ぽりお おとな

ポリオ(大人)

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

ポリオとは、一般にポリオウイルスが原因で弛緩性麻痺が現れる病気のことを指します。インターネット上では「急性灰白髄炎」と検索されていることも多いようです。

ポリオウイルスに感染しても麻痺が出ることは少なく、自然治癒することがほとんどです。しかし、1%未満の確率で不可逆的(もとの状態に戻すことが不可能な状態)な弛緩性の麻痺が生じます。

かつては日本でも5千人を超える罹患者が発生しており、社会的な問題となっていました。しかしポリオワクチンの導入と共に発症例は激減し、日本国内では1980年の1名の発症を最後に、ポリオの新規国内発生は認めていません。

現在、日本では、乳児期に対してジフテリア破傷風百日咳・ポリオ4種混合ワクチン(注射の不活化ワクチン)として、定期接種が行われています。多くの国でポリオはワクチンによって根絶された病気ですが、世界的にみるとポリオの発生がみられる地域はまだごく少数あります(2018年現在)。日本にポリオウイルスが持ち込まれるリスクもあるため、ワクチン接種率を高く保っておくことで、再び流行することを防ぐことが重要です。

ポリオによる麻痺症状は現在の医療では回復させることができず、リハビリテーションや装具の使用などの医療介入が必要となります。

原因

ポリオウイルスに感染することで発症します。ポリオウイルスは、感染した人の便の中に排泄され、手や食べ物を介して口から体内に入ることで感染します(糞口感染)。

ポリオウイルスは明らかな麻痺症状を引き起こさない場合でも、糞便中に数週間排泄されていることがあります。つまり、本人が無症状であったとしても環境中にポリオウイルスを拡げることがあります。

ポリオウイルスに感染すると咽頭(いんとう)や腸管でウイルスが増加し、その後血流を介して全身にウイルスが広がります。ポリオウイルスは特に神経細胞を障害しやすく、運動を司る脊髄前角細胞と呼ばれる細胞が障害を受け、ポリオに特徴的な弛緩性の麻痺症状が引き起こされます。

症状

ポリオウイルスに感染すると、3日~35日程度の潜伏期間を経て症状が現れます。潜伏期間中には、腸内で増えたウイルスが血液の中に散らばります。ただし、ポリオウイルスでは必ずしも症状が現れるわけではなく、無症状のまま経過することがほとんどです。ポリオウイルスの感染者の4~8%に、発熱やのどの痛みといった風邪のような症状が現れますが、これらは数日で治まり、普段通り生活できてしまうことがほとんどです。

しかし、風邪の症状が消えた数日後に再度発熱や嘔吐といった症状がでてきて、首や背中の痛み、手足の痛みがあらわれ、ポリオ麻痺といわれる麻痺がはじまることがあります。

ポリオ麻痺は手足の力が入らなくなる弛緩性(しかんせい)麻痺といわれ、現在の医療では回復させる治療法がありません。麻痺が呼吸に必要な筋肉に及ぶと、呼吸ができなくなってしまい、人工的に呼吸を補助しないと命にかかわります。麻痺まで進行する割合は、感染者全体の1%未満といわれています。

検査・診断

確実な検査は、ポリオウイルスが体内に存在することを証明することです。

腰から針を刺して採取した脳脊髄液中にポリオウイルスが存在するかどうかPCRという検査により確認します。しかし、陽性になることは少ないです。

便からウイルスを分離、またはPCRでポリオウイルスを検出する方法がとられています。感染から数週間は便中からポリオウイルスを検出できるとされています。

治療

ポリオによる麻痺症状を発症すると、不可逆的な後遺症として麻痺が残ることがあります。

しかし、ポリオの麻痺を回復させる治療方法は確立されていません。そのため、リハビリテーションや装具、車いすの使用、人工呼吸器の使用などの対応がとられます。麻痺の治療方法はないため、ワクチンで予防することがとても大切です。

予防

ポリオは予防接種の効果が非常に高く、ワクチン接種が制度化されている国では、長期にわたり発症者数がゼロとなっています。日本も含め多くの国では、経口生ワクチンによる接種が導入されていました。生ワクチンによる予防効果は高く、ポリオウイルスが侵入する腸管における免疫機能も強化できる利点もありましたが、ごくまれに生ワクチンを原因として麻痺を発症する危険性が問題となっていました。

日本でも、ワクチンによるポリオ発症がない不活化ワクチンが定期接種に導入されました。乳児期に接種されるジフテリア破傷風百日咳・ポリオ4種混合ワクチンで予防することができます。日本での発症はありませんが、接種を止めると再び流行するリスクがあるため、集団での予防接種率を高く保つことで、日本国内に流行させない(集団免疫)ことが重要です。

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