2012年、OPV(生ポリオワクチン)に代わりIPV(不活化ポリオワクチン)が定期接種に導入されたことにより、日本でもポリオという感染症が改めて注目されました。ポリオとは何か、日本はどう警戒していけばよいかについて、国際協力の現場で貴重な経験を積まれた川崎医科大学小児科学教授の中野貴司先生にお話をお聞きしました。
ポリオは、天然痘に次ぐ根絶のターゲットとして、1988年のWHO総会において「ポリオ根絶計画」が決議された急性のウイルス感染症です。2000年までに地球上から排除するという目標が設定され、当時ポリオ流行国であった中国でも、1991年より日本の国際協力事業団(現在は「独立行政法人 国際協力機構;JICA」)による「ポリオ対策プロジェクト」が開始されました。その後、中国はポリオフリーとなり、世界的にもポリオ発生ゼロの地域は増えましたが、天然痘よりは根絶までかなり長い期間を費やしています。「ポリオ根絶計画」の今後の展開が注目されるところです。
ポリオは感染症の一種であり、以下のような特徴をもちます。
また、ポリオの特徴的な症状は以下の3点です。
前述のとおり、ポリオはポリオウイルス(1型、2型、3型)の中枢神経への感染により引き起こされる急性のウイルス感染症と定義されます。
また、ポリオは感染源を特定しづらく、早期探知・早期対応して蔓延の予防を効果的に行うことが非常に難しいともいわれています。
さらに、ポリオは急性弛緩性麻痺を特徴とする疾患であることから、すべての急性弛緩性麻痺(AFP:Acute Flaccid Paralysis)患者の報告が義務付けられています。しかし、ポリオは感染しても麻痺をきたす割合が1%以下と低く、90%以上が不顕性感染(感染しても症状があらわれない)です。
つまり、不顕性感染の無い天然痘はすべての感染者を特定することができますが、ポリオでは1名麻痺患者がいるとすれば、周囲には100名程度の無症状感染者(ウイルス排泄者)が存在するということになります。
ポリオの流行を阻止する手立てとしては、流行地を特定し、流行地へのワクチンの一斉投与を行うことが挙げられます。
そのためには、集団に対してできるだけ短期間のうちにワクチンを行き渡らせる、一斉投与という方法が適しています。これは対象年齢の児童に対して定められた回数の接種を行う、定期接種とは異なる方法です。
ポリオワクチン全国一斉投与日(NIDs)とは、設定した接種日に、国内の5歳未満の子どもたち全員に生ワクチンを内服させるキャンペーンです。NIDsは、流行地におけるポリオ患者を短期間で制御できる効果があります。
※ポリオ患者がある程度減少した段階では、流行のハイリスク地域を選定し、その地域に集中的にワクチンを一斉投与する手法(Mopping-Up)が有効です。
WHOが世界ポリオ根絶計画を開始した1988年当時は、125カ国以上の国々で毎年35万人以上のポリオ患者が発生していたと報告されています。しかし、AFPサーベイランスによる発生状況の早期探知と、感染症蔓延を予防するワクチン普及活動などが積極的に対策されたことにより、2014年には患者数359人まで減少しました。
2015年現在、地域固有の野生株ポリオウイルスの流行がいまだに継続しているポリオ常在国は、パキスタン、アフガニスタンの2カ国です。
世界最大の人口を擁する中国やインドにおいて国際的なプロジェクトが実ったことは、人口が多い国でも迅速なサーベイランスとワクチン一斉投与をすればポリオを排除できる可能性が高まることを証明しています。
「ポリオの排除」を維持するために、警戒は続けるべきです。
2011年にはポリオ常在国のパキスタンから中国(新疆ウイグル自治区)にウイルスが輸入されたという報告もあり、日本にもいつポリオウイルスが持ち込まれてもおかしくない状況といえます。ポリオを天然痘に次ぐ根絶された感染症とするためには、世界各国が足並みをそろえて進まなければいけません。
ポリオ流行への備えとして、これから日本のとるべきポリオ対策は下記の2点です。
川崎医科大学附属病院 小児科 部長
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腰椎椎間板ヘルニア
8月末に血縁者ドナーとして末梢血幹細胞採取で鼠径部からしました。1週間の入院して退院してからもずっとカテーテルを入れたところが痛くて、採取した病院にも見て貰いに行きましたが色んな所がまだ痛い段階でうまく伝えられず、何処も悪い所ないので様子見ましょうみたいな感じになりました。行く迄も1時間以上かかるので、痛みが増した時には歩くのも引きずらないと駄目になってしまってました。痛みは付け根から太もも迄痛みが出てきて指先の痺れもありましたので、近くの整形外科に受診しました。その時に椎間板ヘルニアの再発で痛みが出てると言われました。何年か前に手術もしていて、生活面でも気を付けてたんですが、幹細胞増やす注射とかずっとじっとしてたのが駄目だったんでしょうか?兄の治療は今から始まるので変な質問も摂取先の病院には聞けず、かかった整形外科ではもっと腰の事考えて摂取する必要があったのにって言われてて、リハビリと薬の処方だけでリハビリ頑張って受けて下さいと説明受けています。MRの検査は必要だと思うんですが大丈夫何でしょうか?
1ヶ月くらい軽い咳が続いています
寝ていたりお酒を飲んだりお風呂に入っていると楽です。なんとなく体がだるく時に胸が苦しく左の肺か気管が暑い様な冷たい様な痛みが出て呼吸がしにくくなり心身共にしんどくなります。今まで熱は36.5~36.9で1度だけ37.4の時がありました。ここ1週間目やにがよく出ます。少しでも早く病院に行く方が良いですか?持病もあり、こんな世の中なので不安をといて頂きたいです。
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