しんすぷりんと

シンスプリント

同義語
過労性脛部痛,脛骨過労性骨膜炎,脛骨疲労性骨膜炎
最終更新日:
2021年12月15日
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2021/12/15
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概要

シンスプリントとはスポーツ障害の1つで、ランニングやジャンプなどの運動によって足のすねの内側にある脛骨(けいこつ)に痛みが生じる状態を指します。過労性脛部痛、脛骨疲労性骨膜炎、脛骨過労性骨膜炎と呼ばれることもあります。

特に陸上競技(中・長距離走)や、バスケットボール、サッカーなどの走ることが多いスポーツで足の疲労が蓄積したときに発症しやすく、中学生や高校生に多くみられます。

根本的な問題を改善せずに痛みがある状態で練習を続けると、痛みが慢性化することもあります。そのため発症した際には運動量を減らし、氷冷やストレッチなどで改善を図ることが大切です。

原因

シンスプリントは主にランニングやジャンプなどの運動によって、ひらめ筋や後脛骨筋、長趾屈筋(ちょうしくっきん)などの筋肉や筋膜が繰り返し引っ張られることで、すねの内側にある脛骨の骨膜が炎症を起こして痛みが生じます。

発生要因としては、扁平足(へんぺいそく)(足裏が平らになった状態)や回内足(かいないそく)(足首が内側に傾いた状態)などの足の形態異常、下腿(かたい)(膝から足首までの部分)の筋力不足、足関節の柔軟性の低下、足の疲労、クッション性の悪い靴やかかとがすり減った靴の使用などが挙げられます。

また練習環境も関係し、地面が固い場所で練習をすると足に負荷がかかり、シンスプリントを発症しやすくなります。特に練習で走り込みが多くなる時期や、走り始めの時期など、ランニングの量や質が急激に変化するときに起こりやすいといわれています。

症状

シンスプリントの主症状は、脛骨の中央から下方に生じる痛みと腫れです。

足が地面に着地したときに痛みを感じ、初期にはウォーミングアップや安静によって痛みが消失しますが、根本的な問題を解決しないまま練習を続けていると次第に悪化し、練習中は常に痛みがある状態となります。さらに悪化すると安静にしていても痛みが常に存在し、日常生活に支障をきたすようになります。ただし、長い期間でみると発症後間もなくは痛みが強いものの、運動を続けていくうちに弱くなっていくこともあります。

強い痛みがある場合や安静時にも痛む場合には、脛骨の疲労骨折の可能性もあります。また脛骨の痛みはコンパートメント症候群でも起こります。これは打撲骨折などに伴う出血などによって筋膜に囲まれた区画(コンパートメント)の内圧が上昇し、血液の巡りが悪くなる状態です。処置が遅れると筋肉壊死(きんにくえし)や神経麻痺が起こることがあります。

検査・診断

一般的には問診と身体診察によって診断されます。疲労骨折との鑑別のために、X線検査やMRI検査、骨シンチグラフィー検査が行われることもあります。

コンパートメント症候群との鑑別には特殊な圧力計を使用し、運動時のコンパートメント内圧を測定します。

治療

まずはシンスプリントの原因となる運動を休止して安静にし、アイシングやアイスマッサージ、消炎鎮痛剤、湿布で炎症を抑え痛みの軽減を図ります。

扁平足や回内足といった足の形態異常がある場合には、足底板(インソール)が用いられ、足底のアーチを補強することで患部への負荷を減らします。また、患部の負荷軽減のためにテーピングが行われることもあります。必要に応じて、冷やす・温めることを交互に繰り返す交代浴や、超音波治療器を用いる超音波治療などが行われます。

リハビリテーション

安静期には患部を休めますが、長く安静にしていると運動能力が低下してしまいます。そのため、安静時でも水泳やエアロバイクなど患部に負荷がかかりにくい運動を行い、加えて股関節(こかんせつ)や足関節、アキレス腱といった各部のストレッチで柔軟性を強化します。

運動時の痛みがなくなったら、足の指でタオルをつかむタオルギャザーや、チューブを用いた足の筋力トレーニングを行います。患部を押しても痛みがないようならウォーキングからはじめ、様子を見ながら徐々に普段の練習に戻していきます。ただし、急激に練習量を増やすと再発しやすいため注意が必要です。

予防

部員やチーム内でシンスプリントが高確率で発生している場合、練習内容や練習環境が原因になっている可能性も考えられるため、このような場合には練習内容の変更や環境整備(硬い床・地面を避けて練習するなど)を見直してみましょう。

個人としては足の下腿の前面と後面の筋肉のストレッチをしたり、アフターケア(マッサージやアイシングなど)、姿勢・フォームの矯正、かかとが安定するクッション性のよい靴の選択、足底板を使用したりして、過度な負荷がかからないようにしましょう。

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