタイプによって症状が異なり、ガラクトース血症Ⅰ型(ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症)がもっとも重篤な臨床経過をたどります。経口哺乳を開始してから、不機嫌、哺乳力の低下、体重減少、嘔吐・下痢、などの症状が出現します。進行性の肝機能障害を呈し、黄疸(おうだん)皮膚(ひふ)などが黄色くなる)や凝固機能(血液を固める機能)の異常を伴うようになります。また、ガラクトース高値により大腸菌発育が促進されるため、敗血症髄膜炎などの重篤な感染症を併発することがあります。

ガラクトース血症のそのほかの2つのタイプは、それほど重篤な経過を辿ることは多くはありません。Ⅱ型では白内障を生じ、Ⅲ型では臨床的に問題となる明らかな症状を呈することはほとんどありません。

ガラクトース血症は、日本では新生児マススクリーニングの対象疾患となっており、早期の段階から治療が行われます。しかし、特にガラクトース血症Ⅰ型では、発達障害や運動失調などの神経症状が残存することもありえます。また、女児では80~90%で卵巣機能不全が認められるとも報告されています。

検査・診断

ガラクトース血症は、新生児マススクリーニング検査により発見されます。新生児マススクリーニング検査とは、新生児期早期のうちに先天性代謝疾患を発見するための検査であり、日本では、ガラクトース血症はその対象になっています。

この検査では、病気により、酵素の活性が低下していることや、ガラクトースの中間代謝産物が体内に蓄積していることがわかります。本症の鑑別診断としては、①胆汁うっ滞をきたす病気、②門脈体循環シャント、③シトリン欠損症、➃Fanconi-Bickel症候群、G6PD欠損症などが挙げられます。いずれも新生児マススクリーニングで陽性になる可能性があり、鑑別を要します。

本症の鑑別診断としては、①胆汁うっ滞を来す疾患、②門脈体循環シャント、③シトリン欠損症、➃Fanconi-Bickel症候群、G6PD欠損症などが挙げられます。いずれも新生児マススクリーニングで陽性になる可能性があり、鑑別を要します。

治療

ガラクトース血症では、ガラクトースの代謝が正常に行えないため、ガラクトースを含む物質を除去した食事を生涯にわたって継続することが必要になります。

母乳や通常のミルクの使用は避け、乳糖(ガラクトースのもと)を除去したミルクを使用するか、牛乳などの成分以外から生成された大豆乳を使用します。ガラクトース血症で使用可能なミルクは、市販されています。

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