はいえんきゅうきんかんせんしょう

肺炎球菌感染症

最終更新日:
2022年02月24日
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2022/02/24
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概要

肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる病気の総称です。肺炎、中耳炎副鼻腔炎(ふくびくうえん)髄膜炎(ずいまくえん)などの病気が含まれます。

肺炎球菌は唾液などの飛沫を介してヒトからヒトに感染し、成人の3~5%が保菌しているといわれています。ただし、保菌している人全てに症状が現れるわけではなく、無症状であることも多いです。

主な症状は発熱や全身のだるさなどで、そのほかに発症部位に応じた症状が現れます。肺炎球菌に感染し何らかのきっかけ(体の抵抗力の低下など)で血液や髄液などに入り込むと、侵襲性肺炎球菌感染症(しんしゅうせいはいえんきゅうきんかんせんしょう)と呼ばれる状態になり、敗血症や髄膜炎などの重い病気を引き起こすこともあります。

原因

肺炎球菌感染症の原因となるのが肺炎球菌です。肺炎球菌は感染者の鼻や喉の奥などに存在し、咳やくしゃみなどの飛沫を通じてヒトからヒトに感染します。

肺炎球菌は保菌している人全てに症状が現れるわけではありませんが、保菌している間は感染させる可能性があるとされています。

肺炎球菌感染症は小児(特に2歳未満の乳幼児)、65歳以上の高齢者、心疾患、呼吸器疾患、糖尿病などの基礎疾患を持つ人は重症化リスクが高いといわれています。

症状

肺炎球菌感染症の症状は、感染部位によって異なります。代表的な肺炎球菌感染症の症状には、以下のものがあります。

  • 中耳炎……耳の痛み、耳だれ、難聴、発熱など
  • 副鼻腔炎……鼻からの、顔の圧迫感や痛み、鼻づまり、嗅覚の低下など
  • 肺炎……咳、痰、発熱、息苦しさ、呼吸が早くなる、食欲の低下など
  • 敗血症……発熱、血圧低下、播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)(出血、血栓など)、多臓器不全など
  • 髄膜炎……発熱、頭痛、意識障害、項部硬直(首が曲げられなくなる)、けいれんなど

 

検査・診断

肺炎球菌の診断は、痰や血液などの検体を塗抹・培養して肺炎球菌を同定したり、尿検査で尿中抗原の有無を調べたりすることで確認することができます。培養同定検査は肺炎球菌を直接証明できる検査ですが、結果が出るまでに時間がかかるため、まずはそれぞれの病気ごとの症状や尿による抗原検査の結果を基に治療をはじめ、疑われる病気の治療と並行して起炎菌の検査を行うことが一般的です。中耳炎など経過が良好な病気では、治療の効果が得られないときに起炎菌の検査を行い、通常は行いません。

治療

肺炎球菌感染症の治療は抗菌薬による治療が中心です。肺炎敗血症髄膜炎など、重症の肺炎球菌感染症では、入院治療や集中治療室での全身管理(酸素投与、輸液、人工呼吸器管理など)が必要になることもあります。

近年では薬剤耐性菌と呼ばれる肺炎球菌が広がっており、特に集団保育を受けている乳幼児間の感染では、この頻度が高くなるといわれています。起炎菌が薬剤耐性菌の場合は抗菌薬が効きづらくなり、治療が長引いたり重症化したりすることがあります。

予防

肺炎球菌感染症の中でも肺炎敗血症髄膜炎などは命に危険を及ぼすことがあり、治療に成功したとしても重い障害が残ることがあります。

近年は抗菌薬が効きづらい薬剤耐性菌も増えているため、まずは肺炎球菌感染症を予防することが大切です。

肺炎球菌には90種類以上のタイプがあり、中でも敗血症や髄膜炎などの侵襲性肺炎球菌感染症を起こしやすい型の肺炎球菌はワクチンで予防することができます。特に、小児、高齢者、肺炎球菌感染症が重症化しやすい基礎疾患を持つ人は、ワクチンで予防することが推奨されます。

また、けがをしたときは傷口を洗う、日頃から手洗い・うがいを心がけるなど、肺炎球菌の感染を防ぐために日常的な衛生管理をしっかりと行うことも大切です。

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