Medical Noteとは

ワクチンで予防できる感染症を知る―ワクチンの重要性

  • #感染症(こども)
  • #こどもの病気
  • インタビュー
  • 公開日:2015/12/31
  • 更新日:2017/03/22
ワクチンで予防できる感染症を知る―ワクチンの重要性

予防接種に期待されることは、ワクチンの接種により病気を防ぐことです。『日本における予防接種の歴史―日本はワクチン後進国?』で述べたようにさまざまな経緯を経て、予防接種は義務から個々の意思によるものへと変遷しましたが、その大切さは変わりありません。だからこそ、ワクチンで予防できる感染症の知識を持ち、その有効性及び重要性を把握することが、病気を遠ざけ感染症から子どもたちを守る力となります。ワクチンの重要性について、川崎医科大学小児科学教授の中野貴司先生にお伺いしました。

ワクチンとは?―その定義と種類について

感染症を予防するために抗原(こうげん・免疫反応を引き起こさせる物質)を接種して、免疫を与える方法を「予防接種」といいます。そして、その抗原を「ワクチン」といいます。ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があり、予防接種には「定期接種」と「任意接種」があります。

<ワクチンの種類>

  • 生ワクチン

「生ワクチン」は、生きたウイルスや細菌の病原性を弱めて作られたものです。接種により、自然感染に類似の機序で免疫を付与する効果があります。生ワクチンの場合、接種してから4週間後に次のワクチンを接種することが可能です。

*生ワクチンの種類…MR(麻疹と風疹の混合)・BCG・水痘・おたふくかぜ・ロタウイルス・黄熱など

  • 不活化ワクチン

「不活化ワクチン」は、感染力をなくした病原体などで作られたものです。生ワクチンとは違い、数回接種しなければ免疫がつきません。不活化ワクチンの場合、接種してから1週間後に次のワクチンを接種することが可能です。

*不活化ワクチンの種類…DPT-IPV(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ混合)・肺炎球菌結合型・日本脳炎・ヒトパピローマウイルス・Hib(インフルエンザ菌b型)・インフルエンザ・A型肝炎・B型肝炎・狂犬病・髄膜炎菌など。

<予防接種の種類と予防できる感染症>

●定期接種

「定期接種」は、対象と回数が予防接種法で定められています。また、以下の通り分類されます。

【A類疾病】…集団予防・重い疾患の予防・努力義務ありの疾病

<予防できる感染症>

  • ジフテリア
  • 百日咳(ひゃくにちぜき)
  • ポリオ(急性灰白髄炎・きゅうせいかいはくずいえん)
  • 麻疹(はしか)
  • 風疹(ふうしん)
  • 日本脳炎
  • 破傷風
  • 結核
  • Hib感染症
  • 小児の肺炎球菌感染症
  • ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん予防)
  • 水痘(すいとう ※別名:水疱瘡(みずぼうそう))

【B類疾病】…個人予防・努力義務なしの疾病

<予防できる感染症>

  • 高齢者のインフルエンザ
  • 高齢者の肺炎球菌感染症

●任意接種

一方「任意接種」は、予防接種法で規定されていない予防接種です。

<予防できる感染症>

  • おたふくかぜ
  • ロタウイルス胃腸炎
  • A型肝炎
  • 狂犬病

など

乳児期に防いでおきたい感染症

子どもたちを感染症から守るためには、接種可能な月齢に達したらなるべく早く予防接種を行うことです。百日咳菌・Hib(インフルエンザ菌b型)・肺炎球菌・ロタウイルスなどによる感染症は、乳幼期にかかり、重症化しやすいという特性があります。

子どもたちのワクチンデビューは、生後2か月が適切とされています。予防接種スケジュールに関しては、日本小児科学会、もしくは国立感染症研究所のホームページで随時更新されているので、常にチェックすることをお勧めします。

子どもを感染症から守るために―同時接種のメリット

混合されていない2種類のワクチンを、それぞれの器具を用いて一度の受診で接種することを「同時接種」といいます。医師が必要と判断した場合に可能です。

この方法のメリットは、一度に複数の免疫をつけられるということにあります。実のところ、どのような順番でどの病気にかかるかは、誰にも予測できません。そして、感染する前にワクチンを接種してこそ予防接種の意義があります。だからこそ、子どもたちを守るためにもできるだけ早い時期に同時接種を行い、多種類の病気に対する抵抗力を備えることが大切です。

また、一度の受診で複数のワクチン接種が可能なので、来院による負担を軽減できるメリットもあります。

ワクチンの重要性―接種することで救える命がある

現在の日本では、先進諸国と比べて少なかったワクチンの種類がだいぶ増え、ワクチン・ギャップが徐々に埋められつつあります。それにより、公費で負担される「定期接種」も増加しているという状況です。しかし、その恩恵を受けるためには、適切な時期に予防接種を行う必要があります。

ワクチンの有効率とは、接種しない場合の発病率と、接種した場合の発病率から計算されます。たとえば有効率70%という場合は、ワクチンを接種せずに発病した人のうち70%は、「接種によって発病を回避できた」という意味です。感染症には致死率が高いものが多く存在するので、「接種することで救える命がある」という理解を、是非深めていきましょう。

中野 貴司

中野 貴司先生

川崎医科大学 小児科学 教授 

1983年、信州大学医学部卒業。三重大学・国立病院機構三重病院小児科などでの勤務、ガーナ野口記念医学研究所・中国ポリオ対策プロジェクトへの派遣など経て、2010年7月より現職。日本小児科学会専門医、日本感染症学会専門医・指導医、JICA青年海外協力隊「ポリオ対策」技術専門委員。

関連する記事