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インタビュー

公開日 : 2016 年 01 月 03 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

途上国医療の現状と中野貴司先生の取り組み

川崎医科大学小児科学教授の中野貴司先生は、20代のとき、自らの志願で訪れた海外の途上国で診療を経験し、途上国医療の厳しい現状を目の当たりにしました。しかし、その現状と向き合い、感染症に苦しむ子どもたちを救うため日々奔走するうち、ワクチンの重要性を知ったと仰います。中野先生は海外での経験を、日本のワクチン接種に尽力し続ける信念と活力に変換し、のちに国際保健医療や感染症対策の第一人者として活躍することとなります。中野先生の取り組みについて、詳しくお伺いしました。

中野先生が国際協力事業団に赴任したきっかけ、流れ

ガーナ共和国の首都・アクラにある「野口記念医学研究所(野口研)」で行われていた、国際協力事業団(JICA…現・独立行政法人国際協力機構)のプロジェクトに参加するため、私は日本から赴任しました。赴任した1987年2月当時は28歳という、若手の医師でした。

その出来事はいくつかの幸運が重なり実現したといえます。当時、私が所属していた三重大学小児科グループは、アフリカへの医師派遣に積極的な姿勢を示していました。また、小児科医の国際協力はまだ一般的ではなく志願者が少なかったため、手を上げた若手医師の海外勤務が認められたのだろうと思っています。いずれにせよ、この赴任が私のターニングポイントとなったのは間違いありません。

途上国医療の現状―VPDで救えるはずの命と向き合う

赴任当時は現地のことも、国際保健の実情も十分に理解できていませんでした。ただ、アフリカの子どもたちがどのような状況に置かれているかを自分の目で確認し、何ができるのか思考をめぐらすことで、自分自身に成長を促す思いがありました。現地では、その道のエキスパートで経験豊富な国内外の専門家たちとともにガーナの保健医療を向上・底上げするため、調査や健康啓発、保健活動を行いました。そのなかで、確実に学んだことは「ワクチンの重要性」です。

子どもたちがマラリア、コレラ、赤痢、腸チフス、ポリオ、麻疹(はしか)などに感染し命を失い、後遺症に苦しむ姿に何度も直面しました。なおさら、ポリオや麻疹はワクチン接種で命を救えるVPD(ワクチンで防げる病気)。ワクチンさえ接種していれば…と遺憾でしたし、その重要性と有効性を否応なく実感することになったのです。

やがて、ユニセフやWHOの協力を得て、アフリカでも可能な範囲内でワクチン接種を開始できるようになりました。そして、その効果は如実に見えてきました。驚くことに小さな村では、一斉投与により患者数がゼロになるまで改善しました。

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