くるーぞんしょうこうぐん

クルーゾン症候群

監修:

概要

クルーゾン症候群とは、主にFGFR2遺伝子の変異によって起こる生まれつきの病気です。この病気では、頭蓋骨(ずがいこつ)のつなぎ目(縫合(ほうごう))が通常よりも早く塞がることで、頭蓋骨や顔面骨が変形します。その結果、脳の発達への影響、眼球の突出、呼吸困難などの症状がみられます。

頭蓋骨は多数の骨に分かれていて、赤ちゃんのときにはまだ骨と骨がつながっていません。頭蓋骨のつなぎ目は成長と共にくっついて塞がりますが、遺伝子変異などによって早期にくっつく(癒合(ゆごう))ことがあります。このような病気を頭蓋縫合早期癒合症といいます。

頭蓋縫合早期癒合症には、頭蓋骨のみに異常がみられる非症候群性と、頭蓋骨だけでなく顔や手足などの異常を伴う症候群性に分けられます。クルーゾン症候群は、症候群性頭蓋縫合早期癒合症の代表的な先天性疾患の1つで、ほかにアペール症候群ファイファー症候群などがあります。クルーゾン症候群は非常にまれな先天性疾患であることから難病に指定されています。

原因

クルーゾン症候群の原因は、FGFR2(またはFGFR3)遺伝子の変異です。しかし現在のところ、病態のメカニズムについてはまだ解明されていません。

クルーゾン症候群は遺伝性がみられることがありますが、親に症状がない場合でも突然変異によって発症することがあり、必ずしも遺伝が関与するとは限りません。

症状

クルーゾン症候群は、頭蓋骨や顔面骨の形成異常による症状が主で、基本的には手足などほかの部位の形成異常は伴いません。通常よりも早く頭蓋骨や顔面骨のつなぎ目が塞がることで頭や顔が小さくなり、さまざまな症状が現れます。

頭蓋骨の形成異常による症状

頭蓋骨が小さくなるために、頭蓋内の圧が高くなる頭蓋内圧亢進、脳髄液が頭蓋内に溜まる水頭症などの症状がみられます。また、脳の発達に影響がみられることもあります。
頭蓋内圧亢進症や水頭症では頭痛や吐き気・嘔吐、意識障害、物が二重に見えるなどの症状がみられます。そのほか、頭や首に痛みが生じたり、めまい誤嚥(ごえん)(飲食物が食道でなく気道に入ること)、歩行障害などの症状が生じたりすることがあります。

顔面骨の形成異常による症状

クルーゾン症候群では、頭蓋骨だけでなく顔面骨の形成異常もみられます。顔面骨が小さくなることで、眼球が飛び出す、噛み合わせが悪くなる、呼吸がしにくいなどの症状が現れることがあります。

検査・診断

クルーゾン症候群は、赤ちゃんの頭や顔の特徴的な形状から、医師による視診である程度の診断が可能です。頭部X線検査、CT検査、MRI検査などの画像検査が行われるほか、目や耳、呼吸の状態を確かめるための検査が行われます。診断を確定させるためには、遺伝学的検査が行われます。

治療

クルーゾン症候群の主な治療方法は手術です。治療の目的は、頭蓋を拡大して頭蓋内圧を正常な状態に保ち、頭蓋内圧亢進によって引き起こされる症状を改善・予防することと、頭や顔の形態を整えることです。

手術方法は複数ありますが、近年では広げたい骨を切り延長装置を取り付け、少しずつ骨を伸ばしていく手術が多く行われます。

最終更新日:
2025年06月13日
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2025/06/13
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